サイアミディン

歴史を検証して真実を導く

先日、日本糖質制限医療推進協会の東京講演会に参加して参りました。

江部先生を理事長とし、夏井先生を顧問とするこの会主催の講演会に参加するのはかれこれ7回目くらいになります。

今回はその両先生が一同に会して講演をなさるという事で興味を持ちました。

江部先生がお話する糖質制限食の基礎理論は流石に頭に入り込んでいるつもりですが、

この度は夏井先生が今までとは違う切り口から糖質制限に関するお話をなさいました。

講演のタイトルは「糖質制限から初期人類の謎に迫ってみる」、実に夏井先生らしい内容です。

初期人類の動向というのは糖質制限食という人類の健康食を考える上で非常に重要な観点ですが、

いかんせんその頃の資料は遺跡くらいしか残っていないので大部分を類推するしかない所があると思います。

そのあやふやな領域を、様々な状況証拠を集めて現時点で考えうる最も真実に近い内容を導き立証していくという実に見事なプレゼンテーションでした。
今回はその内容の一部で、私が大変参考になった事を皆さんとシェアしたいと思います。


夏井先生は農耕が始まる前の人類のおよその身長と、

それ以降の人類の身長の遺骨から導き出したデータを紹介し、

人類は農耕開始とともに低身長化したという事を導き出しておられました。

具体的には以下のようになります。

        女       男
縄文時代 149cm    158cm
弥生時代 150cm    161cm
古墳時代 152cm    163cm
鎌倉時代 145cm    159cm
室町時代 147cm    155cm
江戸時代(前期) 143cm    155cm
江戸時代(後期) 145cm    156cm
明治時代 145cm    155cm
昭和23年 150cm    161cm
昭和40年 153.4cm   164.9cm


