サイアミディン

褒めることに潜む罠

アドラー心理学では「他者を褒めてはいけない」という考え方があります。

これは同じく「承認欲求は小さい方がよい」という考え方にも通じるものがあるのですが、

世の中は褒めるという行為に寛容というか、肯定的な意見を持つ人が多数派ではないかと思います。

Facebookのいいねの数を競うとか、ブログランキングに登録して上を目指すなんてのはその現代的な象徴だと思っています。

また先日地元で行われた「糖尿病に対する運動療法の効果」と題した講演では、

患者さんのやる気を引き出す事が大事です!その為には患者さんを褒めてあげましょう!

などと講師の方がおっしゃっていました。この発言に関してすんなり受け入れられる人がおそらくほとんどでしょう。

ただ私はこの褒めるという行為に潜む罠、長くブログをやっているとだんだんわかるようになってきました。
というのも、私のブログにも拍手という欄があります。いつも拍手を頂いて有難うございます。

最近の私はブログを書く時に、フラットな気持ちを心がけるようにしています。

やっぱり拍手をもらうというのは気持ちがいいもので、自分のマイナーな意見が認められたように感じられて嬉しいのです。これがまさに「承認欲求が満たされる」状態だと思います。

ところが、その嬉しさにそのまま身を任せていると、いつの間にか「拍手をもらえるような記事しか書かない」という方向に誘導されてしまう罠があるのです。

「拍手をもらえる記事」という事は大衆に受け入れられる記事、すなわち「既に世の中にある価値観と合致する内容」という事になります。

それが世の中に好影響をもたらす事もあると思いますが、問題は「それしか書かなくなる」という思考パターンにあります。

その思考は「拍手がもらえなければその意見には価値がない」という誤った考えにつながり、新しくブレイクスルーを起こしくくなってしまいます。

私の昔の記事で拍手が少ないものなどは、ただブログが認知されていなかっただけなので気がつきませんでしたが、

ある程度続けて固定的に読者の方々が一定数訪れて下さるブログとなった今、その状況でも尚拍手数が少ない記事というのはともすれば価値のない誤った記事なのかと考えてしまいがちだと思います。

しかし私はそのようには考えません。どの記事も私がフラットな気持ちで考えた事を具現化したものであり、

どれに価値があってどれに価値がないというようなものではありません。皆等しく「私が考えた証」です。

それどころかむしろ、拍手の少ない記事にこそ、まだ世の中の人が、しかも先進的な気持ちで私を見守ってくれている読者でさえ、気づいていない大事な要素が含まれていることさえあると思っています。

だから私は拍手をフラットに眺め、フラットな気持ちで記事を書き続けています。

極端に言えば、拍手ゼロの記事で誰か一人を救う事ができたら、そこには何にも代え難い価値があると私は思います。


もっと広く「褒める」という行為の本質を捉えると、

多くの人にとって常識的な価値観の中で、他者の価値観をその色に染めることです。

しかもアドラー心理学で言われるように、褒める側と褒められる側との間での上下関係が作られてしまいます。

その結果、褒められる側は自分で考える力を失い、褒められる事に没頭してしまう罠があるのだと思います。

自分の頭で考える力」を鍛えたいのならば、

褒められる事にこだわらず、考え続けるべきだと私は思います。


たがしゅう
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拍手一番乗り!(笑)

たがしゅう先生

いつも(美味しく)楽しくブログを拝見しております。

さて、本日のブログの記事についてですが・・・。

アドラー心理学で、賞罰教育は良くないというのが、私の中で、どうしても腑に落ちなかったため、二度ほど、「嫌われる勇気」の著者 岸見一郎先生を直撃してみることにしました。

罰はともかく、褒めることはなぜいけないのか?のかが今一つ、ピンと来なかったのです。

岸見先生の話を聞いていて、私の脳裏にある体験が甦りました。それは、小学校時代に担任の教師から褒められた経験でした。

それまでの私は褒められた経験があまりなかったため、担任の教師から存在を認知され、さらに褒められるという経験は、とてもうれしかったのです。それからというもの、まるで生まれ変わったように、真(魔)人間になり、より一層、勉学に励むようになりました。ところが、時が経つにつれ、気付くと、その担任の教師の顔色を窺うような人間になってしまっていたのです。

それまでも、テレビばかり見ていたニンゲンだったため、自分で考えるという「自考力」のあるニンゲンとはとても言えなかったのですが、行動原理がまさに、褒められるかどうかに大きく傾くようになっていました。


つまり、褒められたいという欲求が強く、その欲求に依存するようになっていたのです。

これが、アドラーの言う、賞罰教育の弊害なのか?と、今頃になって、愕然としました・・・ガビーン!

