サイアミディン

巧妙なトリックに気づく

糖質を摂取すれば血糖値が上がる」、これは極めてシンプルな基本原理です。

この原理を理解すれば、血糖値を下げるためには糖質を控えるべきだということは容易に理解できると思います。

それなのに、カロリーを重視し食事の50-60%を炭水化物(=糖質+食物繊維)で確保しなさい、と勧めてくるのが従来の糖尿病食事療法のおかしさです。

なぜこのようなシンプルな原理を多くの医療従事者が受容できないのかという事に関しては、糖質の中毒性、お米信仰,カロリー神話,間違った栄養学、学会などの権威、専門医至上主義、マスコミによるネガティブキャンペーンなどなど

さまざまな根深い問題がある事を当ブログでも折に触れ指摘して参りました。

ただそれでも糖質の問題は比較的シンプルなので、時間はかかれど、多くの人が理解してくれるようになるのは時間の問題だと私は思っています。

しかしながら、この問題と連動するはずのコレステロールの問題は理解するのに少し注意を要します。
というのも、コレステロールの場合は「コレステロールを摂取したらコレステロールが上昇する」という単純な仕組みにはなっていないからです。

むしろ食事からのコレステロール摂取を増やせば、自分の身体の中で作られる内因性のコレステロール合成能は弱まります。

人体は恒常性(ホメオスターシス)を維持するために巧妙な仕組みが幾重にも張り巡らされているのです。


ところで、2015年度版『日本人の食事摂取基準』においてコレステロールの摂取基準の撤廃についての日本動脈硬化学会の見解について記事にした際に、

同学会が「高LDL-C血症患者、すなわち体質的にコレステロールが上がりやすい人は、やっぱりコレステロールを摂取するのを控えなさい」という見解を述べている事を紹介しました。

しかしこれもよくよく考えてみて下さい。

体質的にコレステロールが上がりやすいと言いますが、それは本当に「体質」という一言で片付けられる現象なのでしょうか。

学会の基準を守ってせっせとコレステロール摂取を制限している人の身体の中では何が起こるでしょうか。

食事性のコレステロール量が減るので、内因性のコレステロール合成能が高まります。

それでも糖質制限をしていれば、コレステロールの値は本人にとってのちょうどいいところに落ち着いてくる事が多いですが、

そういう人の多くはコレステロールは制限すれど、糖質はしっかり摂ってしまっていますので、

血糖値が上昇し、追加インスリンが大量に分泌され、インスリンの作用によって脂肪合成・蓄積系へと代謝が進みます。

コレステロール制限、糖質摂取のダブルの働きで内因性のコレステロールはますます上昇していくという事態になります。

言わば、学会の言うようにすればするほど、コレステロールが下がらないということです。

その状況を以てして、「ほらね、あなたはコレステロールを制限していても体質的にコレステロールが上がる人なのだから、薬を使ってコレステロールを下げないダメなんですよ」などと言われたらどうでしょうか。

それは本当に「体質」でしょうか。

糖質取らせて薬で血糖値を下げる、というのより巧妙なマッチポンプ現象が成立していると思いませんか。


さらに、コレステロールは人体に必要な物質であるにも関わらず、

「コレステロールは悪いもの」というイメージ付けは世間に完全に定着しきっています。

糖質の場合は、単純化すると「糖質は血糖値を上げる」→「だから糖質を控えるべき」というシンプルな説明で行けますが、

コレステロールの場合は、理解してもらうのに「①コレステロールは必要不可欠な物質」、「②食事で下げると内因性が高まる」、「③食事コレステロールを下げても糖質摂取すれば合成が高まる」という事を理解してもらって初めて、

「糖質を制限していればコレステロールはしっかり摂取してもらってよい」という話につなげることができます。

もっと言えば、現在のコレステロール値の基準はそういう理解がされないままコレステロール悪玉説がある中で作成されている基準値です。

その基準値より多少高いところで私は問題ないと思います。コレステロールが高くなっているのであるとすれば、そこにはどうにかしようと働いている身体の意向があるはずです。


ともあれ、このような巧妙なトリックに気が付くべきだと私は思います。

信じられない人は、一度で良いから糖質制限をして心ゆくまでコレステロールを摂取してみることです。

その時のコレステロールの値も参考にはなりますが、一番は自分の体調が良い方向に変わっていく事を感じられます。

その実体験が得られれば、何が正しいかは言わずもがなだと思います。


たがしゅう
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No title

たがしゅう先生こんにちは。
私の場合、
糖質制限前・・・中性脂肪88(脂肪肝)、HDL51、LDL183でスタチンを処方されました。

現在ではスタチンを中止してから2か月たちましたが中性脂肪39、HDL58、LDL121です。


以前は卵やマヨネーズは制限していました。
現在は1日3個の卵を食べています。


実際に自分でやってみないと、実感できない人はきっと多いと思います。


ちなみに血糖値は475→87になりました。

Re: No title

みさこ さん

コメント頂き有難うございます。

まさに実体験を経て体調とデータの改善を実感されていますね。素晴らしいです。

No title

たがしゅう先生はじめまして。ブログを読んで、とても勉強させてもらっています。当方27歳、163cm、46kgの男性です。

お聞きしたいのですが、糖質制限をすると肝臓機能の低下が起こる事はありますか?