これをみると確かに古墳時代までの初期人類は、

確かにそれ以降の人類よりも平均身長が高いことがわかります。

その境目は農耕開始の時期と一致しますので、さもありなんという内容です。

そして鎌倉時代以降で低身長状態が続き、再び人類の身長が初期人類に追いつくのはなんと昭和40年(1965年)、歴史的にみればつい最近の話です。

夏井先生は低身長の原因は糖質摂取に伴う慢性栄養不足ではないかと指摘されていました。

すなわち農耕開始により狩猟採集の時間が減り、動物性蛋白と脂質の摂取量が減った事が大きな原因だという事です。

そして身長が伸び始めた昭和40年頃と言えば高度経済成長期、いわゆる「食の欧米化」が進み始めた頃です。

とかく悪く捉えられがちの食の欧米化ですが、

それまでの人類に足りなかった脂質とタンパク質の摂取量を増やしたという意味では人類の健康に貢献した側面もあると思います。

それが証拠にこの時期には身長だけではなく平均寿命も伸びましたし、

初期人類の女性の初潮発来時期は遅く、成熟するのが20歳頃だった事もわかっているそうですが、近代になるに連れその成熟速度も早くなっています。


私は糖質はいわばインスリン強制刺激物であり、

インスリン様ペプチド(IGF)のような成長作用を介してドーピング的に人類に高身長をもたらす可能性はあると思っていましたが、

この歴史的考察からは糖質継続摂取による身長増強効果は付け焼刃的で長続きせず

結果的には高糖質食は人類に低身長をもたらすと考えざるを得ません。

本当に人類の高身長化に貢献していたのは糖質ではなく、脂質とタンパク質であったのだろうと思われます。

その一方でケトン食の副作用には低身長があります。ケトン食とは簡単に言えば低糖質、高脂質、低タンパク質の食事です。

この事実を照らし合わせると、より高身長化の最も重要な要素は「タンパク質」という事になります。

子供が成人するまでの間は糖質ではなく、タンパク質をいかに十分に確保するかという事が重要なのだと思います。

そしてこの仮説によって、より自信を持って子供に糖質制限を勧めることができると思いますし、

ケトン食というのが人為的に操作を加えた食事で、本来の姿ではないのかもしれないという観点も見えてきます。


私は糖質制限で解決できない問題に関しては、

ケトン食をうまく利用することを推奨していますが、それは子供と大人では事情が異なります。

大人は普段からケトン体を上手に利用できるケトン体質にしてさえいれば、

少々食事量が少なくても、身体の様々な所に蓄積された脂肪を利用して、燃費の良いエネルギー源であるケトン体をフル活用する事ができますし、

タンパク質はオートファジーという自己消化再利用システムを利用して、最小限のタンパク質でやりくりできます。

しかしオートファジーでは今そこにあるタンパク質以上のタンパク質を手に入れることはできません。

こどもが身体を大きくしていくためにはオートファジーだけでは不十分で、それ以上にタンパク質を上乗せで確保していく必要があるのだと思います。

だから難治性てんかんなどの特殊な事情がない限りは、

こどもに対してもやはり基本は糖質制限だと私は思います。


たがしゅう
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非公開コメント

たがしゅう先生
いつぞやはご相談乗っていただきありがとうございました。
うちの低身長長男ですが、悩んだあげくにやはり糖質制限は続行しております。
続けることで、色々学びもありました。
子供は、常に母を鍛えるために色んな問題を与えてくれます。
皆さんのお陰で、その問題への対処に奮闘する毎日が、なんだかとても楽しめるようになってきました。
またお会いできるの楽しみにしてます。
糖質制限ママさん達も仲間に増えました。
色々お話ししたいです❗

身長について

たがしゅう先生
明治時代男女ともにが最も身長が低いというのは驚きです。男性の身長が鎌倉時代よりも4センチも下がっていたり、明治時代は想像以上に貧しい時代だったのかもしれませんね。
確か室町時代以降はそれ以前よりもずっと早いスピードで人口増加が進んだので、その増加を賄うために食事の質が落ち、低身長として現れたのかも…とも思います。
日本は江戸時代には人口3000万人で、それが日本の適切な人口だという人もいますが、食事面ではかなり無理をしていたのではないかと考えさせられます。

ところで、オートファジーの仕組みを解明した日本の研究者がノーベル賞受賞を有力視されているそうです。
糖質制限を知る前は何ら興味もなかった話でしたが、今では非常に関心を持って受賞を期待しています(笑)

Re: タイトルなし

山本 みわこ さん

 コメント頂き有難うございます。

 少しでもご参考になれば幸いです。
 悔いのない子育てになられる事を祈っております。

Re: 身長について

mina さん

 コメント頂き有難うございます。

 江戸時代と言えば、同講演内で徳川15代将軍の身長について調べたデータもあって、15代将軍は当時の贅沢な生活を送っていたと思われるにも関わらず身長120~150cm程度と軒並み低身長であったという事も紹介されていました。
 マニアックですが、極めて参考になるデータでしたね。

> ところで、オートファジーの仕組みを解明した日本の研究者がノーベル賞受賞を有力視されているそうです。
> 糖質制限を知る前は何ら興味もなかった話でしたが、今では非常に関心を持って受賞を期待しています(笑)


 そうですね。素晴らしい研究と思うので、是非ともノーベル賞獲得してほしいと思います。
 そしてオートファジーの本当の価値を私たちは見失わないようにしないといけないとも思いますね。

ノーベル賞

たがしゅう先生
ノーベル賞は見事日本人研究者が受賞されましたが、伝染病の治療法に関しての授与でしたね。
オートファジーじゃないのか、とも思いましたが、同時受賞者の中国人研究者・屠さんもまた興味深い存在でした。

中国の古典医学文献を研究して、それを元にマラリアの治療薬発見に繋がったという話は非常に驚きました。
このノーベル賞受賞によって漢方のあり方や研究が見直されるかもしれませんね。今度どう伝えられるが非常に興味深いです。

Re: ノーベル賞

mina さん

 コメント頂き有難うございます。
 
 抗寄生虫薬は確かに貴重な薬なので、なるほどそこに目をつけたかという感じでした。
 土の中から見つけた微生物から抽出した成分を薬に応用されたそうですね。

 中国の方の受賞内容も大変興味深いです。
 経験則を積み重ねた古典から学べる事は非常に多いと私は思います。

 2014年11月18日(火)の本ブログ記事
 「旧来からの事実を紐解いていく」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-485.html
 も御参照下さい。

 まぁ、iPS細胞の時も思いましたが、世間と私達糖質制限実践者の着眼点は違います。オートファジーもそうですが、もっと人類のとって価値が大きいのは糖質制限です。これこそノーベル賞を受賞すべきだと思いますが、それはまだ時代が追いついていないという事で静かに見守りたいと思います。

オートファジー

今日は、たがしゅう先生
いつもためになる記事拝見させて頂きます。
オートファジーがノーベル賞は元々無理な話。
製薬会社の利する研究でなければもらえませんよね、
糖質制限、オートファジーなんてタダで出来ること。
タダで出来るものが良いんです。
たがしゅう先生が地道にコツコツ広めればいいのでは?
私も地道に愛すべき人に広めているパイロットです。
あわてない、あわてない、一休み。

Re: オートファジー

TomTom Club さん

コメント頂き有難うございます。

> オートファジーがノーベル賞は元々無理な話。
> 製薬会社の利する研究でなければもらえませんよね


確かにその側面はあるかもしれませんね。
そういう意味ではオートファジーがノーベル賞候補に挙がっただけでもたいしたものです。

ただオートファジーに対して、ノーベル賞審査員はおそらくメカニズムに注目しているのでしょうが、私は臨床応用に注目しているので、視点は大分違いますね。

ケトン指数

たがしゅう先生、今晩は。

ケトン食は人為的かもしれない、とのことですが、先生はタンパク質と脂質の割合はどれくらいが適正だとお考えですか。

私は、いろいろ試行錯誤してまして、今はケトン指数で約3くらいの食事を1年程続けております。
それ以前はもっとタンパク質が多く脂質が少なかったです。
体感的には、今の食事は良いです。

ここで一つ参考になると思うのは、ご存知かもしれませんが、初期人類の主食は骨髄だったという島泰三氏の説です。
骨髄は確か脂質が重量比で80%程、タンパク質が10%程だったと思います。
この説が正しければ初期人類はケトン食と言えそうです。
そして狩猟を始めてからは、よりタンパク質が多く脂質が少ない肉をたくさん食べるようになったのかもしれませんが、人類が狩猟を開始した時期は諸説あり意外に遅かったという説もありますし、また、たとえ狩猟をする技術を獲得したとしてもうまく獲物が取れない時はやはり落ちている骨髄を食べていたような気がします。
とすると、人類の食事はかなり長い期間、脂質を主としていたのでは、とも考えられます。
もっとも、脂質が主、とは言っても、具体的なタンパク質との比率までは(当然私などには)分からず、人にとって最も馴染む比率はどれ
くらいなのか、先生のお考えを教えて頂ければと思います。

Re: ケトン指数

マルセル さん

御質問頂き有難うございます。

骨髄は脂質とタンパク質半々くらいではないでしょうか。
さすがに脂質80%というのは無いような気がしますが…。

私はスーパー糖質制限食くらいの栄養素比率が基本だと思っています。
ただ忘れてはならないのは、生物は周囲の環境に適応する能力があるという事です。
すなわち、理想の栄養素比ありきではなく、周囲の環境にヒトが合わせた結果、結果的に糖質制限に適した代謝システムが出来上がったのだと思います。
そしてヒトは糖質過多という急激な環境の変化にまだ十分に適応しきれていないのだとも思います。

ケトン指数

たがしゅう先生、ご返答どうもありがとうございます。

骨髄の脂質の割合は確かに半分くらいかもしれません。
いい加減な知識ですいません。

先生のおっしゃる通り、動物の食は、環境と歴史から演繹的に決まるものですね。
なのでヒトがその歴史を通じて何を食べてきたのかについては非常に興味があります。

http://youtu.be/3QXtrNnwFy0

こんな動画も一つの参考になるかもしれません。

チーズ, MEC食

先生のタイトルと違っておりすみません。

いつも楽しく拝見しています。

MEC食でも推奨されているチーズですが、
低糖質な食品ですが、
先日読んだ「乳がんと牛乳──がん細胞はなぜ消えたのか 単行本 – 2008/10/15
ジェイン・プラント

牛乳はもちろん、ヨーグルト、チーズ、クリームと
乳製品は乳がん促進と関連あり、
一切取るのをやめたら再発癌も消えたと
科学者である著者が記載しています。

(穀物は摂取されているみたいですが、、、)

糖質以外の何かの物質が発がんに関与しているのでしょうか?

単なる量の問題でしょうか?

本当のところはどうなんでしょうか???
ネット検索しても賛否両論でどう解釈したらよいのやら、、、


糖質制限OK食品ということもあり
チーズはよく食べているので(毎日30-40gぐらい)
かなり気になっています・・・


Re: ケトン指数

マルセル さん

 コメント頂き有難うございます。

 御紹介の動画、食べるとはこういう事なのだという事を考えさせられるものですね。大変参考になります。

Re: チーズ, MEC食

いちご さん

 御質問頂き有難うございます。

 確かに乳製品と発がんの関係に関しては賛否両論ありますね。
 一説には乳製品の摂取が、IGF-1(インスリン様成長因子-1)の分泌と関連しているとの話もありますが、真偽を決定づける根拠を私は持ち合わせておりません。

 ただし、こういう時には別の角度から全体を眺めてみると参考になる事が見つかる場合があります。次回記事にして考えてみたいと思います。

いちごさんのコメントを見て

 お久しぶりです。いつもありがとうございます。
いちごさんのコメントを見てふと気づいたんですが・・

産婦人科で出産し入院している時の食事が
「母乳にいいから」と 牛乳・ヨーグルト・チーズが
しょっちゅう出てました。また、ごはん・うどん・もちは
よく母乳が出るが食べ過ぎると乳が詰まり
乳腺炎になるなど 指導もありました。

上記の食品は乳製品も含めて
確かに 胸が張ります。
母乳での子育てが終わった今でも
糖質を摂りすぎたりすると胸が痛くなることもあります。

母乳がよく出る食品は 乳腺がつまりやすいので
乳がんになりやすい?のでしょうか。

すごく興味をもった いちごさんのコメントでした。

Re: いちごさんのコメントを見て

あーちゃん47才 さん

 コメント頂き有難うございます。

> 「母乳にいいから」と 牛乳・ヨーグルト・チーズ
> 上記の食品は乳製品も含めて
> 確かに 胸が張ります。
> 母乳での子育てが終わった今でも
> 糖質を摂りすぎたりすると胸が痛くなることもあります。


 非常に参考になる実体験です。
 この話から乳製品の本質が少し見えてくるような気が致します。また考えてみたいと思います。

乳製品の悪いところ

私の参考にしている福田一典先生 いわく
牛乳やチーズに含まれるロイシンと言うアミノ酸がmTORC1を活性化させます。インスリンも同様に作用します。そうする事によりオートファジーが抑制されるために癌が発現します。
ということでしょうか、一概に食べ物だけでは、と言い切れないと思います。身体に受ける様々なストレスにより発現するのかなと?
素人ながら考えています。
空を飛びながら糖質制限Pilot.

Re: 乳製品の悪いところ

TomTom Club さん

 コメント頂き有難うございます。大変参考になります。

> 牛乳やチーズに含まれるロイシンと言うアミノ酸がmTORC1を活性化させます。インスリンも同様に作用します。そうする事によりオートファジーが抑制されるために癌が発現します。
> ということでしょうか


 なるほど。そうすると炭水化物を取りながらロイシン豊富な食べ物を摂るのはさらによくないという事になりそうです。
 ただしロイシン豊富な食材をざっと調べると、乳製品だけではなく、レバーやアジやサケ、大豆製品なども該当するようで一概に乳製品だけが悪いとは言い切れません。

 そう考えると、高糖質食という文化の中だからこそ、「動物性食品が悪い」とか、「乳製品が悪い」といったデータが導き出された可能性も見えてきます。問題は「糖質制限という文化の中ではそれが再現されるかどうかか」ですね。

No title

そもそも牛乳とは子牛が成長するために飲むものですよね、
あの子牛が牛の乳を飲み短期間の間で大きくなるとはかなりの成長ホルモンが入っていると思われます。(感覚的に)
人も成長期には牛乳も必要かと思われますが成長が終わったら人が成長ホルモンを取る事やインスリンを身体な中にだすことは(糖質を取る事は)寿命とトレイドオフする事だと思います。
なんて太平洋を飛びな糖質制限しています。

Re: No title

TomTom Club さん

コメント頂き有難うございます。

牛乳自体が自然なものでも、畜産が始まり、効率を高める為に成長ホルモンを使う…。
そんな不自然な事をしているからトラブルが出てくるのだと思います。

私もTomTom Clubさんと同様に、成長期以降はそんなに牛乳は要らないとする立場です。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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