サイアミディン

立って活動するという基本設計

糖質制限をすると食後の眠気が少なくなりますが、

何らかの事情で長時間座って活動しなければならない時などは、

糖質制限をしている私でも眠たくなってしまう事がよくあります。

一方でこれまた何らかの事情で長時間立っておかなければならない状況におかれた場合の疲労感は、

糖質制限をする前と後とでは大きく異なり、かなり楽になったと思います。

そんな中、いつも参考にしている「ケアネットニュース」を見ていると、

次のようなニュースが紹介されていました。

学校への「スタンディング・デスク」導入で子どもが活動的に
2016/2/4
HealthDay News

(以下、引用)

学校で「スタンディング・デスク」を使用すると

子どもたちがより活動的になるとの報告が、「Pediatrics」オンライン版に1月22日掲載された。

米イェール大学看護学科(コネチカット州)のKarl Minges氏らの研究。

Minges氏らは、5~18歳の就学児童を対象とした8件の国際研究をレビューした。

デスクのデザインには、椅子も利用できるよう調整可能なものと、椅子を利用できないものがあった。

これらのデスクを使用すると、子どもたちの教室での行動が改善され、エネルギー消費が大きくなることが判明した。

8件の研究デザインは大きく異なっていたが、

半数の研究では、スタンディング・デスクを使用すると子どもの座る時間は1日約1時間減少した。

2件の研究では、登校日に立って過ごす時間の割合が最大31%近く有意に増加していた。

また、従来の机を使用する子どもに比べて、テレビの視聴またはコンピュータの使用時間が1日1時間以上少なく、

「歩き回る」時間がはるかに多く、頻繁に活発な動きをしていた。

Minges氏は、「今回の研究から、学校は子どもの健康向上のために介入できる可能性があると示唆された。

スタンディング・デスクを使うと、1時間あたり32kcal以上の余分なエネルギーが消費されるとする研究もあった。

これは1日あたり225kcalの余剰消費カロリーとなり、放課後にローラースケートやスケートボードで遊ぶことに匹敵する」と話している。

(引用、ここまで)



私に糖質制限を教えて下さった恩人の夏井先生のサイトでも、

以前スタンディング・デスクの話題が上がっていたかと思いますが、

確かに立って活動をしていた方が作業効率が良いというのは実感する所です。

例えば私は日頃から片道30〜40分の道のりを徒歩通勤していますが、

いろいろなアイデアを思いついたりするのは、大抵歩きながら考えている時であったりします。

また冒頭のように長時間座っての作業だと糖質制限していても、ちょっとひと休みしたいと作業を中断したいと思うくらいの眠気が襲うことがあっても、

ひとしきり仕事を終えて帰りの徒歩帰宅するの時にはそんな強い眠気に襲われることはあまりありません。

紹介したニュースの中では、スタンディング・デスクでの消費カロリーがスケートで遊ぶのに匹敵するとありますが、

この運動による消費カロリー話はいつも眉唾的に感じてしまいます。食事以上に運動におけるカロリー理論は実感とかけ離れているからです。

それに消費カロリーが増えたからといって、こどもたちが活動的になる事の説明にはならないし、

むしろ消費カロリーが増えたらそれだけ疲れて活動性は下がりそうなものです(なにせスケートで遊んだ後と同じなわけですから)。

同様にこどもの行動が改善する理由も、私のアイデア思考が冴え渡る理由も説明がつきません。

なぜ立って活動をすると効率がよいのか」という理由については、未だよくわかってはいないのではないでしょうか。

残念ながら私も、この疑問に対する明確な答えを持ち合わせてはおりません。

ただこういう時に古代の人類に思いを馳せると参考になる事があります。


太古の昔には椅子などなかったはずです。

勿論座ろうと思えば地べたでも石の上でも座る事はできたでしょう。

しかしもしそのような時代環境の中で現代人のように長時間座るような状況におかれたらそれは何を意味するでしょうか。

ひとところに座っているヒトという動物を他の肉食動物達は格好のターゲットとして見てしまうのではないでしょうか。

逆に言えば、ヒトが座るべきなのは比較的安全が確保された場所で、夜などの他の動物が襲って来にくい時間だったのではないかと想像します。

だからヒトの身体の基本設計は立っている時には活動的になり、

座っている時はまるで寝る前の準備態勢に入るかのように活動を抑えていくようにできているのではないかと私は考える次第です。

そこにはおそらく立つ事によって重力負荷がかかり、自律神経が刺激されたりして、

様々なホルモンが駆動されるなど、複雑なメカニズムが関わっているのでしょうけれど、

細かいメカニズムは分からずとも、結論は「自然に還れ」という事に集約できるような気がします。

「自然に還れ」というのは糖質制限にも通じる話です。

最近流行りの立ち飲みや立ち食いのお店では、

座って飲み食いするより参加者と打ち解けやすいとい事も言われているそうです。

その理由は案外同じ所にあるかもしれませんね。


たがしゅう
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はじめてコメント致します

こちらのブログを拝見しております。とても勉強になります。
食事改善などをしながら長期服用している抗不安薬、抗うつ薬を漸減している者です。
Fc2ブログで、患者としての体験談、情報などを綴っております。
医師のたがしゅう様のブログを
当ブログでリンクしたいのですが。
お忙しいところ恐縮ですが、ご了承を頂きたく、
何卒宜しくお願い申し上げます。

Re: はじめてコメント致します

pipi(ぴぴ) さん

コメント頂き有難うございます。
また当ブログを御覧頂き有難うございます。

リンクはご自由にして頂いて構いません。
何卒宜しくお願い申し上げます。

No title

早々にご返信頂き、誠にありがとうございます。
今後とも、どうぞ宜しくお願い致します。

たがしゅう先生、今晩は。

歩いていると何故心地よくなるのか、私も常々考えていました。

定住生活が始まる前は、じっと座っている時間より歩いたり或いは走ったりしている時間の方が長かっただろうと思われます。
起きている間中もほとんど机の前に座りっぱなし、という生活には、いまだヒトの体は慣れていないのでしょうね。

Re: タイトルなし

マルセル さん

 コメント頂き有難うございます。

 生物には適応力もあると思いますが、適応しきれない時には原点に立ち返るのが参考になる事が多いですね。

 細かい理由がわからずとも、方向性が合っているかどうかは身体が教えてくれると思います。

No title

たがしゅう先生、こんにちは。

私はデンマーク関連の仕事をしています。
デンマークでは、会社が社員全員にスタンディングデスク(電動高さ調節がついていて、立ったり座ったりしながら仕事ができる机)を支給することが法律で義務付けられています!

最初そのことを知った時、心底びっくりし、デンマーク大使館の人と、デンマーク企業の東京支社に勤めている人に、本当かどうか聞いてみました。
すると、二人とも「支給されている」と言っていました。現地だけではなく、海外支部にまで徹底されているなんて、本当にすごいと思いました。

日本にも高さ調節ができる机はありますが、電動はなかなかありません。(あっても高い!)
まったく座れないのは少しキツイですし、かといって電動じゃないと、そうそう動かしませんよね。

デンマークは、この他にも「体質により、夜勤と日勤を選択できる」など、新しい医療研究が制度に取り込まれやすいのかなと思います。

日本で全員にスタンディングデスクが支給される日がくるのは想像できませんが、せめて安価で購入できるようになったらいいなと思います。

Re: No title

くろ さん

 貴重なデンマークの情報を御教示頂き誠に有難うございます。
 すごく医療に理解のある先進的な取り組みがされているのですね。糖質制限はどうなのでしょうか。

 それに比べると日本の政治がいかに保守的で、浪費的なのかが際立ってわかるように思います。変わらない政治には期待せずに、変われる所から変えていく努力を続けていきたいです。

No title

たがしゅう先生

国家試験予備校で受験指導する私は、効率の良い勉強法のひとつが「立ち勉」だと感じています。座っていれば教科書等の書籍を開いて、正しい知識を取り入れます。しかし立って自身で制作したメモの暗記をしている限り安易に教科書を見られません。

ここに集中力が高まり、知識を整理しながら定着できる要素があると考えています。私自身、学生時代に苦手な教科を勉強する時に「立ち勉」「歩き勉」を取り入れていました。

今でも講義の進め方を大まかに考えるとき、決まって歩きながらです。立ったり、歩いたりする時間は集中する貴重な時です。身体で実感しています。




糖質制限をしていても、興味の無い話を聞かされる時には居眠りをしてしまいます。特に手元の資料に書いてある事をご丁寧にも読んで聞かされるような会議では、強い眠気に襲われます。糖質制限しているのになあ・・と思っていましたが、普通の事なのですね。たがしゅう先生の記事で妙に安心しました

