サイアミディン

太るのはある意味身体を守っている

私は生まれながらの太り体質ですが、

やせている人をうらやましいと思う事はこれまでに何度もありました。

やせていればなんといっても見た目がかっこいいし、美しいです。

一般的にテレビに出ている芸能人で、美男美女とされる人はほぼ例外なくやせている(太っていない)ので、これは紛れもない事実だと思います。

しかし糖質制限を学び、食生活の問題の本質が肥満という所にとどまらないという事を知るにつけ、

やせている事が必ずしもよいとも思えないようになってきました。

いつも見ているケアネットの医療ニュースで次のような記事が紹介されていました。

正常体重者も非アルコール性脂肪肝に注意!
提供元:ケアネット公開日:2014/12/12

(以下、引用)

非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)を含む生活習慣病における介入は、

過体重および肥満者にフォーカスしていたため、正常体重者のNAFLD発症における成人期の体重増加の影響は明らかになっていない。

聖路加国際病院附属クリニック・予防医療センターの木村 武志氏らによる横断的研究の結果、

NAFLDが20歳以降の体重変化と強く関連し、この影響は正常体重の人でとくに大きかったことが報告された

この結果から、正常体重の健康な人でも早期および長期的な体重モニタリングが重要であることが示唆された。Journal of gastroenterology and hepatology誌オンライン版2014年12月3日号に掲載。

著者らは、健康診断を受けた参加者からデータを収集し、超音波診断によるNAFLD有病率を、20歳以降の体重変化1kg刻みで調査した。

相対リスク(RR)は、現在の体重(正常、過体重、肥満)によって層別化し、男女別に算出した。ロジスティック回帰を用いて、潜在的な交絡因子を調整したオッズ比(OR)および95%信頼区間(CI)を推定した。

主な結果は以下のとおり。

・2万1,496人の参加者のうち、NAFLDが3,498例(16.3%)にみられた。
・20歳以降の体重増加に伴いNAFLDの有病率が増加した。10.1~11.0kg増加した群では、男性で41.6%、女性で24.8%がNAFLDであった。
・四分位による多変量解析により、体重増加が男性および女性のNAFLDリスクと有意に関連していることが示された。
・体重変化(10kg増ごと)に伴うNAFLDのリスクは、過体重および肥満の参加者に比べて、正常体重の参加者で有意に高かった。
正常体重 男性:OR 7.53(95%CI 4.99~11.36)
     女性:OR 12.20(95%CI 7.45~19.98)
過体重  男性:OR 1.61(95%CI 0.91~2.85)
     女性:OR 2.90(95%CI 0.99~8.54)
肥満   男性:OR 4.0(95%CI 2.97~5.39)
     女性:OR 2.68(95%CI 2.00~3.60)


(引用、ここまで)



