サイアミディン

賢者は歴史に学ぶ

病に対する本質的アプローチを意識していたナイチンゲールと同様に、

もう一人そのようなアプローチを実践していた人物がいました。西式健康法の創始者、西勝造先生です。



原本・西式健康読本 (健康双書ワイド版―食と健康の古典) 単行本 – 2003/10
西 勝造 (著), 西 大助 早乙女 勝元


西先生は医師ではありませんが、自身の病の経験から様々な健康法の実践を経て独自の健康法を確立された方です。

その理念は断食で有名な甲田光雄先生へと受け継がれていますが、この西式健康法の考え方がよく病の本質を捉えていると私は思うのです。
西先生は幼少の頃、原因不明の下痢や微熱に長年悩まされ、

13歳の頃に医者から「20歳まで生きられない」と宣告された経験がありました。

しかし様々な試行錯誤を経て西洋医学と反対の事を実践した結果、健康を取り戻して最終的には75歳まで生きられました。

すごいのは医師にならずに独自の医学を確立し、それだけにとどまらずコロンビア大学でトンネル工学や橋梁工学を学び、

日本初の地下鉄を設計するという偉業まで成し遂げておられます。すごいですね。

その西式健康法の概要について見ていく前に、先日御紹介した本の西式健康法について書かれた文章を御覧ください。

病いとかかわる思想【第2版】 単行本 – 2006/3/16
森本 芳生 (著)


(p28-29より引用)

(前略)

「空気」「熱」、「食餌」を、さらにそれらと関連する「排泄」をくわえ、

また医療実践・看護実践が対象とする「病気」の「常識」(病気観)にかかわって、

近代日本の民間健康運動のひとつの西式健康法での認識と看護(ナイチンゲール)のそれを取り上げることにしよう。

西勝造の論理を理解しようとする場合、まずなにより彼の立論の大前提から問題とせねばならない。

彼は、現代医学を「医学の名のみを有する迷信にすぎない」と、その非科学性を批判する一方[西 1960:115頁]、自らの立場をつぎのように述べている。

 西医学の哲学は、人間に関するすべての事物および現象を過去から未来にいたる過程のひとつとして、絶えざる変化発展の姿において把握する。
 
 人類が下等な原始生物から次第に進化し、その形態、構造、機能は、すべて新しい環境に適応するように発達してきたものである以上、このような過去を抹殺して現在を考察することははなはだしい誤謬であると、西医学の哲学は主張する。
 われわれは、まず歴史的事実を回顧し、しかる後に現在を論じ、将来を演繹しなければならない[『西勝造著作集(第一巻)』柏樹社 1960:191頁]


(引用、ここまで)



ヒトの進化、ひいては生命の進化が常に自然に対する環境適応の連続だという事を考えれば、

その進化の歴史を踏まえて現在を考えるのが筋であって、臓器別、組織別、細胞別、遺伝子別といくら身体を細分化したところで病の本質は捉えられないのだということを西先生は言っているように私には思えます。


では西先生は具体的にどうやって病を治そうとするのかといいますと、

西式健康法には「栄養」「四肢」「皮膚」「精神」の四大原則があるとされています。

①「栄養」:生菜食が基本。暖衣飽食を退ける。断食、生食も利用。
②「四肢」:仰臥の姿勢で足のゆがみを整える。種々の運動も利用。
③「皮膚」:皮膚及び内臓の排毒作用を高める。温冷浴や裸療法も利用。
④「精神」:①~③を統括する中心原則。自己暗示「良・能・善」


基本はナイチンゲールと同様、もともと持っている人間の機能を最大限に有効利用する考えに基づいている治療法です。やはり偉大なことを成し遂げる人というのは、いつの時代でも本質を見抜く力に長けていると思います。

西式健康法の総論に対しては私は大いに賛成の立場です。極力自然の機能を邪魔せず、有効活用すべきだと考えます。

それに④の精神は私的にはストレスマネジメントの重要性であって、難病を克服した人達や、糖質制限関係なしで長生きした人達の事を考えればここは外せないこともよく理解できます。

ただ生菜食は糖質制限の理論を組み入れればさらに精度が増すと思いますし、各論の部分に関しては盲信せずに本当にそれでよいのかどうか科学的な視点も交えながら検証していく姿勢が大事だと思っています。

温故知新、やはり歴史から私達が学べることは大いにあると思います。


たがしゅう
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操体法

*仰臥の姿勢で足のゆがみを整える

橋本敬三先生の「操体法 」にも、同じような考え方があります。

Re: 操体法

かんな さん

 コメント頂き有難うございます。

 「操体法」、存在だけは知っていましたが、まだそこまで学びが及んでおりませんでした。
 しかしそこにもつながってくるのですね。俄然興味が湧いてきました。是非とも学んでみたいと思います。教えて頂き深謝申し上げます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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