くんだみえ

No title

>糖質制限はどうなのでしょうか。

糖質制限に関する話は特に聞いたことはありません。
ただ、食べているパンは主に黒パン(ライ麦パン)なので、精製穀物は少ないかもしれません。あとは、ジャガイモをよく食べるようです。

デンマーク料理の代表的なメニューといえば「オープンサンド」。これは薄いライ麦パンの上に、具材を載せたものです。薄い黒パンが1枚だけなので、サンドイッチより糖質は少なそうです。

食料自給率は300%。
オーガニック食品の食品市場占有率も世界一。
法定有給休暇5週間も100%消化だし、税金は高いですが、医療も教育も無料だし、世界一幸せな国に毎年選ばれているだけあり、いろいろな意味でうらやましく感じます。日本もアメリカ型ではなく、欧州型の社会を目指してほしいです。

先生のおっしゃる通り、自分もできるところから、ですね!


Re: No title

栗田三江(くんだみえ)さん

 コメント頂き有難うございます。

 「立ち勉」いいですね。今からでも使えそうです。

 最近の私は基本的に身体からの声に正直に従うようにしています。眠たくなれば休憩する。集中力が続けば夜でも続けて仕事する、という具合です。その声から教えてもらう事も多いと思っています。

Re: No title

くろ さん

 続けて情報を頂き有難うございます。

 医療・教育は大事という事がわかっているからこそデンマークは高い税金で国政が成立しているのでしょうね。その方針には私も多いに賛成します。

 ただそれは正しい医療が展開されている事が前提の話です。
 デンマークには良い情報を積極的に取り入れようとする姿勢があると思います。今後糖質制限も認知されていけば、さらによりよい社会になっていくなっていくことでしょう。

初めまして

たがしゅう先生

いつも読ませて頂いていますが、初めて質問させて下さい。
去年9月の健康診断で糖尿病が発覚、ヘモ9 空腹時120、身長170 体重103でした。
そこから、糖質制限に出会い、いろいろなブログを拝見し、一月初旬、ヘモ5.6空腹時103 体重76になりました。
ですが、去年の暮れあたりから、睡眠時の手の痺れ、下股の筋肉のぴくつきに悩まされています。

カロリー自体はとっていると思うのですが、糖質制限による急激な体重減少にておこる可能性はありますでしょうか?
ビタミンミネラルのサプリメントは飲んでいます。
仕事は肉体労働で、糖尿病発覚より仕事を含め、毎日一万歩前後は歩いています。
もし宜しければ、先生のご意見を教えて下さい。

Re: 初めまして

日々努力 さん

 御質問頂き有難うございます。

 軽いこむら返りが起こっている可能性がありますね。
 詳しい原因は不明な所も多いですが、筋組織でのカルシウムやマグネシウムを中心としたミネラルが何らかの原因(例:血流不足など)で利用できていない状況があることが主因と考えられています。

 以下はあくまでも私の感覚的な見解ですが、
 急激に糖質制限を行った場合、糖質代謝からケトン代謝への代謝変換に身体が一時的についていけず、
 たとえミネラルを補充していても、糖質代謝のなごりが残ってうまくミネラルを利用できないという事も臨床的にも経験します。

 対策としては少し糖質制限の度合いを緩めるか、そこまで日常生活に支障がないくらいの症状であればケトン代謝になれるまでそのまま待つというのも一つです。ただし、それまでの糖尿病による負の遺産で動脈硬化などが進んでいる方は改善まで結構時間がかかるという事もありえるかもしれません。
 あるいは漢方薬で「芍薬甘草湯」というのを頓服で使用するのも効果的です。ただし使いすぎは低カリウム血症などの副作用で脱力などきたす事があるので要注意です。

 2014年7月28日(月)
 「こむら返り熟考」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-348.html

 2014年7月30日(水)
 「経験がエビデンスを作る」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-350.html

 も御参照下さい。

ありがとうございます

たがしゅう先生

早速のご意見ありがとうございました。

大変参考になりました。

血液検査、CT、エコーなどは大きな異常はないと言われました。
足の血管は硬いと言われてしまいましたが。
通院ている病院は、糖質制限に理解していただいてるので、三月の通院まで様子をみてみます。
因みに藥は服薬していませんが、漢方薬は糖尿病でも使用可能なのでしょうか?

Re: ありがとうございます

日々努力 さん

> 因みに藥は服薬していませんが、漢方薬は糖尿病でも使用可能なのでしょうか?

 大丈夫です。
 主治医の先生に相談して頂ければと存じます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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