サイアミディン

医者が治せる筋合いのない病気

めまいの病気として知られるメニエール病は原因不明ですが、

ストレスが関わっているという事が言われているという話をしました。

大きく言ってストレスには身体に無理がかかる「身体的ストレス」と、心に無理がかかる「精神的ストレス」とがあり、

いずれにしても、「ストレスは様々な病気の元」という考えはストレス性胃潰瘍を中心に一般的にも広く認知されていると思います。

ストレス関連疾患として軽く調べるだけでも、以下のようにたくさんの疾患が挙げられます。

●胃潰瘍 ●頚肩腕症候群 ●十二指腸潰瘍 ●うつ病
●過敏性腸症候群 ●円形脱毛症 ●高血圧症 ●インポテンツ
●関節リウマチ ●メニエール症候群 ●神経症 ●自律神経失調症
●過換気症候群 ●更年期障害 ●気管支喘息 ●神経性胃炎
●甲状腺機能亢進症 ●不眠症 ●緊張型頭痛 ●原発性緑内障
●自律神経失調症 ●心臓神経症 ●摂食障害 ●潰瘍性大腸炎・・・などなど

一方で、これらのストレスが関わる疾患群は年々増加傾向にあり、

平成27年12月1日からは職場のメンタルヘルスを守ろうという事で、

労働安全衛生法が改正され「ストレスチェック制度」が施行されるようになりました。
ストレスに注目してこうした病気を予防していこうという発想自体はいいと思いますが、

方法論が確立していなければ意味がありません。現に人間ドックや認知症健診では薬の要らない人に薬を処方して害をもたらしている状況が実際に起こっていると思います。

正しい対策を立てるためには正しく敵を知っておく必要があります

今回は、「はたしてストレスがあると何かどうなって病気につながってしまうのか」という事について考えてみたいと思います。


身体がストレスを受けると、まず自律神経のうちの交感神経が緊張します。

交感神経の緊張刺激によって、身体の心臓から遠い位置にある末梢血管は反応性に収縮します。

一方で心臓の働きは活発になり、脈が速くなったり心筋収縮力が高まったりします。

またストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールやノルアドレナリンといったホルモンによって血糖値が上昇したり、

レニン‐アンギオテンシン‐アルドステロン系と呼ばれる内分泌(ホルモン)システムによって血管抵抗が高まり、体液が貯留する方向へと代謝がシフトします。

以前にも紹介しましたように、こうした反応自体はストレスがかかるような臨時事態を打破するために身体が頑張っている証拠であり、好ましい身体反応です。

しかしこうした状態が慣れない状態から急激に起こったり長々と交感神経過緊張の状態が続いたりすると、

身体にとって好ましくない変化へと変貌してしまうという事なのです。

より具体的に言えば、正常の状態から急激なストレスによって一気に血管が収縮してしまえばいわゆる「青ざめる」状態になりますし、

長々と交感神経過緊張状態が続けば、体液貯留が持続して足がむくんだりするような反応も起こります。

メニエール病の病態として考えられている「内リンパ水腫」にしても体液の貯留という点では共通していますので、

メニエール病にストレスが関わっているというのはその辺りで説明できるのかもしれません。


他方、一見関係ないと思われがちな事にもストレスは関わっています。例えば緑内障です。

緑内障というのは、眼圧が上がる事で視力低下、視野欠損、あるいは頭痛などをきたす病気です。

眼圧について説明しますと、目の表面は「房水」と呼ばれる水分が循環して流れています。

この房水の流れが何らかの原因によって滞り、目の中における房水の量が増えれば目の内部の圧力が上がります。これが眼圧が上がった状態です。

これも目の中で体液の貯留が起これば眼圧が上がる原因になるので、緑内障もストレスが原因で起こりうるという事になります。

そのように考えると、逆に言えば目だけを見ていては緑内障を治せない、とも言えそうですし、

耳だけを見ていてはメニエール病は決して治せない、という事にもなってくると思います。

いくら目や耳の構造に詳しかろうと、薬の使い方に精通していようと、手術の腕が優れていようと、研究で新発見をしようと、

ストレスに対するアプローチという観点がなければ、専門的な視点にこだわっている限り、それはどこまで行っても根本治療にはなり得ないからです。

というよりもこうした病気はそもそも医者に治してもらうような筋合いのものではなく、

患者自身の生き方に関わってくる問題であり、自分自身がストレスとどう向き合うかという事の方がはるかに大事であるように思います。



今回はたまたまメニエール病と緑内障について取り上げましたが、

他のストレス関連疾患についてもすべて同様の事が言えると思います。

原因不明の病気に対して、ほとんどの医師は対症療法と言われる薬を出し続けるより他に術がないわけですが、

「この薬を飲んでいるから調子がいい」といって自らの生活態度を変えない患者さん、

自らの生活態度を変えずに症状が悪くなる事を薬のせいにしたがる患者さん、

本質的にはどちらも一緒の事です。無理な生活を続けていたり、暴飲暴食を続けていたり、

野菜中心の食事がベストだと強固な固定観念により栄養失調になっている事を自覚していなかったりと、

そういう生活態度を改めない患者さんに対して、医者がどんな治療をやりくりしようと根本的に解決できる問題ではそもそもないのだと思います。

「ストレスに対する向き合い方を見直さない限り、私はあなたを治すことはできません。」

その事を私は日々痛感しています。


たがしゅう
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Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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