サイアミディン

検査は全てを語らない

現代医療において血液検査はかなり普及し一般的になっている検査です。

その結果により治療方針が左右され、時には不安をあおられる方も多いと思います。

しかし私が患者さんと向き合っていて、必ずしも血液検査が患者さんを正しく反映していないと思える場面が時々あります。

例えば、こんな患者さんがいました。70代の女性です。

パニック発作様の主訴で来院された方で、BMI 20.6のやせ型体型、

血圧は224/108mmHgと異常高値を示し、腰は曲がっていてレントゲン上の頸椎変形も高度に認めています。

それでも血液検査をしてみても総蛋白7.3g/dL、アルブミン4.5g/dLを始め、肝逸脱酵素も尿素窒素も電解質もコレステロールも血糖値もヘモグロビンもMCVも何も異常値がないのです。
私は血液検査の項目を詳しく読み取るオーソモレキュラー医学の勉強もかじっていますが、その目で見ても異常は少ないと言えるデータです。

しかし現に患者さんはパニックになり、血圧は制御不能となり、骨はボロボロになっています。

こういう患者さんを目にすると、血液検査が必ずしもすべてを語っていないような気がしてならなく思えてくるのです。


そもそも、人間の体重の60%が水分で、

40%が細胞内液、20%が細胞外液である中の5%が血液だと言われています。

残り95%が血液ではない部分なのに、5%の血液検査で100%の人間の身体のすべてを説明できるものなのでしょうか。

血液の中が栄養にあふれていても、何らかの理由で細胞内で栄養が使えず、ただ細胞外である血液に栄養があふれているだけという状況もありえるのではないでしょうか。

例えば、血液中にはカルシウムはたっぷり含まれている時に、実は骨密度が下がり骨がもろくなってしまっている状況を言い当てる事ができるでしょうか。

勿論血液検査をすべて否定するわけではありません。

血液検査が身体の異常な状況を反映してくれているという事、それに助けられたことはこれまでに何度もありました。

しかし、だからと言ってすべて血液検査で説明できると考えるのは傲慢ではないかと私は思うのです。

「科学的な検査は患者さんの一側面を見ているだけに過ぎない」

その事を忘れた時、医療は本質を見失ってしまうと私は思います。


私の医者としてのモットーは「体調が最良のバロメータ」です。

血液検査に限らず、どんな検査で正常であったとしても、患者さんの体調が悪ければ、そこに病気は在るのだと思います。

だから、検査がない時代から患者さんと向かい続けてきた漢方診療に惹かれるのかもしれません。

患者さんを総合的に診る視点を常に忘れないでいたいと思います。


たがしゅう
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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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