サイアミディン

難治性でも諦めない

緊張で手が震えるのはある程度自然な現象ですが、

それが緊張していないのに震えが押さえられないのが「本態性振戦」でした。

本態性振戦の震えは、基本的に「姿勢時振戦」で、安静にしているときには震えません。

またアルコールや交感神経遮断薬などの副交感神経神経賦活法によってまだ押さえる事ができます。

しかし、それでもなかなか押さえられないのが、パーキンソン病の震えで、

その特徴は「安静時振戦」だと言われ、本態性振戦以上に辛い震えです。

近年、本態性振戦はパーキンソン病の前駆段階ではないかという事も言われてきています。
そして経験的にパーキンソン病の震えはなかなかに難治性です。

そして本態性振戦がそうであったように、パーキンソン病の病態の本質は神経変性になります。

なぜ本態性振戦よりパーキンソン病の震えの方が難治なのでしょうか。

それは「本態性振戦での神経変性は可逆的で、パーキンソン病での神経変性は不可逆的」だからではないかとおもいます。

勿論、両者をクリアカットに分けられないグレーな状態もありますので、

いつから可逆的で、いつから不可逆的になるのかはわかりませんが、

何も構わず酸化ストレスを繰り返し続けていたら、いつしか神経変性は可逆的なものから不可逆的なものに変わるのではないかと思うのです。

ここに糖質制限で改善させる事ができない病態のヒントがあるように思います。


そんな難治性のパーキンソン病の震えですが、

経験的には抗コリン薬という薬が効く場合があります。

抗コリン薬というのは、震えのブレーキに相当する副交感神経の働きをブロックする薬です。

本態性振戦の治療薬と逆の作用をする薬が、どうして震えを抑えるのかと思われると思いますが、

パーキンソン病の場合は、アクセルに相当する交感神経の働きも相当弱まっています。

弱いアクセルに過剰なブレーキをかけてしまってもやはり震えてしまうという事です。

自分のアクセルに見合ったブレーキをかけないと、

バランスを乱し震えという形で身体に支障をきたしてしまうという事だと思います。

でもこの方法は確かに震えは治まりますが、

本来の身体の働きを弱めて見映えをよくしているに過ぎない行為です。

こうでもしないと治らなくなってしまうところが、

神経変性が不可逆的になってしまう事の怖さだと思います。

実際、手の震えがメインのパーキンソン病患者さんで糖質制限を実践してもらっている人がいますが、

その方の震えはそれだけではなかなか治りません。

難治性になる前に糖質制限を導入し、神経変性が可逆的な段階で治してしまうというのが理想だと思います。


でも、だからといってパーキンソン病の人には糖質制限を勧めないという事にはなりません。

パーキンソン病の中にも早期であれば可逆的な神経変性が混ざっていて、それは早めの糖質制限で元に戻せるかもしれませんし、

不可逆的だからといって糖質摂取による酸化ストレスを受け続けていたら、さらに症状が進んでしまうからです。

相手が難治性であっても糖質制限をすることでリスクを減らせば少なくとも進行予防にはなります。

糖質制限の開始は早ければ早いほどよいとは思いますが、

遅かったからといっても、それだけでは私はあきらめません。


たがしゅう
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江部先生の講演会

たがしゅう先生おはようございます。
昨日は、江部先生の講演に行ってきました。いつもブログを読ませて頂いているので内容は大体予想通りでしたが、何でも生で聞くと違いますね。「こんな当たり前で、患者にも医師にも最良の医療が早く浸透することを願うばかりです」
ただ、一つ気になる事が、
それは夏井先生も同じですが、お酒は、糖質ゼロのものならいくらでもいい!っていうところが気になります。
折角糖質制限して身体を健康にしているのに、頭の中身が壊れてしまう気がするのは私だけでしょうか?
たがしゅう先生は、アルコールについてはどう考えていますか?

Re: 江部先生の講演会

スマイル さん

 御質問頂き有難うございます.

> たがしゅう先生は、アルコールについてはどう考えていますか?


 アルコールは嗜好品で,飲みたい人だけ飲めばいいものだと思っています.

 またアルコールは糖新生を抑制するので,確かに糖質制限しているからいくらでも飲んでいいという論調には私も反対ですね.

 やはり体調をみながら節度を持ってたしなむべきものだと思います.
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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