サイアミディン

迷走する日本糖尿病学会

糖質制限食に対して批判的な見解を出し続けている日本糖尿病学会、

この度「糖尿病診療ガイドライン2016」なる出版物を刊行されました。

先日その内容をざっくりと見る機会があったので読んでみましたが、

食事療法に関しては相も変わらず炭水化物50-60%を推奨し続けているような内容でした。

大前提が崩れるとその後の話すべての信ぴょう性が失われてしまいます

変わらない組織の体質に辟易としながらも、このガイドラインについて別の雑誌でコメントがあったので読んでみました。

日本医事新報 No4815 2016.8.6
臨床各科 差分解説
■内科:糖尿病・代謝内分泌
糖尿病診療ガイドライン2016
【膨大なエビデンスに基づき、時流が反映された最新の治療指針】
解説 宇都宮一典 東京慈恵会医科大学 糖尿病・代謝・内分泌内科主任教授

(以下、引用)

日本糖尿病学会では『科学的根拠に基づく糖尿病診療ガイドライン』を診療指針の最上位に置き、

これをもとに『糖尿病治療ガイド』や『糖尿病食事療法のための食品交換表』など、多くの解説書を出版している。

本書は3年ごとに改訂されてきたが2016年5月、『糖尿病診療ガイドライン2016』として上梓された。

今回の改訂では、各項目にクリニカルクエスチョン(CQ)を設け、推奨グレードを策定委員会の投票で決定し、合意率も明記されている。

どの項目も、膨大な文献を引用してCQに回答する形で解説されており、引用した文献はすべて、アブストラクトテーブルに示されている。

また、日本老年医学会との合同委員会による「高齢者糖尿病の血糖コントロール目標」を掲載したことは注目される。

今回「科学的根拠に基づく」をはずしたのは、すべてのCQに十分なエビデンスがそろっていないことに配慮したものであるが、

現時点で最新の情報に基づいた診療指針と言えるであろう。

(後略。引用、ここまで)



冒頭で「膨大なエビデンスに基づき、時流が反映された最新の治療指針」だと表明しておきながら、

今回からエビデンス不足を理由にガイドラインのタイトルの「科学的根拠に基づく」という部分を外したというのです。

これは極めて大きな矛盾ではないでしょうか。それならば2013年、2010年、2007年のガイドラインについていた「科学的根拠に基づく」という文言はいったいなんだったのでしょうか。

私に言わせれば炭水化物50~60%を推奨している限り、いつまで待ってもよいエビデンスなど生まれる道理がありません。

日本糖尿病学会は「科学的である」という意味を「エビデンスの有無」である事に固執していますが、

医学会におけるエビデンスは統計学であり、つまるところ何かと何かを比べた結果を示しているだけにすぎません。

科学的であるというのはそれだけではなく、物理、化学、生物学など基礎科学理論を元に説明される病態生理も十分「科学的根拠」に当たります。

糖質を摂取し、血糖値が上昇し、インスリンが分泌されるという現象はほとんどすべての人に再現性があるという事はもはや疑いの余地がないことです。

それなのに炭水化物50-60%を推奨し続け、まだ見ぬエビデンスを待ち続ける姿勢のどこが科学的だと言えるでしょうか。

その意味で日本糖尿病学会は完全に迷走してしまっていると私は思います。

いえ、問題は糖尿病学会に限った話ではありません。

EBM(エビデンスに基づく医学)を追い求め過ぎた結果、

医学会全体が科学の本質を見失っているように私には思えます。


たがしゅう
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

いわゆる食物カロリーなるもの

糖質制限を実践していく上で、相反して絶対両立しないものが、いわゆる「食物カロリー」「カロリー計算」なるものだと私は思っています。

とは言え、
「同じ物を少量食べるよりは、たくさん食べるほうが太ってしまう」ということは、間違いないので、なんとか生き残っている
いわゆる・・・・
「食物カロリー」なるもの・・・。
ここから崩していったほうが良いような気がします。

糖質制限を推奨する医師の方でも、なんとか「カロリー制限」との辻褄を合わせようとする方がいらっしゃいますよね。
例えば「糖質を控える食事だと満足して、結局カロリーを制限することになる」などと仰る方です。

それでは結局、糖質制限を否定しているように思うのですが・・・違いますかね?


話はそれますが、
先日放送があったNHKガッテン。
NHKとしては今までで一番良かったと思います。それは山田先生が「脂肪を控えても何も良いことはない」と言ってくれたところです。
NHKでは放送禁止ではないのか?と思ったほどでした。

そのあと直ぐ放送されたクローズアップ現代は最悪でしたね。

Re: いわゆる食物カロリーなるもの

ふぁっつおー さん

 コメント頂き有難うございます。

 御指摘のように、従来の常識であるカロリー計算と糖質制限理論を両立させようとしている人は、糖質制限の本質を理解しきれていないと私は思います。従来の常識と両立できないからこそ、糖質制限は真のパラダイムシフトなのです。ただ単に「変わった治療=パラダイムシフト」と認識している限りはいつまでたっても理解できないでしょうね。

 2014年1月9日(木)の本ブログ記事
 「カロリー制限と混同しない」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-146.html

 2014年3月28日(金)の本ブログ記事
 「従来の常識を捨てきれない人達」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-224.html
 
 も御参照下さい。

> 先日放送があったNHKガッテン。
> NHKとしては今までで一番良かったと思います。それは山田先生が「脂肪を控えても何も良いことはない」と言ってくれたところです。


 NHKは権威に従いますからね。
 そういう意味では山田先生の意見はNHKで通りやすいのではないかと思います。

学会はEBMをはき違えているのでは?

> EBM(エビデンスに基づく医学)を追い求め過ぎた結果、

『ある症状Xに対して,A,B,C... の薬剤があり,多数の患者で大規模試験したところ,A薬が奏功したケースがもっとも多かった. よって,X症状を呈する患者には,一律にAを処方する.』

これをEBMだと勘違いしている人が多いのではないでしょうか?

大規模試験でAが効いた人が最も多かったという事実はあるにしても,B,C...の方がよかった人もいたわけですから,『今自分の目の前にいる,この患者はどれに当てはまるのかを原論文にあたって決める』,その結果,この人にはCが最もFitしそうだとして処方する,これが本当のEBMだと思います.

Re: 学会はEBMをはき違えているのでは?

しらねのぞるば さん

 コメント頂き有難うございます。

 御指摘のように今のエビデンスは実質科学的とは到底言えず、言うなれば「統計学的」な医療になってしまっていると思います。個体差を無視し均質化するのが統計学の弱点であり、ある意味便利な所でもあります。

 エビデンスを必ずしも盲信してはいけないという観念は一般の医師にもありますが、それでもまずはガイドラインに従うという医師が圧倒的多数です。エビデンスのない治療をするとしても、順番的にはエビデンスのある治療を行った後での話です。

 科学的に考えて検証した結果、エビデンスのない治療をまず最初にやってみるべきだと判断する医師は極めて少数派だと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
これまでの訪問者数
FC2アフィリエイト
メールフォーム
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR