サイアミディン

別のポイントに注意を向けさせる

手品や推理小説の世界に「ミスディレクション」という言葉があります。

注意を引くような行動や話題を持ち出すことで、観客や読者の注意を引きつけ、

その間に気がつかれずに全く別の作業を進める事によって、あっと驚くような展開を繰り広げるテクニックです。

この別のポイントに注意を引きつけるという手法は、

なかなかうまく理解してもらう事ができにくい糖質制限指導において、有効である場合もあります。

私は糖質を制限することの意義をきちんと伝える事が王道だと思っているのですが、

王道にこだわっていたところでうまくいかない場面は、実際の臨床では結構あるんです。
かくなる上は、ウソまではつかないまでも、別のところに注意を向けさせつつ、とにかくまずは実行させ、

効果が得られたところでおもむろに糖質制限について詳しく説明するというのは一つのやり方だと思います。

例えば、MEC食の、「制限」というニュアンスを出さずに、肉、卵、チーズを主食のように食べることによって、

結果的に糖質を制限している状態にするというのも、この「ミスディレクション」を利用していると思います。


もう一つ私が実行した「ミスディレクション」を利用した糖質制限指導の一例を今日は紹介します。

相手は70歳代、骨密度が低下し背骨の骨がもろくなって頚椎症性脊髄症という状態をきたした男性です。

骨と言えばカルシウムが足りないと単純に考えがちですが、実際にはビタミンDも大事ですし、

何より大事なのは文字通り骨格に相当する蛋白質です。

私は糖質制限が骨を強くするのにも有効という考えを持っていますので、

この患者さんにも是非とも糖質制限を実行してもらいたいと思っています。

しかし糖尿病もなく、太ってもいないこの患者さんに糖質制限の話を普通にしたところで、8割拒否されて終わるのがオチですから、

私はここで「蛋白質」に目を向けさせるように患者さんの注意を引きつけようとしました。

たがしゅう「骨にとって何より重要なのは蛋白質です。

蛋白質が多く含まれているのは肉、魚、卵、大豆、チーズなどの食品です。これを積極的に摂って下さい。

一方で蛋白質がほとんど含まれていないのは、米、パン、麺類、イモ類などです。なぜならこれらはほとんど炭水化物だからです。

蛋白質が多く含まれる食品を積極的にとるためには、米やパンの量を半分や3分の1に減らし、

その減らした分を肉や魚や卵、大豆、チーズなどで置き換える、そのくらいの積極性がないと十分な蛋白質を確保できません。

場合によっては夕食だけでもごはんを抜いて全ておかずにするという事も蛋白質を十分に摂るには有効な手段です。

是非ともそのような食事を心がけるようにしてみて下さい。」


どうでしょうか。ウソにはなっていないと思います。

実際にこれで指導してみた私の感想としては、なんとなくうまく行ったような感じがしました。

全ての例でこのやり方が通用するわけではないでしょうけれど、

一つの方法として皆様とシェアしたいと思い記事にさせて頂きました。


たがしゅう
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別のポイントに注意を向けよう

おつかれさまです。
応用できますね。

上手とは思えない歌には、「心がこもっていたね」「元気が伝わってきたよ」

もらっても困る菓子類をもらったときは、「お心づかいをありがとうございます」

雨降りのときは、「風がなくてよかった」

脳トレにもなりそうです。

Re: 別のポイントに注意を向けよう

エリス さん

 コメント頂き有難うございます。
 
 いいですね。Win-Winの関係になる素晴らしい脳トレです。

Re: No title

✳︎ミノル✳︎ さん

 御連絡頂き有難うございます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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