サイアミディン

人体を謙虚に観察する

コレステロールについての誤解は根深いです。

LDLコレステロールが「悪玉コレステロール」だと解釈するのがとんでもない誤解だということは、

当ブログでもこれまで取り扱ってきた話題です。

しかしそれに比べてHDLコレステロールが「善玉コレステロール」だとする考えに対しては、

あまり批判の風が吹いていないように思えます。

そんな中であくまで私の実臨床での印象ですが、

HDLが高い人が必ずしも健康でないと感じる事があるんです。
そのような違和感を感じていた時に、

次のような医療ニュースが私の目に飛び込んできました。

医療者のための専門情報サイト MT proより
HDLは量より機能?
コレステロール引き抜き能が心血管イベントのマーカーとして有望


(以下、引用)

HDLの重要な機能の1つに,末梢から肝臓へのコレステロール逆転送がある。

コレステロール逆転送系の第一段階は,HDLによるマクロファージからのコレステロール引き抜きであり,

最近の研究では,HDLのコレステロール引き抜き能と心血管イベントは,

HDLコレステロール(HDL-C)値とは独立して逆相関することが示された。

University of Texas Southwestern Medical CenterのAnand Rohatgi氏らは,多様な民族を含むDallas Heart Studyの参加者において,

こうしたHDLのコレステロール引き抜き能と心血管イベント発症との関連が認められたとする研究結果を第87回米国心臓協会年次集会(AHA2014;11月15〜19日,シカゴ)で報告。

HDL-C値よりも,こうしたHDLの機能が心血管イベントのバイオマーカーとして有用性が高い可能性が示唆されたとの見解を示した。

研究の詳細はN Engl J Med(2014年11月18日オンライン版)にも掲載された。

(引用、ここまで)



これは、要するに「量より質」だという話だと思います。

HDLでさえも、多ければ多いほど良いという単純なものではなく、

実際には生体内で様々な働きを担う、複雑な有機化合物だと思います。

血液検査の結果が全てだと考えてしまう人には、その数値の裏に潜む質の部分が見えてきません。HbA1cなどはその最たるものだと思います。

実際には我々が把握できていない事は思いのほか多いという事を私達はもっと知るべきだと思います。

そして人体というミクロコスモスに対して謙虚な気持ちで学び、向き合う必要があります。


こう言うと、じゃあ何を信じればいいのか、と言われそうですが、

これは私がいつも申し上げるのは「体調が最良のバロメータ」です。

人体の未解明の部分が数あれど、

実在する様々な化学物質が反応した結果が「体調」として現れるわけですから、

枝葉末節はどうあれ、体調さえよければ、

その方針は大きく間違っていないと私は思います。


たがしゅう
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LDLを薬で下げて満足する治療?

たしかにそうですね。脂質や糖質のみならず、医者は人体のことなど何もわかっていないのに、わかったようなふりをしている気がします。
LDLをとにかく下げればいいという事で、生来体質的にLDL/TCが高いだけの健康な中高年女性に対してわざわざスタチンを飲ませて、神経や筋肉を破壊するという愚かな行為が後を絶たないようです。そういう患者が原因不明の下肢の筋痛やしびれでさらに整形外科を受診してさらにさまざまな毒薬が追加されるというお決まりのコースです。
誰でも彼でもむやみにLDLを下げるのは意味がない。スタチンで高頻度に筋肉と末梢神経が障害されるという事実を医者が知っていれば、こんな医療費と診療にかかる時間の壮大なムダが省けるわけです。
医者を長くやっていれば、検査数値=真の体調でない事は誰でもわかるはずです。毒性を含有している薬で数値が下がっても何一つ喜べない。
そんな当たり前の事を日本人はよく理解したほうがいいでしょう。
こんな事を書けば、各方面から「営業妨害」とかで過剰反応して、さんざん叩かれるでしょうが。







Re: LDLを薬で下げて満足する治療?

アンチスタチン主義 さん

 コメント頂き有難うございます。

 LDLを下げれば全て解決するような、人体はそんな単純なしくみではないという事ですよね。

 たとえ営業妨害と言われようとも、私は自分の信じた道を歩んでいきたいです。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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