サイアミディン

老化・病気の一番の根っこ

糖質制限は糖尿病、メタボリック症候群に対してだけではなく、

アトピー性皮膚炎、多嚢胞性卵巣症候群、ざ瘡(にきび)、神経変性疾患(アルツハイマー病、パーキンソン病、脳外傷、筋萎縮性側索硬化症など)、うつ病、認知症、がんや呼吸器・循環器系疾患のリスク改善など様々な病気へ改善効果を示すことが徐々に実証されてきています。

ここまで多岐にわたる疾患に効果を示すという事実を見ていると、

原因不明な疾患も数あれど、様々な病気はどれをとっても、元を正せば全て「ある一つの現象」から始まっているのではないかという考えが頭の中をめぐります。

それは『酸化ストレスの増加』です。

生きることは、いわば「酸化ストレスを繰り返し続ける事」です。
酸化ストレスを起こす主な原因は「活性酸素」という酸素の一部が不安定であることによって発生する物質です。

その活性酸素は虚血やストレスなどの病的な状態や、紫外線や放射線、大気汚染、タバコ、薬剤、金属、酸化された食べものなどをとることなど様々な要因で増加すると言われています。

そのような様々な原因があるため、生きている以上は酸化ストレスから完全に逃れることはできません。

また活性酸素はさまざまな生体成分と反応します。体内のタンパク質と反応するとタンパク質が変性したり、酵素が失活したりします。細胞膜の脂質成分などと反応すると過酸化脂質が生じます。遺伝子と反応すると分解や突然変異が生じます。

実はこの現象が老化や病気の原因だと言われています。

ただ人間の体にはその活性酸素を取り除くための様々な修復システムが備わっています。

カタラーゼやペルオキシダーゼ、スーパーオキシドディスムターゼと呼ばれる酵素などの働きに加えて、「抗酸化物質」と呼ばれる物質がその一翼を担っています。

抗酸化物質の例としては、高分子化合物ではアルブミン、低分子化合物では尿酸があります。いずれも糖質制限で上昇することが知られている物質です。その他,ビタミンCやビタミンEなども抗酸化物質としてよく知られていますね。

なお一般的に尿酸は高いと悪いと言われていますが、これは解釈に非常に注意を要する物質です。

例えば脳梗塞を発症する人の中では、尿酸値がすごく高い人もいれば、逆に尿酸値がすごく低いという人もいます。

それゆえ、脳卒中の再発予防に際しては尿酸を下げることはそれほど積極的に推奨されていません。尿酸が低くても脳梗塞を起こしている人も結構いるからです。いわゆるエビデンスがないという事です。

しかしこれは酸化と抗酸化のバランスの問題だと考えれば整理がつきます。

すなわち尿酸値が高くて脳梗塞を発症した人は抗酸化物質である尿酸を精一杯増やしてみたけれど、酸化ストレスが増えすぎて修復しきれなかった、逆に尿酸が低くて脳梗塞を発症した人は、酸化ストレスが増えすぎてもはや抗酸化物質を創りだすことすらできない状態に陥ったのではないか、と考えることができるのです。

従って、「尿酸が高い=悪いこと」とは一概に言えません。

一方で酸化‐抗酸化のバランスが酸化に傾きすぎている人は本当に「尿酸が高いこと=悪いこと」になっていたりもするわけです。

先日の「血糖値とHbA1cをみていても真の健康状態はわからない」という話ではないですが、尿酸の高い低いだけを見ていても、酸化ストレスの多い少ないはわからないと思います。

さて、この酸化ストレスに対する修復機構が追いつかない時に人は年老い、病気になっていくわけですが、

そしてどのように老化をしていくか、またどのような病気になるのかということには人によって大きく差があります。

例えば活性酸素は蛋白を変性させますが、この変性した蛋白によって起こる病気のことをproteinopathy(プロテイノパチー:蛋白病)と言います。

先日パーキンソン病の記事で紹介した「神経変性」という現象も、この変性した異常蛋白が神経に蓄積することが原因です。

神経変性を起こす異常蛋白の種類としては「アルファシヌクレイン」、「タウ」、「TDP‐43」など様々なものが知られていますが、

それがどうやって発生するのかということはまだ完全に解明されているとは言えません。

しかし私個人の考えとしては、

すべての始まりは酸化ストレスにあり、人体の中のまだ解明されていない何らかのブラックボックスのメカニズムを通じて

ある人の場合はその酸化ストレスがアルファシヌクレインを作り、ある人の場合はタウを作り、ある人の場合にはTDP-43を作る、というように体質の違いによって生み出されるものが変わってくるのではないかと思うのです。

もっと言えば、神経の変性だけではなく、自己免疫疾患や難治性の皮膚病、原因不明の精神疾患も最初は酸化ストレスから始まっていて、ブラックボックス部分の違いによって表現型が変わるのではないかという考えに及びます。

