サイアミディン

日常に溶け込んだドーピング

血糖値を下げることで知られるインスリンというホルモンは、

人体において身体を作っていくための同化ホルモンとしての働きも持っています。

糖質制限をしていれば、血糖値を下げる働きを発揮する必要はなくなりますが、

この同化作用がある事は、インスリンは最小限の量は必要で、決してゼロであってはならない理由の一つです。

そんな中、ケアネットより次のようなニュースが目に入ってきました。

甘い飲料をよく飲む女児では初潮が早まる
提供元:HealthDay News公開日:2015/02/12

(以下、引用)

砂糖入り飲料を多量に摂取する女児では、思春期が早まる可能性が報告された

この知見は「Human Reproduction」オンライン版に1月28日掲載された。

この研究は、9~14歳の女児5,600人弱を1996年から2001年まで追跡したもの。

食物摂取の詳細なアンケートから、飲料から摂取された砂糖量が算出された。

その結果、1日1.5サービングを超える砂糖入り飲料を摂取した女児は、週2サービング以下を摂取した女児に比べ、最初の月経(初潮)が2.7カ月早かった。

この関連は、女児のBMI(身長と体重から算出する肥満指数)、食物摂取量や運動とは独立していた。

平均初潮年齢は、砂糖入り飲料摂取が最も多い群で12.8歳、最も少ない群で13歳だった。ダイエット飲料は、初潮年齢の差には関連していなかったという。

早期の月経開始は、思春期のうつ病、成人後の乳がんのリスクファクターであることから、この知見は単に初潮を早く迎えるという以上の意味をもつ」と、筆頭著者である米ハーバード大学(ボストン)公衆衛生学部博士研究員のJenny Carwile氏は述べている。

指導著者である同大医学部准教授のKarin Michels氏は、「この研究は砂糖入り飲料が早期初潮の直接の原因だと示すものではなく、関連が示されただけにすぎない。

だが、加糖飲料は果汁のような自然に甘い飲料よりもグリセミック指数が高く、高グリセミック食品は体内のインスリン濃度を急速に高め、これが性ホルモンの濃度を上昇させることにより、早期の月経開始に関連しうる」と推測している。

米国飲料協会(ABA)は、この研究では因果関係の知見が欠けていると指摘。「女児の思春期開始は前世代より早まっており、その理由について科学的に一致した意見はない」と述べている。

別の専門家は、「砂糖入り飲料には栄養的価値はない。初潮が早まる理由が何であれ、何歳であっても、砂糖入り飲料を定期的に飲む理由などない」としている。

(引用、ここまで)