僕はずっとかなりの痩せ型で、ずっと炭水化物メインの食事(スイーツに関しては依存)でした。
脂身の多い肉などを食べるとすぐに下痢になったり、タンパク質や脂質はあまり食べられませんでした。しかしまったく太りません。

その代わり不眠、朝起きれない、日中のだるさ、欝傾向、そして肌が汚く脂漏気味といった症状に悩まされていました。先生が言及されているように、太らない代わりにこうした害が出てしまう体質なのでしょう。それで糖質制限を知り、実行しました。

緩やかに糖質制限を始めて二ヶ月ほどなのですが、体調が徐々によくなってきています。嬉しいです。ですが、顔色が明らかに悪くなってしまいました。そして手と腕の毛穴が赤くなりました(毛包性湿疹?)。

土気色というのか、黄色いようなどす黒いような。。調べると、肝臓機能の低下が上記の症状を引き起こすとあって、不安になり質問してしまいました。また、体重がより痩せてしまいました。

今は基本的に肉類を毎日200gは食べていて、タンパク質の量はかなり増えました。しかし、脂質は上手い取り方がわからずあまり取れていないと思います。

糖質に関しては、平均すると週に1度ご飯茶碗1杯分の白米とアイスクリーム1つくらいはとっています。

自分の食事方法が以前と全く違うので、体がついてきていないのかな、とも思ったり。

元々肌改善のために始めましたが、自分の体調が明らかに違うので、基本的にはこのまま糖質制限を続けたいと思います。だからこそ、少し不安になってしまいました。

長々と、申し訳ありません。お時間ある時にお答え頂ければ嬉しいです。

Re: No title

kh さん

 御質問頂き有難うございます。

 一般にやせ体質の方はketogenic(ケトン体質)に切り替えるのが太り体質の人よりも難しい印象があります。

 ketogenicに切り替えるには、脂質>タンパク質>糖質の順に向ケトン性ですので、やはり脂質の使い方が重要になってくると思います。味噌汁やコーヒーにココナッツオイルを混ぜたり、生クリームやバターを調理に多様したり、純粋な脂質を食生活の中に積極的に取り入れるようにしてみられる事をお勧めします。

 それとkhさんの場合は途中までうまく行っていたのに調子が悪くなってきたという事ですので、
 肉をたっぷり食べている事で、肉の中の何らかの成分にアレルギーを起こしている可能性もあると思います。遅延型アレルギーの可能性もあります。

 この場合は蛋白量を減らしてケトン食に近づける、すなわち肉の量を少し減らしてみるというのも一つだと思います。それでよくなれば肉を再開あるいは卵を多めにしてみる、それでもよくならなければ弱った消化管を修復させる時間を与えるためプチ断食を組み合わせるのも一つかと思います。

 プチ断食中に身体を修復させるための栄養は?と思われるかもしれませんが、ガリガリの人でも1ヶ月水だけで生き延びられる脂質は蓄えられていると言われていますし、断食中はオートファジーという自分の蛋白を分解して再利用するシステムが活性化します。従って糖質制限をベースに生活なさっているのであれば、少々の断食で体調が大きく崩れることはおそらくないと思います。

 あと、顔色が土気色というので直ちに肝機能障害とは限らないと思います。どこかのクリニックで血液検査をして肝機能を確認してもらってはいかがでしょうか。理論的には糖質制限そのもので肝機能障害をきたすことはないと思います。

 あくまでネット上で未診察でのアドバイスです。参考程度に留めて頂ければ幸甚です。

No title

たがしゅう先生こんにちは。昨日質問させて頂いたkhです。早速の返答、本当にありがとうございます。

ケトン体質に変えるには、やはり脂質が重要なのですね。とにかく肉(たんぱく質)の量を増やさないと、とばかり思っていたので、少し減らしてみて、脂質を増やして様子をみてみます。

そういえば、最初は豆や豆腐の植物性たんぱくも結構取っていました、今はあまり取らずです。もしかしたら、それも関係あるのかもしれません。

また、痩せ型の自分にとっては食べる量を「減らす」という発想は無かったので、プチ断食もとても興味深いです。やはり、消化の問題?が、痩せ体質の自分には関係あるのかな、、。必死に体が食物を消化しようとしてくれているのかもしれませんね。

太りたいのに太れないのも当事者にとっては中々辛いです。ですが、糖質制限で何かつかめそうなので、自分に合った方法を探していこうと思います。

「ネット上で未診察~」重々承知しております。ありがとうございます。

先生のブログ、本当に勉強になります。しかも、すごく面白いです。本当にありがとうございます。これからも勉強させていただきます。

ガッテン

たがしゅう先生

先日、NHK試してガッテンにて腸内細菌と糖尿病を絡めた話で「食事制限も運動もしない糖尿病改善法」を放送していました。
http://www9.nhk.or.jp/gatten/archives/P20150610.html

