サイアミディン

食事をすると栄養が失われるという観点

アルコールの関連で「ウェルニッケ脳症」と呼ばれる病気があります。

これは過量飲酒に伴ってビタミンB1という栄養素が欠乏し、引き起こされる意識障害だと言われています。

典型的には意識障害、眼球運動障害、運動失調が三大徴候といわれていますが、必ずしも全て揃わない場合もあります。

酒ばかり飲んでろくに食べなかったりする人にそういう事が起こりやすいようです。

ところが食べているのにビタミンB1欠乏がもたらされるのが糖質の過剰摂取です。

それは糖質主体の食べ物にビタミンB1が少ないから、というわけではなく、

糖質を分解しエネルギーとして利用する過程で、補酵素としてビタミンB1が消費されるからです。
ビタミンB1が多く含まれる食品は、穀物の胚芽(米ぬか、小麦ふすまなど)、豚肉、レバー、豆類などですが、

玄米などはいくらビタミンB1が多くとも、糖質を代謝する時に消費されてしまうのでビタミンB1の貯蔵効率が悪いのです。

ビタミンB1が多く含まれているなどと銘打っている栄養ドリンクも同じ構造なので注意が必要です。

よって度を超えて糖質を過剰摂取するような人は、ビタミンB1を摂っているのにビタミンB1が欠乏するという、

一見矛盾したような状況に追い込まれてしまう場合があるわけです。


今、ビタミンB1を例に挙げましたが、

代謝の時に消費される補酵素はビタミンB1だけではなく、

わかっているだけでもビタミンB2, ビタミンB6, ビタミンB12, ナイアシン, 葉酸, ビタミンCなどがありますし、

似たような役割を担う補因子として、鉄、マンガン、コバルト、銅、亜鉛、セレン、モリブデンなどの金属イオンも当てはまります。

そういうものは食べ物を消化、分解、吸収し、エネルギーとして利用する過程の中で消費されるものなので、

代謝の働き方によっては栄養を入れているのに全然栄養にならないという状況や、

そこに栄養があるのに使えないという皮肉な状況も生まれてしまうのだと私は思います。

リフィーディング症候群などはその状況の最たるものだと思います。

そして代謝を乱す最強の栄養因子が糖質なのだと思いますが、

糖質だけではなく、脂質や蛋白質の利用過程でも

多かれ少なかれ代謝経路で補酵素、補因子は消費されます。

それは食事回数が多ければ多いほどそういう機会が増えます。

だから食事回数が多い人は、基本的に外から栄養素を継続的に取り続けなければならないと成立しにくくなる傾向があると思います。

そして栄養失調が栄養素の欠乏だけではなく、代謝障害によっても引き起こされる側面があるようにも私は思うわけです。

逆に言えば1日1食とか2食とか、食事回数が少ない人はそれだけ代謝が乱される機会が少ないです。

しかも絶食時間が延びればオートファジーという自己タンパク質再利用システムが活性化されます。

よって食事回数が少ない人はそんなに一生懸命栄養素を取らなくともやりくりできるんではないかというのが私の考え方です。

そしてそれこそが糖質制限やMEC食だけではやせきらない人達の原因の一翼を担っているのではないかと思います。



食事をするのに栄養失調になる

食事はしないのに栄養は保たれる


現代栄養学では注目されていない観点が、

現実の世界には存在すると私は思います。


たがしゅう
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たがしゅう先生こんにちは。
先生は普段、少食で倦怠感やエネルギー切れのような症状に襲われることはありますか?

Re: タイトルなし

ささ さん

御質問頂き有難うございます。

> 先生は普段、少食で倦怠感やエネルギー切れのような症状に襲われることはありますか?

基本的にケトン体代謝が定着している私にとっていわゆるエネルギー切れのような症状はありません。

逆に言えば、少食にして体調を崩す人は主として糖質代謝に依存している人だと思います。その場合は徐々にケトン体代謝に慣らしていく必要があると思います。

砂糖だけじゃなく、コーヒーもビタミンを消費してしまうっていう情報もちらほら見かけますが、コーヒーって砂糖菓子と相性がいいからさらに栄養不足になっちゃうんでしょうね(汗)

Re: タイトルなし

ふーみん さん

コメント頂き有難うございます。

> コーヒーもビタミンを消費してしまうっていう情報もちらほら見かけます

その情報は把握しておりませんでした。
コーヒーにも多少の糖質が含まれるからでしょうか。

またコーヒーの場合はそれとは別にカフェインを摂り過ぎると、副腎を疲弊させるという事にも注意が必要と思います。

2013年12月16日(月)の本ブログ記事
「コーヒーはいいのか、悪いのか」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-121.html

2015年2月3日(火)の本ブログ記事
「「副腎疲労」と糖質制限」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-563.html

も御参照下さい。

やはり、ケント体パワーはすごいのですね!!
私はまだ糖代謝体質から変化できていないようで、倦怠感や低血糖のような症状にしばしば見舞われてしまいます…..
いつか必ず力みなぎる身体になれると信じて、しっかり断糖肉食続けていきます。
回答いただき、心より感謝いたします。

Re: タイトルなし

ささ さん

> 私はまだ糖代謝体質から変化できていないようで、倦怠感や低血糖のような症状にしばしば見舞われてしまいます…..

例えばやせ体質の方は、ケトンの元である脂肪の備蓄量が少ないのと、
インスリン分泌能が低い人が多いので、ケトン体をすぐには上手く使えない人が多い印象です。

糖質制限だけでうまくいかない場合は、タンパク質を少し減らし、減らした分だけ脂質をしっかり確保し、徐々に身体を慣らしていく姿勢も重要と思います。

栄養過多と体調不良

かなりストイックな糖質制限(1日5グラム以下の糖質)していた頃は、職場でノロが流行ろうがインフルエンザが流行ろうが一人だけピンピンしていたのですが、仕事柄みで糖質をとらなければならない状況が増え(ソバやラーメンを付き合いで食べる)あっという間に肥満と風邪のひきやすさです。抵抗力としてのビタミンが糖質の処理に使われてしまっているのかと思います。糖質制限は始めたからには続けなければリバウンド を含めた健康被害はあるとと思います。ラーメン食べたらお腹くだしましたし、翌朝一キロ以上太ってました。

Re: 栄養過多と体調不良

keiko さん

コメント頂き有難うございます。

ケトン代謝から糖質代謝へ、思いっきり揺さぶるのは良くないのでしょうね。
例えば断食後の回復食は、糖質制限の観点がない時代に先人が編み出した知恵だと思います。

糖質代謝にさらし続ければヒトの方もある程度適応していきますが、その結果長期的に多くの人がどうなっていくかは今の高齢者医療の実態を見ればよくわかります。ならば私は人類のデフォルトであるケトン代謝の方をメインで使って生きてゆきたいです。

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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