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サイアミディン

糖尿病専門医だけの問題じゃない

一般的に専門家であればあるほどパラダイムシフトの受け入れは困難ではありますが,

「糖尿病の食事療法はカロリー制限である」という従来の常識にとらわれて行動を変えることができないのは,何も糖尿病の専門家に限った話ではありません.

これは,ほとんどすべての医師が考え直さなければならないパラダイムです.

糖尿病の専門家が次々と糖質制限に対する批判を書籍や雑誌の記事で表明し続けている状況が続いていますが,

果たして他の分野の専門医はこのパラダイムシフト進行中の中,食事療法に対してどのようなスタンスなのでしょうか.

今回はある頭痛専門医の先生の本の中から,脳卒中を予防するための食事療法について書かれたコメントについて取り上げて考えてみたいと思います.



この本の中では食事療法について次のように書かれています.

~以下,抜粋~

脳卒中の最大の原因は何か.それはメタボ,すなわち太りすぎなのです.

特に,新婚の夫婦は要注意.毎日せっせと食事を作り,それが愛情表現だと思っている人も多いようですが,美味しいものを作るのがけっして良い妻ではありません.

それよりも夫や家族の健康のため,カロリーや食材を考えて食事を作るのが良い妻なのです.

そして一家に1台,体組成計などを買って,家族がそれぞれ体重だけでなく,内臓脂肪や基礎代謝,筋肉量などを最低でも週に1回は管理することも大事です.

夫婦だけで暮らしている老人よりも,大家族で暮らしている老人のほうがメタボが多いのは,子どもや若い人に合わせたものが食卓に並ぶからです.

老人には老人向けの食事を作ってあげる,そんな妻を選びたいものです.

なにしろ,摂取カロリー量は,年齢やその人の生活状況に応じた消費するカロリーに合わせて変える必要があるのですから.

「食べることに毎日楽しみを見出さないで,生きるために最低限のものを食べること」それが私の持論です.

~抜粋ここまで~


いかがでしょうか.

私はこの文章に非常に違和感を覚えます.

なぜなら,この先生は「メタボの原因=カロリーの摂りすぎ」と一義的にとらえてしまっているからです.

まず…

美味しいものを作るのがけっして良い妻ではありません.

おかしくありませんか.まるで「美味しいもの=太るもの」と言わんばかりの表現です.

糖質制限の理論を知った私に言わせれば「カロリーは高いけど太らなくて美味しい食べ物」は世の中にたくさんあります.肉しかり,魚しかり,卵しかり,チーズしかりです.

ちなみにこの先生は,「卵は1日1個まで」とも書かれていますが,この意見に私は反対です.

卵そのものはコレステロールが高いという理由で食べ過ぎないようにと言われますが,前にも述べたようにコレステロールそのものは決して悪いものではなく,むしろ生体に必要不可欠なものです.

本当に悪いのはそのコレステロールの悪玉/善玉バランスを乱す糖質なのです.

次に…

夫婦だけで暮らしている老人よりも,大家族で暮らしている老人のほうがメタボが多い

それは本当でしょうか.私は仕事から高齢者の方の診療を数多くこなしていますが,

高齢一人暮らしや老々介護でメタボ体型だという方はたくさんおられます.その情報は「カロリーの摂りすぎ=メタボ」という一義的な考え方で生み出された勝手な想像ではないでしょうか?

極めつけは…

「食べることに毎日楽しみを見出さないで,生きるために最低限のものを食べること」それが私の持論です.

これには全く賛同できません.

生きるために最低限のものしか食べられないなんて,想像しただけで辛いです.いくつになっても美味しいものは食べたいでしょう.

対して私の考え方は,「糖質の摂取を極力減らし,脂質・タンパク質を中心とした食事をしっかりと摂ろう」です.

そうすれば身体は年齢や性別,運動量や基礎代謝などから食べた量に応じて自然と空腹感・満腹感が調節されます.糖質制限をした事がある人はみんなその事を体感的に知っていると思います.

つまり,必要最低限かどうかはカロリーなど計算しなくとも身体がちゃんと教えてくれるのです.美味しいものだって食べられます.


というわけでカロリー神話のパラダイムにとらわれている医師は糖尿病の専門医だけではありません.

これは,すべての医師が真剣に考えなければならない問題です.

繰り返すようですが,専門医だからと言って盲信しては,やはりダメだと思います.

こうした書籍を正しく読み解くためにも「自分の頭で考える力」が必須です.


たがしゅう
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間違った知識

いつも勉強してます、サービス業の職業がら1人のお客様と一対一で二時間ほどつ着っきりで話します、多い日は10人します、2、3人は本人か家族が糖尿病です、皆さん糖尿病の知識が無いことに驚いていましす、糖尿病とはどんな症状なのか、血糖値とは、A1cとは、血糖値を上げるのは炭水化物、糖質だけ、脂肪、たんぱく質は血糖値を上げない、どんな食事がいいか、三大合併症、ケトン体等質問を受けながらお話してます、どんな質問がきてもいいように、江部先生の本その他いろんな本を見て答えています、お客様に聞くと、主治医はそんな事何も教えてくれない、バランスよくお米も食べてください、血液検査表ももらってないみたあです、これが実態と思います、医療以前の問題と思います、10人ほどの方が糖質制限を始められました、重症の患者さんは江部先生にメールし近くの先生を紹介してもらいました、なんか、これって、おかしいです。私は糖尿病、栄養学その他大変詳しくなりました。尚糖質制限する前は、主治医に相談してからと強く伝えてます。医師は何をしてるんですかね?薬だけだして、インフォームドコンセントがうまく行ってないかなーと思います、お客様は色々な事を次々に聞いてきます、病院の先生よりずっと解りやすい これっておかしい、絶対おかしいと思います、

Re: 間違った知識

奈良県吉野郡けんさん さん

 いつもコメントを頂き本当に有難うございます.

> お客様に聞くと、主治医はそんな事何も教えてくれない、バランスよくお米も食べてください、血液検査表ももらってない

 悲しいかな,まさにそれがほとんどの医療現場での実態だと思います.

 私は患者さんには血液検査結果は必ず印刷し,何かしらのまとめコメントを書き足してお渡しするようにしていますが,私の知る限りはそれができていない医師が多数派です.

 また糖尿病のコントロール指標のHbA1cの意味を知らない患者さんの多さを考えると,いかに医師がちゃんと説明できていないかということも痛感させられます.

 我々医療人も頑張らなくてはなりませんが,奈良県吉野郡けんさんのように勉強した非医療人の方がおられると下手な医療人よりもよっぽど心強いと思います.
 
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

南鹿児島さくら病院では職員を随時募集中です。
詳しくはホームページhttp://www.nissyoukai.or.jp/
を御覧になって下さい。
見学申し込みもお気軽にどうぞ。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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