サイアミディン

ストレスで不調になるのははたして病気なのか

ストレスの多い現代社会です。

生きている限り何らかのストレスは受け続けていくことになります。

人はストレスを受けると交感神経が高まり、その程度が強くなると交感神経と副交感神経のバランスが崩れる、いわゆる自律神経失調をきたし、身体の不調をきたすことになります。

そして人によっては精神に不調をきたす場合もあります。

数ある精神疾患のはっきりとした原因はわかっていませんが、こうしたストレスに伴う自律神経バランスの乱れがその一因となっている可能性が示唆されます。
また一方でストレスに対応する身体のシステムも備わっています。ストレスホルモンや神経伝達物質などがそれに当たります。

これらのシステムは脳神経系、内分泌系の緻密なネットワークによってホルモンや物質の量を増減させたり微調整することで成り立っていると考えられています。

この「抗ストレスシステム」がうまく働いている場合はストレスがあっても人は精神的不調を起こすことはありません。

私は前の記事で糖質が交感神経機能の興奮を引き起こしている可能性を指摘しました。

糖質の害は血糖値が上がることや肥満することだけに目が行きがちですが、

必ずしもそうではなく、人によっては太らないし血糖値も上がらない変わりに、精神的な不調をきたすというパターンの人もいるように思えてきました。

特にうつに関しては糖質制限が有効であることはかなり確からしいことですが、様々な症例をみているとパニック障害や不安神経症、あるいは自閉症スペクトラム障害の一部など、様々な精神疾患に関わっている可能性が浮上してきました。

そして糖質制限は人の持つ抗ストレスシステムの本来の働きを高める、安全な治療法と言えそうです。

なぜならストレスシステムにとって有害なものを「引いてみる」という発想だからです。緻密なネットワークはそのまま活かされます。

しかしながら、世間一般でうつ病やパニック障害、不安神経症などに行われている治療はほとんどが薬物療法です。

乱れたストレス-抗ストレス関係に対して、一方向性の薬剤を投与することで解決を試みようとしていることになります(例:セロトニンを増やす、など)。

でも例えば実際にはセロトニンは単純に減っているだけではなく、バランスが崩れて極端に増減したりしていることもあるので、ただセロトニンを増やせばいいというものではないのです。

さらに、抗うつ薬や精神安定剤には依存性があるので、使うことで一時的に症状は改善しても、原因に対して全くアプローチしておらず、次の薬への依存心が形成されていきます。

そして薬が長く続けば続くほど副作用のリスクは増すため、長く投与すればするほどそれが当初のストレスで起こった症状なのか、薬の副作用で起こった症状なのか、判別不能になります。



私の考えとしては、本来の精神疾患の治療はストレスの原因を明らかにして対処すること、ストレスを増強する要因を取り除き抗ストレスシステムを高めること、が基本であるべきだと思います。

また強大なストレスがかかった場合、精神的な不調をきたすのはある意味当然の正常な反応と言えますが、

これを病気だと考えて理解のない精神科へ受診してしまうと、まず間違いなく薬を処方される羽目になります。

ストレスによる心身の不調を一時的に受け入れて、薬を使わず耐え抜くという事も選択肢の一つです。


患者側としては上記を踏まえた上で本当に薬を飲むべきか、それとも糖質制限をやってみるべきかを真剣に考えなければならないと思います。

そうしなければ自分の身を守ることはできないと思います。

最後に、いつもコメントをお寄せ頂いているYamamoto_maさんから興味深い情報を頂きましたので御紹介します。

たがしゅう先生

私が尊敬(膨大な知識の持ち主)する人の一人、「松岡正剛氏」がこんな書評を書いて下さっておりましたので紹介します。

  アラン・ホーウィッツ&ジェローム・ウェイクフィールド

『それは「うつ」ではない』

どんな悲しみも「うつ」にされてしまう理由


http://1000ya.isis.ne.jp/1522.html



今日の話に通じる内容でした。皆様も是非一度御参照下さい。


たがしゅう
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

No title

表題とは関係のない話題で申し訳ありませんが
おもしろそうな話が載っていましたのでお知らせします。

http://japanese.joins.com/article/613/177613.html?servcode=100§code=120

韓国料理とフランス料理についての話です。

No title

うーん、これは難しい問題ですね。思わずうなってしまいました。
私個人は家族の発病と死という、
自分としては最大級のストレスに早々ギブアップしてしまい、
精神科の先生に相談して、週1回のカウンセリングと投薬を受けました。
もちろんそれだけで乗り切ったわけではないし、
まわりの人からのサポートや、途中から始めた糖質制限や、
少し元気になってから再開した読書などが、
そしてなにより時間が回復を救けてくれたと思うのですが、
じゃあひたすら耐えればよかったのかといえば、
それはやっぱりあまりにつらかったと思います。。

本当に落ち込んでいるときは、何もできない、
ということをまざまざと思い知らされた経験でした。

幸運にもいい先生にあたったのだとも思います。
ところどころで薬がお守りがわりになってくれました。
今はまだ睡眠剤をやめていませんが、元々不眠症なので、
好きな時間に眠れてラッキーくらいに思っています。

日本人はお薬好きなので、引き算の発想はとても大切だし、
糖質制限が世界を変えるかもしれない、とは思うのですが、
実際コントロールできないストレスもいっぱいあるわけで、
それをやりすごすための薬はありではないですか。

