欲は良いのか、悪いのか
よく言われる三大欲というのは「食欲」「性欲」「睡眠欲」の3つを指すと思いますが、
食欲はつきつめれば自分以外の生物を、自分のために利用しようとする行為だと思います。
本当はそんな欲に頼ることなく、植物のように与えられたものだけを利用して、
生きて行けるのが一番理想的なのかもしれませんが、
ヒトに欲というものがある以上は、そんなことはお構いなしに他の生物を利用してしまうわけです。
今日はこの「欲」というものについて考えてみたいと思います。
私は断食の重要性を身にしみてよくわかっています。
断食が有効であるという事は、裏を返せばこれまでに「食べる」という行為によって弊害を受け続けてきたという事でもあります。
糖質制限理論を踏まえれば、断食こそが究極の糖質制限であり、
私が知る中で体調を元に戻すための最も強力な潜在能力を秘めています。
そんなに良いという事がわかっていても、しかもそれを一度経験しているにもかかわらず、
現在の私は断食を継続し続けることができていません。
理性では断食が良いことがきちんとわかっていても、いざ食べ物を目の前にして実行に移せない矛盾した自分がいる事に気が付きます。
欲深い自分がつくづく嫌になります。
でも、周りを見渡せばおそらくは国民のほとんどが1日3食しっかり食べていると思います。
何も食欲から逃れられないのは自分だけの話ではないのです。
悪い事にヒトはそうした行動を正当化しようとします。
「食欲は生きる上で必要なもの、だから1日3食食べなければならない。そのために他の動物を利用する事は食物連鎖であり自然の摂理」
ただ実際は食べる事によって身を滅ぼしているというのに、生きる上で必要も何もないでしょう。論理は破綻しています。
その欲を満たすためにヒトは文明を発達させてきました。少なくとも日本においては、ほとんどの地域でお金さえあれば食べる事に事欠かない環境が整備されました。
そのために農耕を生み出し、電気を発明し、国中にコンクリートを敷き、ひいては原子力まで操るという、
1万年前からすれば考えられない環境破壊を行ってきたわけです。
よくよく考えれば、それってこの上なくおこがましいことだと思いませんか。
そうであるにも関わらず、そのおこがましさがわかっているにも関わらず、
その「欲」をコントロールできない自分を、私は苦々しく感じます。
こう考えると、「欲」=「悪いもの」と考えてしまいそうになりますが、
他の「性欲」「睡眠欲」に関してはどうでしょうか。
「性欲」は異性とつながり、子孫を残したいがための欲求とされていますが、
これが本当に悪いものであれば、ヒトは滅びるべきだということになってしまいます。
ただ風俗業界やアダルトビデオ産業などの隆盛により、昔に比べて性欲はコントロールし難いものになりました。
マスターベーションの後に食欲が亢進するというような話もあります。
本来は生きていくために必要なものであった「欲」というものが、過剰に刺激され身を滅ぼしていると、
そんな社会構造になってきてしまっているのではないかという気がするのです。
「睡眠欲」も同様です。本来睡眠は疲れた身体をリセットし、再び生命活動を営むための重要なステップです。
最近の研究では寝ている間に活性化するグリンパティック系という脳の自浄システムの存在も明らかになっています。
しかしそんな「睡眠欲」を満たすために、世の中は睡眠薬にあふれ、お酒に頼り、
その結果、最終的に眠れなくて悩むというジレンマで溢れかえっています。
はたして欲は良いのか、悪いのか。
皆様はどう感じられますでしょうか。
たがしゅう