最近のこどもは成長が早いなんて噂を時々聞くことがありますが、

このニュースをみると、それもあながち間違いではないような気がしてきます。

砂糖入り飲料を飲めば、当然のことながら血糖値は急上昇し、インスリンの追加分泌が大量に起こります。

その結果、血糖値の乱高下が起こり、酸化ストレスが増大するということだけではなく、

成長期のこどもの場合は、ここにインスリンによって強力に同化作用が発揮されるという側面が出てきます。

平たく言えば早く育つという事になるでしょうか。

またインスリンの分泌を極力最小限に抑えるケトン食の副作用に低身長があるというのは、その事の逆を反映しているように思えます。

早く育つのは普通に考えれば良い事のように思えますが、

記事にもあるように、早期の月経開始は、思春期のうつ病、成人後の乳がんのリスクファクターになるという負の側面もあるため、必ずしも喜ばしいとは限りません。

それに本来初潮を迎える時期よりも早い時期に初潮を迎えるという事は、

一種のドーピングにもなっているようにも思えます。

ドーピングはその時には良くても、先々の事を考えれば身体に負担をかける行為です。

早く育つという事は、裏を返せば「早く老ける」という事にもつながります。

今さえよければよいと後先考えずに砂糖の中毒性に身を任せてしまうと、とりかえしのつかない事にもつながりうる危険性があります。

甘いものを食べると疲れが取れる」というのも同様の危険性を秘めています。

本来であれば疲れていれば休むべきです。それを砂糖というドーピングで体を奮い立たせるのが常態となってしまえば、

知らず知らずのうちに身を滅ぼしてしまうかもしれません。

そして最も怖いと思うのは、そんなドーピングとなる物質が、そうだと認識されずにあまりにも日常に溶け込んでいるという事実です。

中毒性があっても、そういうものだと認識されてさえいれば、

アルコールやコーヒーやタバコのように、それぞれが考えて人によって距離感を考える事ができると思います。

しかしそうだと認識されていなければ、距離感をどうしようかと考える発想自体が思い浮かびません。

まずは砂糖に、ひいては糖質に中毒性があり、ドーピング性があるという事を知るところから始めるべきではないでしょうか。

あと、ダイエット飲料(おそらく人工甘味料入り飲料)では同様の関連が示されなかったという事も何気に興味深いですね。

人工甘味料には未知の危険性はあるものの、少なくとも血糖値を上昇させないという点で砂糖より有利です。

やはり本質的に考えるべきことは、血糖乱高下とそれに伴うインスリン追加分泌の功罪だと思います。


たがしゅう
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非公開コメント

No title

なるほど、とても興味深いことですね。
我が家には小学生の息子が2人いますが、女児だけでなく男児の第二次性徴も早まったりするんでしょうかね。

女性ホルモンといえば、生理周期と早朝血糖値の間に明らかな相関があると感じています。
あまり影響がない人もいるみたいですが、個人差でしょうか。

No title

初潮年齢って、早い子と遅い子の間には5年くらいの差があります。
うんと早い子、うんと遅い子も決して少なくはなく、私の周りを見ても本当にバッラバラです。

そのなかで、2.7ヵ月って、ほとんど差がないも同然だと思うのですが、どうなのでしょうか、、。

Re: No title

みさこ さん

 コメント頂き有難うございます。

> 女性ホルモンといえば、生理周期と早朝血糖値の間に明らかな相関があると感じています。
> あまり影響がない人もいるみたいですが、個人差でしょうか。


 確かに糖質過剰の結果、脂質不足になれば性ホルモンに異常をきたし月経周期に乱れを生じる事は起こり得ると思いますが、実際に血糖値がどうなっていくかという事は予想が難しいです。

 みさこさんの場合は、生理周期と早朝血糖値の間にどういう関連があるのでしょうか。
 もしよろしければ向学のために教えて頂ければ幸甚です。

Re: No title

くろ さん

 コメント頂き有難うございます。

> 初潮年齢って、早い子と遅い子の間には5年くらいの差があります。
> うんと早い子、うんと遅い子も決して少なくはなく、私の周りを見ても本当にバッラバラです。
> そのなかで、2.7ヵ月って、ほとんど差がないも同然だと思うのですが、どうなのでしょうか、、。


 そんなに差があるものなのですね。知りませんでした。

 ただこの研究の場合は、砂糖入り飲料を飲んでいた群とそうでない群の平均を比較し有意差があったという事でしょうから、それなりの意味はあるのではないかと思います。

初潮 月経痛

たがしゅう先生

くろさんが言われる様に、確かに現実に周りでおこっている初潮年齢の差はもっと大きいですね。
ちなみに私はクラス1遅くて中2の半ば頃でした。身体の成長は何もかも周りより遅かったです。
そして娘も、初潮は中1。やはり身体の成長は周りより遅いです。

砂糖の過剰摂取と初潮年齢も関係性があるのかもしれませんが、糖質制限と月経痛も関係性があるでしょうか?
娘は緩いですが糖質制限をしています。月経痛とは無縁で全く痛くない様です。ですからほとんど煩わしさもない様です。
私自身も、子どもの頃は小食でしたが魚だけは毎日たくさん食べていました。それが緩い糖質制限になっていたのかもしれません。最初の頃は月経痛はなかった様に思います。
糖質制限で月経痛がなく快適な生活を送れるならそれは本当に嬉しい事です。

子どもを持つ親であれば、子どもの幸せをいつも願っています。
特に幼児期の食生活が身体や心の成長に大きく影響を与えるなら、親は無関心ではいられないはず。
糖質制限は、太っている人・不健康な人がするの?と未だに誤解してる方もおられますが、決っしてそうではない事を分かって欲しいです。

頭のかたい批判ばかりの医師よりも、子どもの健やかな成長を願う親の方が糖質制限を理解してくれるかもしれませんね。
甘い考えでしょうか?

女性ホルモンの周期と血糖値

http://ameblo.jp/misakodiabetes/entry-11982923501.html
http://ameblo.jp/misakodiabetes/entry-11985888930.html

私のブログに何度か書いていますが、どうやら私の場合、エストロゲンが分泌される時期には血糖値が低め、プロゲステエロンが分泌される時期には血糖値が高めになるみたいなのです。

(もちろん、風邪気味だったり、その他の要素もあるので必ずしも綺麗な相関を示すわけではないですが)


あまりこのような情報はネットにも上がっていないのですが、2型でも私のように女性ホルモンの影響を受ける人とそうでない人がいて、1型の女性はもっと影響を強く受けて血糖値の変動幅が大きい人が多いようです。

個人差もかなりあると思われます。

No title

たがしゅう先生、お返事ありがとうございます。
そして、HAPPY VALENTINE'S DAY! (^ o^) /
いつも私たちに色々な知識や視点を教えて下さるたがしゅうせんせいに、感謝の気持を贈ります♪

