サイアミディン

病気という名の色眼鏡で見ない

糖尿病であろうとなかろうと糖質制限をすべきだという考えを書きましたが、

この事は病気という枠組みの中で私達が無意識に偏った見方をしているかもしれないという事実に気づかせてくれます。

時々同じ糖質制限実践者の中でも、「私は糖尿病だから生きるために糖質制限をしなければいけないのであって、ダイエット目的で軽く考える人とは訳が違う」という考え方の人と出会うことがありますが、

私はそんなに気負う必要はないのではないかと思います。

なぜならば、糖質を摂取すればデメリットを受け、糖質を制限すればメリットを得るという意味では、基本的には皆共通しているからです。

血糖値というものさしがあるからその糖質の害が見えやすいだけであって、糖尿病ではない人も糖質摂取の害は見えないだけでしっかりと受けてしまっていると思います。

むしろ糖質の害が見えやすいという事をメリットに思うことすらできると思います。
「自分は糖尿病だから糖質制限しないといけない」
「あの人は糖尿病だから糖質制限っていう変わった食事療法をしているんだ」

こうしたものの考え方は無意識のうちに糖尿病という名の色眼鏡で世の中を見てしまっている部分があると思います。

そもそも病気というのは誰かのものさしで決まった恣意的な概念です。

大きな視点で考えれば糖尿病も、肥満症も、アトピー性皮膚炎も、がんも、違う病気のようでいて実は単なる糖質摂取による影響の表現型の差だと見る事ができます。

糖質摂取で血糖値が上がりやすい人→糖尿病
糖質摂取で太りやすい人→肥満症
糖質摂取で皮膚が荒れやすい人→アトピー性皮膚炎
糖質摂取で身体にできものができやすい人→がん

そう考えると人類皆糖質制限であり、病気という枠組み自体にとらわれる必要がない可能性さえ見えてくるのです。


そういえば最近、こんな本を読みました。



片付けられないのはアスペルガー症候群のせいでした。 (コミックエッセイ) 単行本 – 2016/9/9
吉濱 ツトム (著), カタノ トモコ (イラスト)


アスペルガー症候群というのは発達障害の中の自閉症スペクトラム障害の中の特殊型で、

特定の分野に強いこだわりを持ったり、特定の分野で素晴らしい才能を発揮したりする特徴などがあり、一言で言えば「ちょっと変わった天才肌」という感じの人がそう診断される事があります。

この本はそのアスペルガー症候群の人の特徴として片づけられないという特徴があるという事が示されていて、

どうすれば片づけられるようになるかというのかをマンガを交えてわかりやすく紹介している内容の本でした。

何を隠そう私も相当片づけられない人間ですので、この本を衝動買いしてしまったわけです。

「片づけられない」=「アスペルガー症候群」というわけではありませんが、片づけられないと一つアスペルガー症候群の傾向を持つという事になります。

ただ、その一方でこの本の著者は「アスペルガー症候群は障害というより1つの才能だと思う」と述べておられましたが、その見解には私も同意します。

もっと言えば、アスペルガー症候群という言葉を外した視点でその人の個性としてみるべきとさえ思うわけです。

アスペルガー症候群という言葉があることによって、無意識のうちに「あの人はアスペルガー症候群だから、あんなことをしても仕方がないんだよ」など偏見を持って見てしまってはいないでしょうか。

言葉があることによって便利な部分も勿論ありますが、一方で言葉が世界を歪める事もあるという事も私達は知るべきだと思います。

アスペルガー症候群という言葉さえなければ、その人は「ただのそんな感じの人」なのですから。


興味深かったのは、この本に糖質制限の事も書かれていたという事です。少し引用してみます。

(p50-51より引用)

(前略)

アスペルガー症候群は心因性の病ではなく、脳の器質的障害です。

たとえば、セロトニンシステムの機能不全、セロトニンが不足すると情緒不安定になり、強い劣等感にさいなまれます。

劣等感を抱えているというのは、アスペルガー症候群の最大の特徴。

さらにアスペルガーの人は糖代謝異常になりやすく、血糖値が乱高下する場合も。

血糖値が乱高下するとセロトニン不足に拍車がかかり、さらに深い劣等感へ沈んでしまうのです。

このセロトニン不足を解消するのに有効なのが、炭水化物を極力控える「ローカーボ食」という食事法。

もとは糖尿病や肥満症の治療に使われていた食事法であり、イモ類や米、砂糖や果物といった糖質を摂らない代わりに肉や魚、卵や豆腐などのタンパク質を摂取するのです。

普段、ご飯やパン、パスタをおいしく食べている人にとっては、なかなかつらいかもしれませんが、

この食事療法を行うと、早くて4日、遅くとも2週間あれば効果を実感できるでしょう。

糖質は依存性がありますが、ローカーボ食を数日続ければ、しっかり糖質依存から離脱できます

そのほかにも、規則正しい生活を送ったり、適度に運動することによってセロトニンは分泌されます。

劣等感や不安感と聞くと心の病気を想像しますが、内実は身体の生理的作用が大きく関係しているのです。

アスペルガー症候群の克服には、物理的なアプローチが効果的な事が理解していただけると思います。

(引用、ここまで)



