サイアミディン

もしも見えないがんを見つけられたらどうすべきか

NHKのサイエンスZEROという番組で、

『がんも!老化も!? 生命を操る マイクロRNA』と題してマイクロRNAの臨床応用について紹介されていました。

DNA(デオキシリボ核酸)が人体を形づくるためのの設計図だとすれば、

RNA(リボ核酸)はそのDNA情報がコピーされた情報伝達物質です。

DNAもRNAも、「塩基」と呼ばれる窒素を含む環状の有機化合物と、「糖」と「リン酸」から成っています。

DNAはアデニン (A) とチミン (T)、グアニン (G) とシトシン (C) の4種類の塩基、RNAはアデニン (A) とウラシル (U)、グアニン (G) とシトシン (C)の4種類の塩基は、様々な順番で並び配列を作り遺伝情報を構成しています。

またRNAのうち、蛋白質の情報を伝達する役割を持つものをmRNA(メッセンジャーRNA)と言います。

mRNAは、数千塩基もの長い配列から成っているのですが、なんとDNA全体の1.4%からしか作られないのだそうです。

残りの蛋白質への翻訳に関与しない98.6%のDNAからコピーされるRNAのうち、20~25塩基くらいの短い配列を持ったRNAを「マイクロRNA(miRNA)」といいます。
そのマイクロRNAが何をしているのかと言うと、

マイクロRNAはmRNAに結合することによって、mRNAからタンパク質が合成されるのを止めるという事が分かっています。

そんな事をしたら困るではないか、と思われるかもしれませんが、

生きていく上でタンパク質が合成されすぎては困るという状況があります。

例えば、ある細胞が細胞分裂を繰り返し成長していくために必要なタンパク質があるとします。

もしもこの細胞が際限なく分裂を繰り返してしまえば、その細胞はがん細胞となってしまいます。

そうならないように、ある種のマイクロRNAが働いて、細胞分裂に関わるタンパク質の働きを停止させ、細胞のがん化を防ぎます。

あるいは不要な細胞を排除するような役割もマイクロRNAは担っており、これが「老化のメカニズム」の一端を担っていると言われています。

一方でマイクロRNAは、あるタンパク質を活性化させる働きをする場合もあります。

タンパク質を作るのを止めるのになんで?と思われそうですね。

それはややこしいのですが、あるタンパク質に対しては複数のタンパク質が様々に関わって、複雑な生命活動を織りなしています。

その中であるタンパク質の合成を邪魔するタンパク質があった場合、その邪魔タンパク質の合成をマイクロRNAが止めてしまえば、結果的にそのマイクロRNAはタンパク質を活性化させる事にもなるのです。

しかも1つのマイクロRNAが止める事のできるタンパク質は数百種類にも及ぶと言われており、

進化の過程でマイクロRNAの種類も増えてきている事もわかり、ヒトの生命活動の複雑性の根幹を成しているとして、生命科学の分野で今話題となっているようです。

そのマイクロRNAは基本的に細胞の中に存在しているのですが、

細胞の外、すなわち血液中にも存在している事がわかっています。

それどころか、細胞どうしでマイクロRNAを介して、細胞間コミュニケーションを行っているという事もわかっているそうです。

例えば、母乳にもマイクロRNAが含まれており、そのマイクロRNAには赤ちゃんの免疫細胞を成長させる働きがある事がわかっています。

またある種のがん細胞では、自分が転移するために血管内皮細胞にマイクロRNAを介して働きかけたり、

自分を攻撃してくる免疫細胞をマイクロRNAで停止させたりするような事をやっている事も判明しています。

その事を利用して、あるがん細胞が特徴的に分泌するマイクロRNAの血液中での量を調べる事で、

まだ塊になっていないようながんの早期診断にも役立てようとしている動きがあるということ事も番組の最後で紹介されていました。

細胞生物学の複雑な話を大変わかりやすく紹介しており、総じて良い番組でした。


ただ最後の「血液中のマイクロRNA測定をがんの早期診断に利用する」についてですが、

可視化できるがんについてならまだしも、可視化できないくらいの早期のがんが発見された場合に、

通常は一体どういうアプローチがなされる事になるのでしょうか。

見えないから当然手術はできませんし、放射線療法も当てようがありません。

かくなる上は化学療法かという話になるのでしょうか。そんな事をすればアリをやっつけるのに核爆弾を使っているようなもので、

正常細胞に対するダメージは甚大で副作用の方が目立ってくる事は想像に難くありません。

早く見つければ良いというものではなく、早く見つけても治療方法が確立していなければむしろ有害となりえます。


私はそんな時こそ糖質制限だと思います。

がんが見えようと見えまいと、高血糖、高インスリン血症とがんのリスクを下げながら、ケトン体産生でがんの発育を押さえ込む事は、

がん治療の基本に据えるべきアプローチだと私は考えます。


たがしゅう
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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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