サイアミディン

「オートファジー」について学ぶ

先日NHK Eテレで放送されている「サイエンスZERO」という番組で、

長寿のカギ!?細胞内のリサイクル”オートファジー”」と題して、

私が注目しているオートファジーについてわかりやすく特集されていました。

この番組は、科学の最先端の情報をわかりやすく噛み砕いて説明してくれるというのでなかなか良い番組です。

番組の冒頭で進行役のサイエンス作家の竹内薫さんが、

同じく進行役で女優の南沢奈央さんに対して次のような質問をされていました。

「タンパク質の原料となるアミノ酸はどこから来るんでしょうか?」

それに対して食事からではないかと答えた南沢さんに対して、竹内さんは「う〜ん、半分正解かな?」と言って、次のように続けられるのです。
「食事からくるアミノ酸だけでは足りないんです。そこで効いてくるのがオートファジーで、実は細胞の中のタンパク質をリサイクルしているんですよ。」

竹内さんはさらに次のようにも続けられます。

「ヒトの場合ですと1日にだいたい200gのタンパク質を作ると言われています。ところが食べて摂取するタンパク質は1日に70g程度なんです。残りはオートファジーで補っているんですよ。」

番組の中では飢餓状態でオートファジーが活性化するという事が、もともとは酵母の実験から示されたこということを発見者の先生を交えて紹介されていました。

さらにはこのオートファジーは無差別にタンパク質を分解するのではなく、ある程度ターゲットを絞って分解していくという現象があることも示されました。

具体的にはAtg40というタンパク質を目印にしているとのことです。

逆にDNAのような生命の根源部分を構成する分子にはオートファジーが絶対に攻撃しないような仕組みも備わっているそうです。

どんな時にAtg40が出現するかというと、飢餓状態がまずひとつ、

あるいは小胞体やミトコンドリアといった細胞内小器官が過剰に存在するしていたり機能不全に陥ったりした時にAtg40が発現するそうです。

面白い話はさらに続き、卵子と精子が受精した後にもオートファジーが活性化すると述べられていました。

哺乳類の場合は受精してから子宮に着床するまで1週間前後と非常に長い時間がかかりますが、その時の栄養素をオートファジーをしながら自給自足していると考えられています。

それ以外にも細胞の中に入った細菌を分解するのもオートファジーの仕事の一つだという事もわかってきますし、

当ブログでも時々紹介する異常タンパク分解システムとしてのオートファジーの役割、とりわけパーキンソン病のような神経変性疾患との関連についても紹介されていました。



このように生命活動の維持においてオートファジーが根源的な部分を担っているという様子がよくわかると思いますが、

オートファジーを通じて現代栄養学の常識、ひいては糖質制限を経て言われている新しい栄養学に関しても見直すべき点がある事が見えてきます。

例えばカロリー理論が破綻している事はこれまでにも紹介してきましたが、

オートファジーで合成されるタンパク質の量も計算に入れないと食べもののカロリー収支だけでは説明できないという事がわかります。

あるいは必須アミノ酸を1日に必要な量だけ摂らないといけないという話も、オートファジーの事を考えるとはたして本当だろうか、という思いにもなります。

さらに言えば、断食を繰り返し行う事でオートファジーを活性化させた状態にあれば、

普通の人で必要とされる食事からのタンパク質必要量よりもぐっと少ないタンパク質で必要量に到達するため、

多くのタンパク質は余剰となり、糖新生や脂肪酸合成に回されるようになると、

その事がちょっと食べただけですぐ太るという状況になる一因となっているのではないかという考えにも至りました。

実際にはオートファジーの活性化具合は測れないので、どうしても推測にはなってしまいますが、

おそらく今の私がまさにそういう状態になっているのではないかと思っています。

ただ、糖質制限をしているにも関わらず、ちょっと食べただけですぐ太るという私のような方は、

言い方を変えれば「オートファジー上手」です。

もともとの命に備わった根源的なオートファジーという機能をうまく使えば、

万病予防に役立つと私は考えます。


たがしゅう
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No title

たがしゅう先生

オートファジーの機能を誰でも上手に使いこなす事ができるようになったら、現状の身体を維持しながら食費の削減が可能になりますね。
地球環境に優しい方法だと思います。

Re: No title

郷士郎 さん

 コメント頂き有難うございます。

> オートファジーの機能を誰でも上手に使いこなす事ができるようになったら、現状の身体を維持しながら食費の削減が可能になりますね。
> 地球環境に優しい方法だと思います。


 同感です。

 例えば1日3食の習慣が2食になるだけでも地球全体で考ればかなりの食糧節約になると思いますし、
 病気の予防にもなるので、医療費節約にもつながっていくと思います。

 習慣依存からの脱却がなかなか難しいですが、これからも少食は心がけていきたいです。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

ありがとうございます

たがしゅう先生

一読者の一人の私にご丁寧な返信を下さり、本当に嬉しくて心が少し軽くなりました。

糖質制限は続けます。タンパク質も摂るように頑張ります。

ありがとうございます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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