褒められたことはきっかけとしては良かったのですが、結果的には、目的になってしまうことになり、そこに依存が生まれてしまいました。

たがしゅう先生にもお話しましたが、私は、「嫌われる勇気」は自己啓発本のようで途中で気持ち悪くなり読むのをやめました。しかし、岸見一郎とはどういう人物なのかにはとても興味が湧きました。

最近は、気になる人には直接会いに行ってみることにしています。考えられないニンゲンかもしれないが、直接会ってみれば、何かしら感じることは出来るかもしれない!と思ったことがきっかけでした。

考えられるニンゲンはハードルは高そうだが、感じられるニンゲンは自分にとってはハードルが低そうだな・・・とも言えますが(笑)

余談になりますが、岸見先生の話で私の印象に残ったことを少しばかり・・・


・人間の価値は生産性では決まらない。
・生きていること、すなわち、存在そのものがすでに(他者に)貢献している。


一度、生死を彷徨うような大病を患った岸見一郎先生の魂の言葉を聞いた気がしました・・・。


たがしゅう先生に、某所で、拍手一番乗りを阻止されている!(笑)コアなファンが3人いる!というわけのわからんことを言ってしまった手前、今回は久々に投稿させて頂き、大変失礼致しました。


大衆迎合でも、ポピュリズムでもない、たがしゅう先生の本日の記事に、拍手!一番乗り!(笑)


先生のこれからの発信を承認欲求を加速させない程度に見守っております!

Re: 拍手一番乗り!(笑)

carpediem さん

 コメント頂き有難うございます。

 私も幼少期、親や親戚、学校の先生らに褒められた事は大変嬉しかったと記憶しています。 
 特に私の場合は「よく食べる」という事をよく褒められるこどもでした。もちろんそれだけで太ったという訳ではありませんが、私の行動原理を知らず知らずのうちに規定していた要因の一つであった可能性は否定できません。

 しかし私は今、糖質制限をきっかけにある程度自分の頭で考えられるようになりました。
 ここからわかることは、賞罰教育にはその後のすべてを決めてしまう程の強さがあるわけではなく、やはり自分次第で人生は変えられるのだということです。

No title

たがしゅう先生

昨日はお世話になりました。有難う御座います。とても素敵な時間になりました。そして改めて内省する機会にもなったのです

私もブロ愚を書くとき、「いいね」に拘らないようにしていました。それは日常の失敗談やダイエット記事を書いた時には「いいね」が多いのですが、予防歯科関連の話題では「いいね」が少なかったのです

しかし私にとって、「いいね」の少ない予防歯科の記事こそ世間に正しく広まって欲しいと考えているからです。



私のブロ愚は今日から休止せざるを得なくなりました。昨日先生に話した時、虫の知らせのようなものがあったのかもしれません・・これまでブロ愚を書く私を温かく励ましていただいた事に心から感謝申し上げます。

パソコン自体は動きますので、先生のブログはこれまで通り毎日読ませていただきます

くんだみえ

子供の教育

たがしゅう先生、いつも返事いただきありがとうございます。毎回、私の中でモヤッとしていた事柄を心地良く解いてくださるので、思わずコメントしてしまいます。お許し下さい。
さて、褒めることは子供の教育には良いとされていて、先日もテレビでは、正しい褒めるポイントがあると放送してました。例えば、子供がテストで良い点を取った場合、あなたは凄いねー頭が良いねーと『当人の能力を褒める』のでは無く、頑張ったからだねーと『これまでの努力』を褒めるが良いらしいです。
私がモヤッとしたのは、どちらの褒め方が良いのかという理由は納得出来ますが、結局は『褒めるという行為は、親子関係上有意義で推奨される』のですかね?アドラー心理学を知らないので、今回の記事を見る限り『子供を褒め過ぎると、褒められないと何も出来ない大人になる可能性』を危惧してしまいました。
ちょうど、子育て世代でして、先生の御意見頂ければ幸いです。

No title

たがしゅうさん、こんばんは。

ブログの内容と関係ないですが、貼っておきます。

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/report/16/110400080/110400003/

大商社の社長なので社会の中で大局的な流れができるのではないかと期待してます。コンビニとかでもっと普通に糖質制限食が安価に供給されますように。

Re: No title

栗田三江(くんだみえ)さん

 コメント頂き有難うございます。
 また御苦労お察し申し上げます。

 一方でピンチはチャンスです。これを機にいろいろな事に挑戦してみられるのも一興と存じます。

Re: 子供の教育

だいきち さん

 コメント頂き有難うございます。

 アドラー心理学では対等な人間関係を重視しています。
 褒めて伸ばすという方法論で実際に伸びている人もいます。しかしそれはどこまで行っても褒める上の立場の人間と褒められる下の立場の人間との上下関係を作り上げる事になります。それでは対等な人間関係は構築できません。

 そして対等な人間関係を作り上げる事で自己解決能力が高まっていきます。褒められなくても何かを成し遂げようと思えば、何をすべきかを自分で考えなければならないからです。もしも自分の子がそんな風な人間へと育ってほしいのであれば、アドラー心理学の考え方は大変参考になると思います。

Re: No title

ささき さん

 情報を頂き有難うございます。

 どうやら時代は着実にうねり始めているようですね。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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