サイアミディン

何をもって治ったとするのか

糖尿病は一般的には「慢性進行性の膵臓機能不全」とされます。

すなわち「じりじりと病状が悪化していく病気」という位置づけで、一度かかったら基本的には治らないと言われています。

しかしそれは糖質50-60%を基本とした食文化での話です。

糖質制限の理論を踏まえて考えれば、膵臓に負担をかける糖質の摂取を最小限に抑えることで、早ければ膵臓の機能を復活させることができることも見えてきます。

そして膵臓を再び活動させることができれば、膵臓機能不全ではなくなるわけですから、

これは事実上、糖尿病が治ったと言える状態なのではないでしょうか。

しかし糖質制限批判の中で、「また糖質を取った際に血糖値があがる、嘘だと思えば75gOGTT(75gブドウ糖負荷試験)を受けてみなさい」というものがあります。それはその通りかもしれません。

しかし糖質制限をきちんと理解した人はわかると思いますが、

「糖質をとる」ということの意味付け、考え方そのものが変わっているので、そもそもブドウ糖負荷試験を受けとうとすら思わないのです。

要は「何をもって治ったとするのか」ということです。
現在の日本は普通に過ごしていれば糖質50-60%、いやそれ以上の糖質にさらされることになる社会構造になっていると思います。

この食文化を継続している限りは、程度の差こそあれ膵臓に負担をかけ続けることは避けられませんので、

糖質制限をして一旦膵機能がよくなったとしても、また高糖質食に戻れば元の木阿弥になります。

そういう意味では「糖尿病が治ったとは言えない」という意見があるのもわかります。

糖質を摂取しても血糖値が上がらないというのが真の糖尿病が治ったということなのであろうと、

しかし私にとって「糖尿病が治った」状態とは、「糖質の害を体に受けなくて済むようになった状態」です。

糖質を摂取している以上、いかに薬を使おうと、筋肉を鍛えようと、その生理学的特性から来る血糖上昇、ひいては酸化ストレスのリスクをある程度は背負うということになります。

薬や運動をうまく使えばそのリスクを減らしていくことができるでしょう。

しかし糖質を摂取さえしていなければ、そもそもそういうリスクを背負うことすらないのです。

そして糖質制限実践者は、人類本来の食事のあり方がどうであったかという事を意識しています。

進化の過程で本来の人類の食事内容を考えてみた時に、どう考えても炭水化物が主体であったとは考えられません。

だからこそ私の考える「糖尿病が治った」は「炭水化物を取っても血糖値が上がらない」ことではないのです。

本来は脂質、蛋白質を中心とした食事に時々糖質、という食事であったと考えるからこそ、わざわざ75gOGTT試験を受けようという発想自体がなくなるのです。

湿潤療法を提唱した夏井睦先生が新書の中で「炭水化物は嗜好品」という見解を述べておられましたが、まさにその考えに同意します。

糖質には魅惑的な美味しさがあり、その美味しさに幾人もの人がハマります。そして何人かはその魅力から抜け出せなくなります。これはまさにタバコを吸う人、やめられない人と同じ構図ではないでしょうか。

だから糖質の有害性をわかった上で、糖質を摂取するというのはアリだと思います。でも私はそうはしたくありません。

従来の食文化を維持したまま血糖値が上がらない方法を模索するのは一つの考えですが、

私は食の考え自体を抜本的に見直して、より長く健康でいられる可能性がある方法を選択します。


たがしゅう
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非公開コメント

糖質制限を始めれば血糖値やHbA1cが短期間で改善するのは珍しくありませんが、更に糖質制限を続ければ、たまに炭水化物を取っても血糖値が上がりにくくなると信じています。

まだ若くて、そこそこの選手クラスの練習量がこなせるなら、マラソンであろうがボディビルであろうが、糖尿病ぐらい改善して当たり前だと思います。糖尿病になる方がおかしいでしょ。

Re: タイトルなし

まるむし さん

 いつもコメントを頂き有難うございます。

> 更に糖質制限を続ければ、たまに炭水化物を取っても血糖値が上がりにくくなると信じています。

 そうですね。糖質制限を続けることで膵機能保護され、耐糖能・インスリン分泌能ともに改善します。

 これだけ糖質中心の食文化なので、たまに炭水化物をとらざるを得ない状況(もしくはとりたくなる状況)はあると思いますが、それは特に問題ないと思います。まさに嗜好品としての位置づけです。

