サイアミディン

本を読んだ上で判断する

極端な発想も一旦受け入れるとか、人の言う事のすべてを鵜呑みにはできないとか、

事ある毎に私の価値観を紹介させて頂いておりますが、

糖質制限を勉強していると、その理論の正当性に心底納得しきってしまうので、

例えば糖質制限をむやみに否定するような本を見ると「読む価値のない本だ」などと軽視しがちです。

でも読む前にはじめから価値がないと決めつけてしまうような態度はよくないと私は思います。

それは私達が嫌う糖質制限否定派の医師達の態度と本質的には同じことになってしまうからです。

もしかしたら糖質制限批判本の中にも一理ある事が書かれているかもしれないのに、読まなければそれは決してわからないのです。
糖質制限批判本に限らず、例えば「ごはんは脳の唯一のエネルギーだ」などという文章が出てきたとします。

それを見ると糖質制限実践者は、「あぁ、この人の言っている事は当てにならないな」などと思いがちです。

しかしそれだけではその人の全てを否定するに値しません。考えてみれば数年前まで私だって全く同じ事を思っていたし、患者さんに指導したりもしていました。

私だってもしその事だけを取り上げて「あなたの言うことには価値がない」などと言われたら癪な思いがします。

十数年前まで頭脳明晰と言われる医学者達が誰一人気がつかなかった常識の落とし穴を、

その本の著者は執筆の時点でたまたまそれを知らなかったというだけの事です。

その人の主張の良し悪しを判断するには、やはりじっくりと本の文章と向き合うより他にないと思っています。



だから私はかなり本を買う方です。

そして本を読む事は「自分で考える力」を日常的に鍛えられる良いトレーニングとなります。

だいたい私が本を買う時はまずタイトルに惹かれ、数ページめくってみて思考を巡らせてじっくり考える価値があると思えばすぐに買います。

本との出会いは一期一会、これを逃せば自分の性格上で二度とこの話題と向き合う事はないと思ってしまうからです。

ただ自分の本を読むキャパシティ以上に本をたくさん買ってしまうものだから、

いわゆる積ん読になり、必ずしも良いことばかりではないのですが、

しかしそれでもそのおかげで最近は本の読み方が大分洗練されてきたように思います。

ただ単に書かれている事を「へぇ〜、そうなんだ」と受け入れるシンプルな読み方から、

「この部分は言っている事は正しいけど、あの部分は全く賛同できない」などと情報を取捨選択できる読み方になってきました。

それはとりもなおさず「自分で考える力」が高まった事に他ならないと私は思います。

それは医学論文を読む時にも役立っています。

医学教育の中で「論文は批判的に読め」という事は教わるのですが、

エビデンス、エビデンスとうるさくなった現代の医学界でその事が形骸化しているように思えます。

New England Journal of MedicineとかBMJなどという一流の医学雑誌に載った論文を批判的に読める医師がはたして何人いるでしょうか。

特にスタチン絡みの論文を読む時は格別の注意を要します。

大半の医師が「スタチンはいいもの」というのが頭にある中で生み出された論文だという事を忘れてはいけません。

また対象者が多いので研究規模は大きくなりがちで、必要な研究資金が増えれば製薬会社など金を持つ組織がバックアップすることも多いです。そういう意味ではバイアスがかかりまくりの論文です。

それでもスタチンは駄目と決めつけるのではなく、やっぱり自分で一度読んでみる、そうやって一つひとつの文章と向き合い続ける事が、

自分の考えを洗練させ、自分が意見を言えるようになる為の大切な過程であるような気がします。


たがしゅう
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No title

たがしゅう先生
昨日はお世話になりました。楽しい時間を有難う御座います。

非常に興味深い講義を受け、改めて糖質制限で越えられない壁の乗り越え方を模索してみようと思いました。

「読む価値のない本だ」と軽々しく決め付けて本選びをしている事が多かったです。確かに、その中にも必要な(正しい)情報がある可能性も高いわけですから。

糖質制限をはじめてから、大型書店に行くと一番に糖質制限コーナーに行くようになりました。そして今回の記事で本との向かい合い方を反省しました。

くんだみえ

Re: No title

栗田三江 さん

コメント頂き有難うございます。
またこちらこそいつも交流させて頂き誠に有難うございます。

自分の中の「思い込み」というのがある意味一番の難敵だと思います。
どんな話も実際に起こった事実をベースに、自分の頭に取り込んで咀嚼してじっくり考える事が大事と思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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