>ただこの研究の場合は、砂糖入り飲料を飲んでいた群とそうでない群の平均を比較し有意差があったという事でしょうから、それなりの意味はあるのではないかと思います。

たしかに研究としての意味はありますね。

ただ、たった2.7ヵ月の初潮年齢の差で、「成長が早い>老化が早い」とまで推論してしまうのは、ちょっと行き過ぎかなと思いました。
12.8才で初潮というのは(13才でも)、まったく早くも遅くもない、むしろ平均ど真ん中くらいの年齢だと思います。

ちなみに私の初潮は非常に遅く中3でしたが、老化が遅いと感じた事はありません。(残念です(-" - ;))
逆に、私より誕生日の遅い同級生は小5で初潮を迎えましたが、先日47才で自然妊娠から無事に健康な赤ちゃんを出産しました!(すごい!)
(ちなみに彼女はまったく糖質制限していません。)

糖質が老化に関係している事は私もこのブログや他の本などを読んで非常に納得していますし、自分も糖質制限しています。
ただ、糖質制限を強く推奨する文章のなかに、よく「なんでも糖質と短絡的に結びつけすぎでは」と感じる事も多く、ちょっと気になってしまいました。
(先生を指しているのではありません。失礼をお許し下さい。)




ありがとうございます

たがしゅう先生今日は。
いつも参考にさせて頂いています。

私は8才の娘と8ヶ月の息子がいて、私は糖質制限していますが、娘はおやつ大好きですが、ジュースだけは家で禁止しています。
大柄な子なので今回の話題は気になりますね。

私は高齢出産を糖質制限で乗り切り出産、息子は母乳で育てています。
ビタミンKなどの母乳の話題も参考になりました。

また私は副腎疲労が強いようで、卵を受け付けず、某先生と違って副腎疲労の問題も向き合い取り上げて下さる先生に
感謝します。

それからある理由から私も断食の必要があるので、先生の断食経験も興味深いです。

更新を楽しみにしていますので、多方面からの話題の提供よろしくお願いします(^o^)

Re: 初潮 月経痛

かず さん

 コメント頂き有難うございます。

> 子どもを持つ親であれば、子どもの幸せをいつも願っています。
> 特に幼児期の食生活が身体や心の成長に大きく影響を与えるなら、親は無関心ではいられないはず。
> 頭のかたい批判ばかりの医師よりも、子どもの健やかな成長を願う親の方が糖質制限を理解してくれるかもしれませんね。
> 甘い考えでしょうか?


 大事なポイントだと思います。

 糖質制限を伝えようと思う最大のモチベーションとなるのは、「どれだけ相手の事を想えるか」という事だと私は思っています。

 批判にさらされようと、私が糖質制限を推進し続けるのは、「患者さんに少しでもよくなってもらいたいから」です。

 お子さんを思う親御さんの想いに通じる部分があるのではないかと思います。

Re: 女性ホルモンの周期と血糖値

みさこ さん

 御返答頂き有難うございます。

> どうやら私の場合、エストロゲンが分泌される時期には血糖値が低め、プロゲステエロンが分泌される時期には血糖値が高めになるみたいなのです。

 興味深い御報告です。

 御指摘のように糖新生能や基礎インスリン量などによる個人差も大きいと思いますが、

 一つの可能性としてはエストロゲン優位の時期には代謝要求が高まり血糖低めとなり、プロゲステロン優位の時期にはその逆で血糖が高めになるという要素があるのかもしれません。

 参考になるレポートをどうも有難うございます。

Re: No title

くろ さん

 率直な御意見を頂き有難うございます。

> ただ、糖質制限を強く推奨する文章のなかに、よく「なんでも糖質と短絡的に結びつけすぎでは」と感じる事も多く、ちょっと気になってしまいました。

 御指摘の点、注意しなければと思いました。

 常にニュートラルな解釈を心がけているつもりですが、糖質制限推進派の立場をとっておりますと無意識の内に糖質制限びいきとなりがちなところも確かにございます。

 ただ一方で、糖質制限の視点を持って、今までの医学で定説とされている事を全て見直していかなければいけないという必要性も感じています。

 本論文の場合は、あくまで「平均集団における軽度の差」という解釈にとどめておくべきでしょうね。平均集団でそういう傾向であっても、個人において当てはまるとは限らないという事は十分にわきまえておく必要があります。

 それはいわゆるエビデンスを臨床応用する時にも同様の基本姿勢だと思います。

Re: ありがとうございます

ゆこ さん

 コメント頂き有難うございます。

 私の体験や考察が少しでもお役に立てれば嬉しく思います。今後とも宜しくお願い申し上げます。

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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