サイアミディン

本当に必要な医療が正しく行われるために

糖質制限の勉強を続けていると、

ほとんど全ての病気に糖質が関わっているように思えてきます。

生活習慣病はもちろん、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、神経変性疾患に対しても、

細かなメカニズムについてはまだまだ未解明の部分がありながらも、糖質制限をする事で症状が改善していく事からみて、

糖質がそれらの病態に関わっていることがおおいに考えられます。

感染症でさえ、糖質過剰により細菌やウイルスに対する抵抗力が低下した事で起こる現象であり、

そのウイルスも元を正せば糖質過剰で代謝が乱れた結果、DNAのコピーミスを生じて発生した可能性だって考えられます。

そうした病気に対して、対症療法は示せども、多くの場合根治療法を提示できないのが西洋医学を基盤におく現代の標準とされる医療です。
糖質制限を深く知るにつけ、薬を重ねる発想ではなく、「有害なものを抜く発想」の重要性を感じます。

足すものの量や質にこだわり続け、引くための方法論を追求する事を怠ってきた現代の医療にさしたる発展性がないという事は、

私が医師になって見てきた医療業界の10数年間を冷静に振り返ればよくわかる事です。

10年で薬の量は増えたかもしれないけど、医療の根本は何一つ変わっていません。

つまり、多くの場合「治る病気は医者が何もしなくても治るし、治らない病気は医者が何をしても治らない」のです。

そんな中で糖質制限は、治せないはずの病気に治せる可能性をもたらしたという点で、医療業界における大きな希望の光であるはずです。

それなのにこの素晴らしい治療法をよそに、相変わらず患者を薬漬けにし続けるばかりの現代医療とは、

完全に決別する事を考えた方がいいのではないかと感じる事も正直ありました。

しかしながら、そんな現代医療にも患者に貢献する事ができる、というよりも現代医療にしか治療できない診療領域があります。

それは脳卒中や心筋梗塞など、血管が急に詰まったり破れたりした場合に対する救急医療です。



私は神経内科医ですので、特に脳に関わる救急疾患と遭遇する機会が多いのですが、

多くの医療分野が足踏みしていた、少なくとも私にはそう見える中で、脳卒中に対する救急診療はここ十数年間で目覚ましく進歩したと思います。

2005年に脳卒中の診療現場で使えるようになったt-PA(組織プラスミノーゲンアクチベーター)急速点滴静注による血栓溶解療法はその中心的な薬剤で、

それまでは一度発症したら基本的に後遺症が残るとされている脳卒中に対して、

発症から4時間半以内の投与であれば、詰まった血栓を溶かし、運がよければ後遺症を残さずに完全回復させる可能性をもたらしました。

この恩恵は現代医療でないと受ける事はできません。



もう一つは血管内治療の進歩です。

脳卒中に対する血管内治療というのは主に脳神経外科医や一部の神経内科医が行う治療なのですが、

足の付け根や腕などの比較的太い血管から、カテーテルと呼ばれる長く細い管を通して脳まで到達させ、

血栓のある所で血栓を吸引して回収したり、ステントと呼ばれる金属でできた網目状構造で折りたまれた管を詰まった所で開放して血流を通したりする治療の事です。

t-PA治療で溶けなかった血栓をも物理的に除去しうるとあって、脳卒中救急において最後の要とも言える治療です。

先日、この血管内治療に精通した神経内科の先生の講演を聞く機会があったのですが、

おそらくこの血管内治療の技術の進歩がなければ、重度の後遺症が残っていたり、命を落としていたであろう患者さん達を、

確かに救い続けている姿を目の当たりにしました。中には若い人の命を血管内治療で救ったという症例もありました。



万能だと感じられる糖質制限ですが、

いずれの治療も、糖質制限では決して肩代わりできない有益な治療です。

西洋医学を基盤とした現代医療を抜本的に見直さなければならないという想いは今も変わりませんが、

現代医療の全てを否定するというのも違うように思います。

大きく概念化すれば「急性期医療には西洋医学ベースの治療が役に立つ」と言えるかもしれません。

言い換えれば、とりあえず緊急事態を脱するための医療です。点滴や抗生剤、ステロイド、血液浄化療法などがそれに当たります。

しかし緊急事態を脱して再発を防ごうと、あるいは病状を安定化させようという慢性期医療に対しては糖質制限に大きく分があると思います。

慢性期医療に携わる全ての医師が糖質制限の観点を持てば、

現在の急性期医療の膨大な仕事量は大幅に最小化し、救急医療に携わる医師は真の救急患者を救う事に専念することができます。

もっと言えば、たとえ医師が糖質制限を認めずとも、全ての人が患者が糖質制限の観点の持てば、同じ状況を作り出す事ができます。

せっかく血栓を溶かしても、血栓ができるに至った生活習慣を見直すことができなければ、

いつまでたっても状況は変わりません。むしろ救えば救うほど新たな患者が増える事にもなりかねません。


一票の重み、などとよく言いますが、

野心まみれの政治家に一票を投じる事よりも、

糖質制限肯定に対する一人一人の決断の方が、

より確実に世の中を変えると私は思います。


たがしゅう
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No title

こんばんは。

そもそも西洋医学は戦場で醸成されたものですから急性期には強いですよね。現代における救命救急とかが合致しますか。

Re: No title

ささき さん

コメント頂き有難うございます。

> 現代における救命救急とかが合致しますか。

ほぼ合致しますが、点滴の組成など救急処置にも糖質制限の観点から見直すべきところはあると思います。

No title

もし、平和で豊かで健康な人々ばかり住む理想郷のような社会が実現したとしたら(もちろん、現状では夢物語ですが)…。
その社会における医師は、現在よりもずっと少数で十分ということになってしまうのではないでしょうか。
でも、そんな社会でも絶対に必要とされる医師は二人いて、それが救命救急医と産婦人科医ではないかと思うんです。

ご報告

本日、自動車免許の更新に行ってきたんですけど、
メガネが不要になりました。

糖質制限を初めてから4年になります。
視力回復も少し狙ってやっていたのですが、結果が出て嬉しいです。

長期間続けることによる効果も現れてきたような気がします。

Re: No title

> もし、平和で豊かで健康な人々ばかり住む理想郷のような社会が実現したとしたら
> そんな社会でも絶対に必要とされる医師は二人いて、それが救命救急医と産婦人科医ではないかと思うんです。


 確かにそうかもしれません。
 その場合、救命救急医は一部の外科手術にも習熟しておくべきでしょうね。
 
 あとは病理医も必要だと思います。今後の医学の発展のために。
 それから個人的には食事療法で身体の不調が解決しきれない人の様々な症状に漢方医は幅広く解決の手がかりを提供してくれると思います。

 いずれにしても、今ある医師の仕事はだいぶ縮小される事が想像されますね。

Re: ご報告

ふぁっつおー さん

 コメント頂き有難うございます。

> 糖質制限を初めてから4年になります。
> 視力回復も少し狙ってやっていたのですが、結果が出て嬉しいです。


 それはすごいです。
 視力低下の原因にもよるのでしょうけれど、同様の悩みを持つ人にとっては希望が持てる貴重な体験談ですね。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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