何時ぞやの特集でもやっていた気もしますが、簡単に言えば
・一部の腸内細菌がインスリン分泌を促す
・食物繊維を取って腸内環境が変わりその腸内細菌を増やすことができる
・食事に食物繊維のものを増やすだけでよい
・おかずが増え自然と糖質も減る(!?)
・インスリンが適切に分泌されるようになり血糖値も下がる
というものです。

これらを行ってインスリン注射がいらなくなった人も紹介されていましたが、新しいようで従来の域をでないような気がします。繊維を取るというのはずっと言われてることですし…。
むしろ、インスリンをより多く分泌させる方向に持っていくというのが、さらに膵臓を疲弊させそうな気がしそうで怖いです。

それで「食事制限なし!」と番組で紹介するのですから酷いものです。そんなこと言ったらいくらでも食べますよ(笑)

Re: ガッテン

mina さん

 コメント頂き有難うございます。

 私はその番組を見ていませんが、頂いた情報を見る限り夢の方法でも何でもないと思います。

 腸内細菌がインスリン分泌を促すというのは、インスリン注射で血糖値を下げる発想と根本は同じです。

 むやみに血糖値を上げず、必要最小限のインスリンで現状維持させる事が本来目指すべきところだと思います。糖質を控える事抜きには語ることはできません。

No title

たがしゅう先生

再びブログで色々教えていただけて非常に心強いです。今回の内容も参考になりました。

糖質制限を通して何でも自分の頭で考えるようになりましたから、先ずは「疑う」事からはじめます。すると既存の常識が本当の事なのか否かという点に目がいきます。

コレステロールの問題も以前から不思議な部分がありました。高い事が即悪い、と決め付けてよいのだろうか疑問でした。

私自身、糖質制限を開始してから糖質以外の食制限を一切止めました。それで体調が非常に良好な訳ですから自らの選択に満足していました。

くんだみえ

Re: No title

栗田三江(くんだみえ)さん

コメント頂き有難うございます。

まことしやかな言い方や一見正しそうに見える理屈も、裏がある事は多分にございます。

進むべき道を見失いそうな時に一つの道標になるのは自分自身の「体調」です。体調がよければ大筋は間違っていないと思います。

逆に言えば、体調が悪ければどこか見直さなければならない事を見落としている可能性があるので注意が必要です。

人間ドック

こんにちは。
いつも共感しながら拝見しております。
私は昨年12月から糖質制限を始めた52歳男性です。主に肉・卵・チーズと葉物野菜中心の食事に変えました。そして先週末、糖質制限開始後初めての人間ドックを受けました。

結果の全ては出ていませんが、最後の診察時、奥さん共々コレステロールの上昇に注意喚起を受けました。これは想定内だったので気にしませんでしたが、尿酸値が久しぶりに上がって(8.2)しまったのは意外でした。ドックではほとんど正常範囲だった私が唯一注意されていた数値が尿酸値だったのですが、ここ数年は正常に近い位置まで下がっていたのでびっくりです。

これはどう判断すればよいのでしょうか?これに伴い、尿管結石につながる石の発見もありました。何かお気づきのこと、ご提案などがあれば教えていただければ幸いです。

図々しいのは承知の上ですが他に訊ける方もおらず、よろしくお願いいたします。

身長180センチ、体重67キロ、毎日1時間以上の早めの歩き、週二回の簡単な筋トレを継続しています。飲酒は毎日ですがビール350mlに焼酎1杯くらいです(休日は倍くらい)。

Re: 人間ドック

のぼる さん

御質問頂き有難うございます。

> ドックではほとんど正常範囲だった私が唯一注意されていた数値が尿酸値だったのですが、ここ数年は正常に近い位置まで下がっていたのでびっくりです。
> これはどう判断すればよいのでしょうか?


一つの可能性ですが、軽い絶食をするだけでもコレステロール、尿酸は急上昇します。

別の言い方をすれば、尿中にケトン体が出るくらい高値のケトン体が産生されるような十分な糖質制限やケトン食、あるいは絶食療法をすれば、尿中が産生のケトン体があるために同じく産生の尿酸が尿中に排泄できなくなり、血中の尿酸値が上昇します。

従って採血をしたタイミング、例えば糖質制限ベースの人が寝ている間に絶食で翌朝空腹時に採血をするだけでも容易に上昇する可能性があります。その値は食後に速やかに正常化し、常に尿酸が高いわけではないかもしれません。

個人的には今尿管結石や痛風がない限りはあまり気にしなくて良いと思います。

No title

たがしゅう先生
ありがとうございます。気が軽くなりました。
しばらく様子見をすることとします。

糖質制限を始めてから体調は良いので、これを信じて続けてまいります。
先生も色々大変な問題もあろうかと思いますが、陰ながら応援させていただきます。

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このコメントは管理人のみ閲覧できます

ガッテンさんは

良くやらせ問題になっていて余り信用できないんですがどうなんでしょう?

Re: ガッテンさんは

ねこ丸 さん

> 良くやらせ問題になっていて余り信用できないんですがどうなんでしょう?

 申し訳ありませんが、御質問が漠然としすぎていてよくわかりません。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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