過体重や肥満の人より、正常体重の人の方が脂肪肝からの肝障害、NAFLDになりやすかったというデータです。

そもそも、肥満のメカニズムをおさらいしてみますと、

食べ物を食べたときに血糖値が上昇するイベントが起こり、

その血糖をエネルギーとして消費する他に、余剰な血糖をインスリンによって脂肪へ変換し貯蓄エネルギーとして貯める、

これが太るというメカニズムの本質だと思います。

太れるということは、まだまだ貯蓄スペースに脂肪を蓄える余裕があるという事であり、

まだまだ脂肪を蓄える事によって高血糖の害から身を守っているとも言えるわけです。

ただその代償に見た目が悪くなるというハンデを受ける事になりますが、これは「このままではまずいぞ」という警告のようにも受け取れます。

見た目が悪くなれば通常は危機感を感じ、体重を元に戻そうという意思が働きます。これは人体のホメオスターシス(恒常性)を保とうとする行動にも思えます。

しかし糖質には中毒性があり、そのおいしさがやみつきになると、多少見た目の美醜がどうなろうと、おいしさの方を優先してしまうことで

ホメオスターシスが破綻してしまうというのが中毒の恐ろしいところです。

しかしそれでも太って身を守れるのはまだ良い方で、

上記記事では過体重、肥満の順にNAFLDのリスクが上がっていますが、

それにも増してリスクが高いのが正常体重の人達です。

正常体重で体質的に太らないという方は、太らない代わりに糖質の害をダイレクトに受けている可能性があると思います。

NAFLDはその一表現型ではないかと思うわけです。

実際、私の外来でもやせているのにも関わらず、非常に体調を崩しているという人は多々おられます。

そう考えると太らない体質というのも多少考えものだと思います。


世の中には一般的に糖尿病治療やダイエットとして認識されることの多い糖質制限ですが、

それ以外で糖質の害を受け続けている人が不利益を被り続ける事のないように、

糖質の害の本質について今後もしっかりと伝え続けていきたいと思います。


たがしゅう
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

やせ体質

はじめまして、
先生のブログ毎日拝見しています。

私は、生まれながらのやせ体質です。ゆるい糖質制限をしていて、
もうすぐ1年経ちますが、以前は、
やせ=健康だと勘違いしてました。

健診で肺気胸と診断されたり、
心電図はB判定になったりと自覚症状はありませんが、確実に糖質の害を受けていたんだなぁ〜と思います。最近は、MEC食も取り入れて
少しですが体重が増えてきました。

肥満、やせ関係なく糖質制限は必須だと思います。

やせ形の糖質制限は難しい?

生まれながらのやせ体質です。10年前に一時期食生活の乱れで一過性にメタボになり今より15kg体重増で15cm腹囲増でした。エステに3か月だけ行って10kg痩せましたが、それ以後5~10年くらいは体重変わらず維持していたのですが、最近また腹が少し出てきたので、少しだけ糖質制限して腹はすぐに凹みましたが、体重がさらに減ってしまいました。体重が減ると頬がこけて何か体力が減退した感じがして見た目の印象も悪い。
やせ体質の日本人は糖尿病になりやすいと言われますが、太り体質に比べて糖質制限が実行しにくい感じがします。太り体質だと体重が減ればそれでOKでしょうが、やせ体質はそうはいかないので。太り体質の方がうらやましいですね。
欧州の人々は日本人ではありえないほど日常的に糖質・脂質を過剰摂取してますが、ほとんどの人はただ太るだけで糖尿病にはなりにくいみたいですね。平均寿命も日本人と大差ないみたいで。
メタボ肥満と高脂血症と糖尿病は全然関係ないのではないかと最近思いますね。
病気のメカニズムというのはそう単純ではないようで。難しい...
少なくとも薬で解決できるような単純なモノではなさそうで。

No title

凄くよくわかります。
私は太ることなくいきなり血糖300越えでした。
糖質制限しなければ、太ることなく血管閉塞合併症で泥沼だったのでしょうね。
太る=危険な血糖を速やかに脂肪細胞に押し込んでいる
という血管保護機能なのでしょうね。
太れるヒトというのは、糖質過多の現代食に
ある意味適応した人種なのかもしれませんね。
(もちろんそのまま糖質過多を続ければ悲惨な末路にはなるのでしょうが)

Re: やせ体質

けいこ さん

 コメント頂き有難うございます。

> 肥満、やせ関係なく糖質制限は必須だと思います。

 同感です。表面的な事にとらわれずに、糖質の害の本質を見失わないようにしたいですね。

Re: やせ形の糖質制限は難しい?

アンチスタチン主義 さん

 コメント頂き有難うございます。

 やせ体質、太り体質それぞれの悩みというものがありますね

> メタボ肥満と高脂血症と糖尿病は全然関係ないのではないかと最近思いますね。


 私の意見としましては、これらは一本の線につながっていると思います。

 ただ個人の体質によって表現型が糖尿病に現れやすかったり、メタボに現れやすかったりする違いが表れるという事であって、本質的には共通の起源を持って起こってくる現象ではないかと考えています。

Re: No title

へっぽこ さん

 コメント頂き有難うございます。

> 太れるヒトというのは、糖質過多の現代食に
> ある意味適応した人種なのかもしれませんね。


 一番良いのは糖質を摂取しても酸化ストレスを処理できて、太りもしないという人でしょうか。

 そういう意味では太り体質の人は不完全適応という事になるかもしれません。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
これまでの訪問者数
FC2アフィリエイト
メールフォーム
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR