サイアミディン

ストレスとアレルギーと副腎機能

今日はストレスとアレルギーの関係について生物学的な側面から考えてみたいと思います。

ます、生体防御の基本細胞はマクロファージと呼ばれる貪食細胞です。

マクロファージは全身にくまなく分布していて、異物を発見すると貪食・消化し、身体を細菌やウイルスなどの外邪から身を守る基本的な働きを担っています。

また例えば我々がどこかを怪我して内出血(皮下血腫)をきたした場合も、時間が経つといつの間にか消えているのは「血腫」という異物をマクロファージが貪食してくれているおかげです。

そのマクロファージが血液中を循環している場合、これを「単球」と呼ぶわけですが、

単球は生物の進化の過程で、主に交感神経によって支配される「顆粒球」と、主に副交感神経によって支配される「リンパ球」とに分化する事になりました。

顆粒球にはいわゆるストレスホルモンに相当するアドレナリンやステロイドの受容体があるので、

ストレスがかかった時には交感神経やストレスホルモンの働きによって即座に動員される事になります。
そして顆粒球は細菌のような大きい異物を貪食する事に長けているので、

生物が活動する時に手足が傷ついたりする場合を想定して細菌や打撲による血腫などを処理しやすいモードとなっています。

一方のリンパ球は副交感神経によって支配されるアセチルコリン受容体を持っています。

リンパ球はウイルスや花粉などの小さな異物を貪食する事に長けているので、

食事中や休息している時などには、空気などを介してするすると入ってくるようなミクロの異物を処理しやすいモードとなっています。

このバランスが取れている状態がいわゆる健康な状態であり、

交感神経と副交感神経のどちらか一方に負担がかかりすぎると健康ではない状態につながってしまいます。

そのうち交感神経を酷使し続ける事による弊害としては、不安痛みの原因になったり、

ステロイドの副作用を考えればわかるように様々な生活習慣病の温床にもなりますし、

もしかしたらパーキンソン病の原因にもなっているかもしれない事は以前にも触れてきました。

一方で、副交感神経が刺激され続ける方もあまりよろしくない事が起こるのです。

その最たるものがアレルギー疾患です。

リンパ球の過剰はアレルギー性の病気を引き起こすと言われています。

ちなみに生後まもなくは顆粒球優位、1~4歳がリンパ球優位、その後顆粒球の割合が徐々に増えていき、

15~20歳を過ぎると顆粒球:リンパ球=約60:35といういわゆる成人の正常パターンを示すようになっていきます。

その事が小児期にアレルギー疾患が多い理由のひとつと考えられています。

さて、一方でアレルギー性疾患に対してはステロイドが治療薬として使われます。

副交感神経系に振り切れてしまった病的状態を元に戻す場合には交感神経系を強制刺激する物質が役に立つ場合があるという事ですね。

そしてステロイドはストレスホルモンですので、同じ事はストレスがかかる事によっても起こりえます。

ところが実際私が診療に当たっていて思うのは、ストレスをすごく受けている人がアレルギーになりやすいという事実です。

もしストレスとステロイド投与で起こる反応が同じであれば、ストレスを受ける事によって自前のステロイドでアレルギー疾患が制御できるはずですが、

実際にはそれとは逆の事が起こっているわけです。その理由を私は次のように考えます。

おそらくストレスがかかってもうまくステロイドが分泌できていないのではないかと思います。

そしてこれは即ち、「副腎皮質機能低下症」、「副腎疲労」、「副腎不全」という病態につながるのではないでしょうか。

つまり、「アレルギーを起こしやすい体質の人は、多かれ少なかれ副腎の働きが落ちている」という仮説になります。



適度なストレスは身体を活性化させ自前のステロイドを分泌させる事によってアレルギーになる事はありませんが、

もしも過剰に副腎を酷使するような状況があれば、自前のステロイドが分泌不全に陥り、

交感神経機能不全によって結果的にリンパ球過剰増加の状態につながり、アレルギー疾患を起こしてしまうのではないかと私は思うわけです。

過剰に副腎を酷使する状況というのは頻回のストレス以外には頻回糖質過剰摂取、頻回のカフェイン摂取などがこれに当たりますが、

この状況の時に糖質制限をする場合は少し注意が必要になると思います。

次回はその事について触れたいと思います。


たがしゅう

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川本治療所

いつもたがしゅう先生のブログ大変たのしみにしています。いつかこのブログの内容が本になれば良いなと思っています。何度も読み返したいと思います。
さて副腎の大切さを昭和の初期から治療に取り入れておられる先生がいらっしゃいます。
ブログも大変参考になります。
川本治療所
http://kawamoto-r-1926.com/
ご参考までに。
川本先生も患者さんを治したいと一生懸命に取り組まれています。
寒さ厳しいですが体調崩されませんように。
元気で頑張ってください。

管理人のみ閲覧できます

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Re: 川本治療所

ミニパン さん

 コメント頂き有難うございます。

 川本治療所のブログ、私も時々見ています。参考になります。

 副腎の観点は糖質制限を考える上で極めて重要な視点であるように思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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