あと、診断をつけてもらうと、楽になるという心理があります。
相手が見えると受け入れやすくなる、戦いやすくなる。
安易に薬を出すのは論外として、
逆に一方的に精神科を責めるのもなしかなと思っています。

Re: No title

オクラの花 さん

情報を頂き有難うございます。

要するに糖質量が、「フランス料理<韓国料理」であったという事ですね。フランス料理の方でやせたというのも納得がいきます。

味付けが濃いと淡白な味のごはんやパンを併せて欲するようになり、結果的に糖質量が増えて悪循環となります。夏井先生の新書にもその事が指摘されていましたね。

Re: No title

にこ さん

御自身の体験を踏まえてのコメント、誠に有難うございます。

お気持ち、理解できます。

私は「精神科はダメ」「医療は不要」などの極論を言うつもりは全くありませんが、

糖質制限の理論を知って考えた時に、薬との付き合い方を抜本的に見直す必要があるとは感じています。この辺りの現時点での自分の考えにつきましてはいずれ記事にしたいと思いますが、薬はあくまで一時的なサポートを基本とすべきだと考えています。

また一方で自分の身の回りに薬の副作用にあまりに無頓着な精神科医が多いのも事実です。

糖質制限の理論を知らずして良い精神医療を展開する事は極めて困難な事だと私は感じています。

No title

Chieです。

内科医のDrが、いろいろ居られるように。Nsがいろいろいるように、
地域のお仕事をしてたので、そこそこ、ちまたの精神科医の先生も知り合いがいるのですが、レベルの格差に驚きます。
ご尊敬申しあげる先生方は、逆に疲弊してしまっているのも現状です。

正しく「悩む」力が、「悩み」に対する耐性が育たないのかもしれませんね。
自律神経や正しくホルモンを出す・出しすぎない(笑)、免疫力の強化とかとか。
新型うつはPTSD(そんなことでPDSDになるかという事象で起こる)であると主張されてらっしゃる方もおりました。

でも。今の学生みているとそれもありなんと思えてしまう私もいます。

SSRIに関しては、発売当初から、心ある精神科医の中でも、魔法の薬じゃないヨというお話は聞いてました。
もしかすると、新型ウツとかには、SSTなどを含めた心理療法が効果あるかもですね。
もちろん。糖質の罪も大きいとは感じてます。
(というか、引きこもりの学生見てると、たんぱく質食べてないっ!)

Re: No title

Chie さん

コメント頂き有難うございます。

私は医師ですが、自分自身が患者の立場でSSRIと糖質制限の両方の効果を確認しています。

その上で明らかに糖質制限の方が抗うつ効果が高い事を実感しています。

どの分野もそうですが、薬を足すだけの発想では限界があるのです。

精神科にも糖質制限がどんどん広まってほしいと願っています。

No title

いつも楽しく拝読しております。先生がいつも真摯に自分の考えを述べられているのに共感し、私も勇気をだしてコメントをします。先日の集まりに参加してよかったです。ブログで紹介しきっかけを下さった先生に大変感謝しております。
夫のダイエットにつきあって何気なく糖質制限をはじめ1年です。薄皮がはがれるように、徐々に体調がよくなり気づけば長年服用してきた抗不安薬が必要なくなりました。
うつを何度か再発し、症状が重いときだけ抗うつ薬を服用していましたが、抗不安薬だけは手放せずやめると手足がしびれたり、めまいがしたりしていました。
今はすっきり晴れやか、いつもどこか調子が悪いのが普通だと思っていました。
糖質をとると肥満する人とそれ以外の症状がでる人がいるそうですが、私はまさに後者で、小さな頃から胃腸が弱く痩せ体質でした。
うつになってから自分の精神的な弱さを責め、現代がストレス社会なのに、そのストレスに弱いなんてふがいないと思っていました。ところが、糖質制限でよくなったのだったら自分はストレスに弱いのではなく、糖質ストレスに弱いだけなんだと心が軽くなりました。
今までは何でもないことで動悸がし、わきに変な汗をかき、その身体の反応から「今私は緊張している」と思っていました。
ところが糖質制限をしてからは同じ状況でも動悸がしないので「あれ、今緊張してないよね?」と心が納得するという変な感じを経験しています。
身体が安定して、心がそれについてくるというのを実感します。
「焦らない、焦らない」といくら心で唱えてもすでに交感神経優位になっていて身体が反応していれば心は焦っていると認識します、この場合精神論は何の助けにもなりません。
現代は身体を軽視しすぎている気がします。身体が大切ということは食事が一番大切だということだと思います。

Re: No title

チュチュ さん

 コメント頂き有難うございます。

> 夫のダイエットにつきあって何気なく糖質制限をはじめ1年です。薄皮がはがれるように、徐々に体調がよくなり気づけば長年服用してきた抗不安薬が必要なくなりました。

 本当に良かったですね。
 
 私も経験者なのでわかりますが、薬を飲まなくて済むようになることは何物にも代えがたい喜びだと思います。

> 糖質制限をしてからは同じ状況でも動悸がしないので「あれ、今緊張してないよね?」と心が納得するという変な感じを経験しています。
> 身体が安定して、心がそれについてくるというのを実感します。


 これも同感です。

 私も糖質制限を続けることで多少のストレスに耐えうるようになった自分を感じています。

 まさに心と体はつながっており、心を作る体、体を作る食事を見直すことが心を治す鍵になると私は思っています。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
これまでの訪問者数
FC2アフィリエイト
メールフォーム
フリーエリア
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR