サイアミディン

太るのに食べ物の大きさは重要でない

テレビ朝日の「アメトーーク」というバラエティ番組は面白いのでよく見るのですが、

こないだ「ついつい食べ過ぎちゃう芸人」というのをやっていたので興味深く視聴しました。

まさに糖質中毒の実態が面白おかしく表現され語り合っているその様子は、まるで昔の自分を見ているようでした。

その中でお笑いコンビ、サンドウィッチマンの伊達さんがこんな事をおっしゃっていました。

「カステラなんて、ものスゴイ力で圧縮したらほんのちょっと(の厚み)しかありませんよ。太るわけがない」

その発言でスタジオには笑いが生まれ、いやいやと司会に突っ込まれながら盛り上がりを見せていましたが、

ふと考えると確かにポテトチップスにしてもチョコレートにしても、他の食事に比べたら体積は小さいです。

しかし体積に関係なくそれらの食品が多くの人を太らせる事を糖質制限を理解する私達は知っています。

はたしてなぜそのようなギャップが生まれるのでしょうか。
それは糖質を摂取したことによって起こる高インスリン血症と、インスリンというホルモンの持つ本質が深く関わっています。

一般的にインスリンは「血糖値を下げるホルモン」として理解されていますが、本質はさにあらずです。

インスリンが持つ大きな働きは同化作用、すなわち栄養を体内に溜め込む方向へ代謝をシフトさせる事です。

「インスリンは血糖値を下げる」ではなく、「インスリンが栄養を溜め込もうとしたら結果的に血糖値も下がる」と理解するとよいのです。

そう考えれば血糖値を下げるホルモンがインスリンしかないという理由も見えてくるような気がします。栄養を取り込むためのホルモンはそう何種類も必要なわけではないですから。

だからたとえ体積が小さくとも糖質たっぷりの食品を食べたら、

食後に大量のインスリンが分泌され、身体の代謝全体が栄養を溜め込む系に働き始めます。

具体的には脂肪は分解されにくくなり、蛋白を分解するオートファジーは抑制され、水分も外へ排泄されにくくなります。

そしてそういう状況下で別の食べ物が入り込んできたら、インスリンの働きによって可能な限りその栄養を体内へ取り込む方向に身体が動きます。

だからお菓子を食べると、たとえ体積が小さくとも「太りやすくなる」わけです。

そういうインスリンの働きは、一時的であれば生命を維持する上でも非常に有益なのですが、

実際には過剰糖質社会のせいで連続的に高インスリン状態に曝され続ける事になります。

その事が万病の発症に繋がっていると理解すべきなのです。


こうした考察から「太る」という現象にはインスリンが深く関わっている事が理解できると思います。

やせの大食いという現象がある事から考えても、体積の大小は必ずしも決定的な要素ではありません。

そして糖質制限は無駄なインスリンを減らす最も確実かつシンプルなアプローチですが、

それでは糖質制限でもやせ切らないという人はその先どうすればいいでしょうか。

私はここ数年その命題と向き合い続けていますが、

ようやくその答えの一つに辿り着きつつあります。

キーワードは「インスリンコントロール」です。

そしてこの考えを完全に理解するには糖質制限の理論を、もう一歩先に進める必要があるとも思っています。

いつか自分のその考えに確信が持てた時は、

その方法論を皆さんとシェアさせて頂きたいと思います。


たがしゅう
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非公開コメント

この度の記事、大変大変参考になりました。
私もインスリンに今一番興味があり、インスリンはいい奴なのかそれとも猛毒なのか、自分なりに考えていた最中でした。
「血糖値を下げてくれるホルモン」ではなく「糖質を溜め込もうとするホルモン」なのですね。
基礎インスリンは必要ですが、追加のインスリンは現在にとって良いことなしですね。
やはりインスリンは出さないよう努力しないと…と思いました!

ところで、先日血糖値測定器を購入し、暇さえあれば測っているんですが、昨日夜中から吐き気がするので、血糖値を測ってみると65でした。
吐き気は低血糖からきている可能性もあるのでしょうか。
ケトン体に慣れていない体の抵抗なのでしょうか。
何も食べたくないですが、少量の糖質を体に入れるべきなのか悩みます。
関係ないことを書き込んですみません(>_<)

Re: タイトルなし

ささ さん

コメント及び御質問頂き有難うございます。

インスリンは絶対必要なものなのですが、無駄にインスリンを使いすぎる環境がよくない、という事だと思います。

2014年1月22日(水)の本ブログ記事
「エネルギーを無駄打ちしない」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-159.html
も御参照下さい。

> 昨日夜中から吐き気がするので、血糖値を測ってみると65でした。
> 吐き気は低血糖からきている可能性もあるのでしょうか。
> ケトン体に慣れていない体の抵抗なのでしょうか。


低血糖が吐き気の原因になっている可能性はあります。
しかしそれは糖質代謝が主体になっている人での話です。ケトン代謝主体の人は血糖値60mg/dLでも低血糖症状は出ません。
一種の糖質からの離脱症状ととる事もできます。糖質を摂取すれば楽にはなるでしょうが、糖質代謝のままなので元の黙阿弥です。もしケトン代謝を目指す上でお辛ければ、徐々に糖質を減らしていく作戦も一つだと思います。

なお吐き気の原因がすべて低血糖とも限りませんので、上記に当てはまらない場合はまたご相談下さい。

回答いただき本当にありがとうございます。
60代でもビックリする必要ないと聞いて安心しました。
今まではだいたい低くても70代だったので。
温かい飲み物を飲み、少し体を動かしていると吐き気は治まってきました。
ただ、頭痛はしていますが。。
ここ最近、心を入れ替え、しっかり糖質制限をしていたので、体が変わろうとしている証拠だと信じます!!
早くケトン体代謝になってパワフルに動きたいです!!
たがしゅう先生のおかけで、冷静に自分の体と向き合えました。
ありがとうございますm(_ _)m
血糖値を測ることは今の体の状況が分かるので良いですね!

「インスリンコントロール」

たがしゅう先生
いつもブログを読ませて頂いております。

私は、6か月で10キロ近く体重が落ちましたが、
それ以降、同じ食事をしていますが、
全く体重に変化がなくなっています。

今は、178センチ 78~79キロです。

もう少し、体重を落としたいと思っているのですが…。

ぜひ、「インスリンコントロール」を披露できるようになれば、お教えください。

よろしくお願いします。

Re: 「インスリンコントロール」

鳥ちゃん さん

 コメント頂き有難うございます。

 私と同じタイプのようですね。
 「食べてやせる」というのにも限界があるということだと思います。

 「ヒトはなぜ太るのか」、壁を越えるにはそれを考える事が大事だと思います。

 2014年5月8日(木)の本ブログ記事
 「バランスを崩す事の怖さ」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-266.html
 も御参照下さい。
 

No title

たがしゅう先生

1日1~2食の糖質制限食で過ごしたとしてなかなか痩せない(太りやすい)体質というのは、少ない食事回数故に栄養を十二分に吸収する為にインスリンを分泌して、摂取した糖質をすべて溜め込む方向に向かうのでしょうか。
それとも、蛋白質や脂質をそれぞれの形で貯蔵量を増やすのでしょうか。

食事回数を減らすことによって吸収が活性化するのであれば、逆を言うと1回の食事量を減らして回数を増やすことで、身体は「頻繁に栄養が入ってくるから、しっかり吸収しなくてもいいや。」と判断するのでしょうか。
そうであったとしたら、1日3食おやつあり(それぞれの量をかなり抑える)の方が痩せるのかなと、昼食のおからパンをかじりながら考えた次第です。

Re: No title

郷士郎 さん

 コメント頂き有難うございます。

> 1日1~2食の糖質制限食で過ごしたとしてなかなか痩せない(太りやすい)体質というのは、少ない食事回数故に栄養を十二分に吸収する為にインスリンを分泌して、摂取した糖質をすべて溜め込む方向に向かうのでしょうか。
> それとも、蛋白質や脂質をそれぞれの形で貯蔵量を増やすのでしょうか。


 吸収がよくなるのもあるでしょうけれど、鍵はオートファジーにあると私は思っています。
 すなわち食事と食事の間隔があけば、それだけ自己蛋白分解再利用システムが活性化し、外からそんなに栄養を取らなくてもやりくりできます。
 逆に言えば「太りやすくなる」わけですが、これは必ずしも悪い事ではありません。蛋白を自己分解するというのは何も無差別に行っているのではなく、生命にとって不要な異常蛋白を分解してくれて恒常性維持に一役買ってくれるからです。

 「太りやすくなっている」のではなく、それがデフォルトなのだとわかれば新しい世界が見えてくるような気がします。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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