となればどのような病気であっても酸化ストレスを減らすように努力すればよいのではないかと、

そして糖質制限がこれだけ多岐にわたる治療効果を出すことを考えれば、

糖質を押さえグルコーススパイクや高インスリン血症を避けることこそが、

酸化ストレスを大幅に減らす大きな要因になっているのではないかと私は思うのです。


たがしゅう
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No title

たがしゅう先生
毎日の記事、ご苦労さまです(敬意を込めて)。

「活性酸素と老化の関係」、興味深く読みました。


下記の報告も参考になるかと思います。

http://www.jsbmg.jp/products/pdf/BG35-4/35-4_17-26.pdf

また
http://www.mnc.toho-u.ac.jp/v-lab/aging/index.html

ここではホルミシスの観点で、活性酸素も時には役に立ってる と述べていますし抗酸化サプリメメントの過剰摂取が害になる、と述べています。
この先生、白澤卓二先生の元上司に当たるお方だと思います。



ご参考まで・・・
                   Yamamoto

Re: No title

Yamamoto_ma

 貴重な情報提供を頂き誠に有難うございます.

 活性酸素を学ぶ上でのエッセンスが詰まっていますね.

> ここではホルミシスの観点で、活性酸素も時には役に立ってる と述べていますし抗酸化サプリメメントの過剰摂取が害になる、と述べています.

 活性酸素は少なければ少ないほど良いと考えてしまっておりましたが,
 役に立つ事もあるというのは認識不足でした.御教示頂き有難うございます.

 また,抗酸化サプリメントがうまくいかないという話は「プラスの栄養学がうまく行かない」という話とリンクするように思えます.

 やはり「まず体に悪いものを取り除く」という観点が欠如してしまうと,良いものを足してもさしたる効果はなく,いたずらに薬の量が増えていくだけの悪循環に陥ってしまうのではないかと思います.

 9月19日(木)の本ブログ記事
 「真に骨を強くする食事」http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-24.html
 もご参照下さい.

美容の観点では

こんにちは。

女性で、美容のために気をつけようと思われるキーワードは、糖化と酸化、なんですよ。

「ためしてガッテン」レベルですが、糖化を防ぐにはそのものズバリ糖質摂取を控える、
酸化を防ぐには、腹八分目、散歩励行、睡眠たっぷり、好奇心強く、ストレスを上手に発散、激しい運動をするのはバツ、抗酸化には、トマトでリコピンを摂る、というあたりが注意してることです。

最近の美容女子には「酸化より糖化がこわいわよね」が常識です。ためしてガッテンレベルですよ、もちろん。

先生のお話では、酸化と糖化は別のものではないですね。どっちにしても避けるにこしたことないですね。

Re: 美容の観点では

エリスさん

 いつもコメントを頂き有難うございます.

> 酸化と糖化は別のものではないですね。

 そう思います.

 糖質を控えると肌つやがよくなり,さまざまな病気が良くなっていく現実を目の当たりにしていると

 糖化は人生の中での酸化ストレスを増やすものの中でかなり大きな部分を占めているのではないかという考えに及ぶわけです.

追伸

酸化ストレスの害は、10年くらい前から知られていることで、糖化ストレスは1~2年くらい前から言われ始めました。

今は、美容の2大弊害だと私は思ってます。特に糖化です。糖化の前には酸化は大したことありません。酸化の害はよくわからないところでいたが、糖化の害は糖質制限でずっと体調がよくなって、すごくよくわかります

昨日の今日

たがしゅう先生

昨日、
「抗酸化サプリメメントの過剰摂取が害になる、と述べています.」

と言ったのですが、福田一典先生のブログ の今日の記事でこんな事が書いておりました。

http://blog.goo.ne.jp/kfukuda_ginzaclinic/e/cdf9adc7681a25e695097093900a6090

今後大論争になりそうな雰囲気でございます。



Re: 昨日の今日

Yamamoto_ma さん

 貴重な情報を頂き誠に有難うございます.タイムリーですね.

 抗酸化剤と言えど外部から投与するというのは自然な現象ではなく,恒常性を乱す一因となってしまうということなのでしょう.やはり「プラスの栄養学」よりも「マイナスの栄養学」の重要性を改めて感じる次第です.

抗糖化食品

こんにちは。

NHKで、「抗糖化作用のある食品」の特集をやっていました。最も抗糖化作用のある食品は、カテキンのある日本茶だそうです。

登場した管理栄養士は、

①糖分は重要な栄養素だが、取り過ぎてはいけない。
②糖の吸収を抑えるのは食物線維。血糖上昇を緩やかにする。
③糖とたんぱく質を結びつけAGE を作らせない抗糖化食品を積極的に取ろう。

という内容でした。??のところもありましたが、テレビの影響力は大きく、美容女子の嫌いな「糖化」が多くの人の知るところになるのには大歓迎でした。
一過性のブームで終わらないといいです。

Re: 抗糖化食品

エリス さん

 いつもコメントを頂き有難うございます.

> ①糖分は重要な栄養素だが、取り過ぎてはいけない。
> ②糖の吸収を抑えるのは食物線維。血糖上昇を緩やかにする。
> ③糖とたんぱく質を結びつけAGE を作らせない抗糖化食品を積極的に取ろう。


 抗糖化の考え方自体はよいですが,そもそもその「糖化」の原因が糖質にあることを忘れないようにしないといけません.

 私は糖質は重要な栄養素とは考えていないので,抗糖化よりも糖質制限を優先して考えます.

 「マイナスの栄養学」なくして,「プラスの栄養学」の効果は得られないと考えているからです.

 2013年9月19日(木)の本ブログ記事
 「真に骨を強くする食事」http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-24.html
 もご参照下さい.

AGE値を測ってみた。

こんにちは。
医療の現場ではやられているのかどうかはわかりませんが、美容部門では、AGEの測定をすることができます。アンチエイジングの基礎化粧品や健康食品販売のサービスでやってもらえます。

今までは興味なかったんですが、先生のブログをいろいろ読んで、やってみたくなり、してもらったら、実年齢+15歳!でした。これでも正常値範囲内なんですよ。でも大ショック。これから、正常値範囲のマイナスのほうに行けるように抗糖化、抗酸化を目指し、精進しようと思いました。

やり方は、自動血圧計と同じくらい簡単でした。化粧品や健康食品を売りつけられちゃうこともなく、レディーさんは親切で、試供品もいただいて帰ってきました。また、何か月後には再測定しに行こうと思いました。(3回くらい測定したら、化粧品買いそうになるかも)

Re: AGE値を測ってみた。

エリス さん

 いつもコメントを頂き有難うございます。

 医療現場では通常AGEの測定はしていないですね。測定しているのは研究レベルでの話です。

 それなのに美容現場では普通に測れるというのは、申し訳ないですが若干怪しさを感じてしまいます。

 私としては商売が関わる事については慎重に判断するようにしていますが、

 いずれにしても糖質制限が抗糖化、抗酸化に良いのは間違いないと思います。

AGEの記事

1) 久留米大学/山岸昌一グループによる
http://www.age-sokutei.jp/news/parts/pdf/20131010.pdf

2) 東京女子医大糖尿病センター
http://www.twmu.ac.jp/info-twmu/tmc/age.html

Re: AGEの記事

精神科医師A 先生

 情報を頂き有難うございます.

 血液や組織での測定なしに,一足飛びで皮膚AGE測定…,さらにAGE測定推進協会,というのがあるのですね.私はますます怪しく感じてしまいます.

老化現象

たがしゅう先生

毎日楽しみに読ませて頂いております。
いつも興味ある話題を提供してくださりありがとうございます。

私なりにも、あれこれ糖質制限について、あちらこちらのウェブで読ませて頂いておりますが、いろいろ読むにつけて、ほぼすべての老化現象加齢現象は、糖質摂取過多が原因では無いかと思えてきます。
これまで、話題にして頂いているかわかりませんが、次の加齢現象(?)についても、考察していただければとおもいます。
1. ズバリ、加齢臭。私は、糖質制限を始めたら"お父さんの臭い、なくなってきた?"と、家族に言われて、悦に入ってます。本当に、糖質制限のおかげ?
2.高齢者の難聴。糖質過多によって、聴覚神経が犯されているのでは?
3. 緑内障、白内障。これらも、なぜ高齢者に多いのか?これも、視神経が、やられているのでは?

なんでも糖質過多のせいにするのも、要注意ですが、糖質過多が、神経系に悪影響を与えるとなると、看過できないような気持ちになります。

宜しくお願い致します。

Re: 老化現象

糖質制限冠れ者 さん

 コメント頂き有難うございます。

 老化の一部は糖化で説明可能です。
 従って糖化が関わると思われる老化現象は糖質摂取過多がほぼ確実に増悪因子となっていると思われます。

 難聴に関わる神経変性は糖質摂取によりケトン体の抗酸化力が低下する事で間接的に関わっていると思います。
 白内障は水晶体内の蛋白の変性によって起こると言われており、蛋白変性にも糖化が関与しているので、こちらも糖質摂取の影響ありです。
 緑内障に関しては糖化だけでなくストレスの関与も考えられます。

 2017年8月13日(日)の本ブログ記事
 「ストレスはほとんどの病気に関わる」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-1059.html
 も御参照下さい。

 加齢臭に関しても結果的には糖質摂取が関わっていると言えそうですが、深く考察した事はなかったです。余裕があればまた考えてみたいと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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