 要は糖質制限生活を基本におくか、高糖質生活を基本におくか、という考え方の違いですね。

全く同感です。

糖質制限開始から1年3ヶ月が経過、現在、スーパー糖質制限/糖質ゼロを実践しています。やっと糖質中毒からの脱出を実感しています。ニコチン中毒と同じとのご指摘全く同感できます。そもそもインスリンを追加分泌させ、リスクを増やす、危険な嗜好品である炭水化物は摂る必要がないと思います。

Re: 全く同感です。

ウーチャン さん

コメントを頂き有難うございます。

ニコチン血中濃度の乱高下と、血糖値の乱高下が非常にリンクします。

この話は実践した人だけが実感できることではないかと思います。

はじめまして

いつもブログ楽しみにしています

肥満型の糖尿病の方はもともと太れるだけのインスリン量があるので糖質制限をして痩せて抵抗性を改善して完治(糖質を摂取しても血糖値が上がらない)されている方いらっしゃいますよね。

痩せ型はそもそもインスリン分泌が少ないので完治は無理で糖質制限していくしか血糖値を管理する事はできない気がします

よく糖質制限をして耐糖能が良くなったや、反対に悪くなったという意見を聞きますが、良くなったという方は抵抗性が改善された方なのではないのでしょうか?

私のような痩せ型は糖質をとると以前より血糖値が跳ね上がる様になりました

糖質制限さえしていたら何の問題もないのですが、そもそも糖質制限で膵臓が休まってインスリン分泌が回復するのでしょうか?

私は抵抗性をどれだけ改善するかという様な気がしているのですが。

先生はどうお考えでしょうか?

☆ お疲れ様でした ☆

accoは
糖質制限の健康効果を実感する前に
体調を崩してしまったので
とても 心細かったのですが
今日 色々ご相談させて頂いて
かなり不安が解消されました。

きっちりセオリー通りでなくても
自分なりの糖質制限を
頑張ってみようと思います。

ありがとうございました ❤

Re: はじめまして

りんごさん さん

コメント頂き有難うございます。

> 私のような痩せ型は糖質をとると以前より血糖値が跳ね上がる様になりました
>


そうなのですね。

私は個人的にはやせ体質の人への糖質制限指導は若干難しい印象を持っています。

おそらく太った人とはまた別のメカニズムが働いているのではないかと感じていましたが、今回教えて頂いた血糖の上昇の程度はそれを考える一つの糸口になりそうです。

一つの理由はもともと少食の人が糖質を控えるだけでおかずを増やさなかったために、結果的に「カロリー制限+糖質制限」になってしまっている事ですが、それだけではないような気がしています。

また頭の中を整理してみようと思います。

Re: ☆ お疲れ様でした ☆

☆ acco ☆ さん

お疲れさまでした。

以前お会いした時よりお元気そうだったので安心しました。

糖質制限の基礎理論は正しくても、個々の実情に合わせた各論の構築はまだまだこれからだと思います。

セオリーを外してでも、自分に合ったやり方を見つけていきましょう。

そしてきっとその経験は、将来同じような悩みを持つ方への力になると思います。

No title

たがしゅう先生、こんばんは。
実はこういう類のことを考えたことがあります。

自分にとって望ましいのは従来通り炭水化物を摂っても血糖値が正常範囲内になることなのか否かということですね。

自分の糖尿が発覚してから自分なりに勉強するとたとえ糖尿にならなくとも糖質の摂りすぎは良くないということを学びましたが、膵臓からインスリンがでるようになったらこの生活に戻るのかというと答えは否です。

将来のことはわかりませんが、膵臓が正常になったとしても今の食事を続けるでしょう。

(たまにお寿司とか餃子とかラーメンを食べることが
あるかもしれませんが(^_^;))

一生治らないというのはよくいわれますが、私は今の糖質を制限して血糖値の上昇がなければ自分が病気だという認識はもたなくても良いと思っています。

Re: No title

クロワッサン さん

 いつもコメントを頂き有難うございます.

> 私は今の糖質を制限して血糖値の上昇がなければ自分が病気だという認識はもたなくても良いと思っています。

 私もそう思います.

 病気であるとかそうでないとか関係なく,気がついた時点でそれ以上体に有害になるものを取らなければよい,ただそれだけの事だと思います.
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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