糖質の本質的な性質にも触れられている良い文章だと思います。

精神面に糖質が影響するのもその通りですし、糖質の依存性を指摘しやめる事の難しさにも配慮してある点もいいですね。

とにかくあらゆる事に糖質は影響し、それが様々な病気に共通する根源になっているというのであれば、

病気があろうとなかろうと、障害があろうとなかろうと、

そもそも病気とか障害とかそんな色眼鏡は取っ払ってしまい、

誰もが普通に糖質制限をそれぞれが受け入れられる形で行っていけばよいのではないかと私は思います。


たがしゅう

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非公開コメント

こんにちは^^

たがしゅう先生の
『糖質摂取による影響の表現型の差』
という観点、非常に重要な観点だと思います。

この観点のすごいところは、対症療法ではなく
本質的な原因をみつめ、指摘して
おられるところだと思います。




いっそのこと、入院したら
症状をおさえる薬は
最小限にして、
むしろ薬よりは、
徹底的に糖質制限して
くれる病院が登場しないものか
と思います。

ガンも糖尿病もアトピーも
その他かなりの病気が
それでよくなるのでは
ないでしょうか?

症状をおさえることばかりで
原因を解決しない医療には
もう、うんざりです。




No title

たがしゅう先生、こんにちは。
私は境界型糖尿病と診断されてます。意志が弱いせいで糖質制限も挫折することがしばしばあります。
3日ほどうまく制限出来たかと思うと4日目には大福をドカ食いしてしまったり。。
ずれた話になってしまいますが私は田舎に住んでいます。
見渡す限り田んぼ、農協も近くにあります。農繁期になるとお年寄り達が一生懸命働いて農協にお米を卸しています。
そんな様子を見ると糖質制限に心理的に申し訳なさというか、ああ、こんなに必至に作業して作る物(米)は健康には悪いものなんだ。
農業については、健康とはきりはなして見るべきだとは思いますが、少々葛藤してしまいます。

病気が遺伝するのではなく、糖耐性が遺伝する

お疲れ様です。今回もお邪魔させて頂きます。

自分3人きょうだいでして、その中でおそらく一番糖質好きだったため肥満、各種慢性疾患一番酷かったです。
ですが、糖質減らし初めて6年経った今、他の二人は若い頃痩せていてもメタボりはじめており、年長の自分だけがどんどん痩せて若返り健康になっていくという逆転現象となりました。糖質に弱い家系である以上他2人もそろそろ糖質制限しなければ親と同様に糖尿病になると思います。

遺伝だからしかたない、という病気の殆どは糖質過多の所為だと素人ながら今では確信しております。
糖質が万病の元であることはあまりに糖尿病合併症の種類が多すぎることからも想像できます。

糖質の厄介なところは個人で出る症状が違うところではないかと。その所為で皆本質を突き止められずにいる。
そして生まれた時から炭水化物を当たり前のように食べさせられて不偏なく糖質中毒者にさせられている現状。
若く活動量が多いうちは糖質の害が出にくいというのもあるのでしょう。今までご飯食べてて健康だったじゃん、というお決まりの文言どおりです。
歳取ってから糖質の害一気にきます。

病で苦しんでいる方には一度でもいいから(正しい方法で)実践してみて欲しいものですが、糖質中毒だとやっぱり聞く耳もってくれないんですよね。何かと理由をつけて。境界性やインスリン打ちながらでもジュースがぶ飲みしてるともう手の施しようがないです。

後半愚痴になってしまい失礼致しました。
これからも勉強させて頂きます。

Re: こんにちは^^

坊主おじさん さん

 コメント頂き有難うございます。

 西洋医学ベースの現代医療は突き詰めればほとんどの病気で原因がわかっておらず、対症療法に終始しています。
 病気の原因というのは糖質摂取もそうですが、実は多くの場合、自分のライフスタイルそのものにあるという事を考えなければならないと私は思います。

Re: No title

ココア さん

 コメント頂き有難うございます。

> 農業については、健康とはきりはなして見るべきだとは思いますが、少々葛藤してしまいます。

 お気持ちはわかります。
 理想があっても、現実とどう折り合いをつけるかは常に難しい問題ですよね。

 しかし、こう考えてみてはいかがでしょうか。
 そもそも米が健康に悪いものというわけではないのです。
 米の持つ性質を知らずに何も考えなかったという事に軌道修正が必要なのであって、米に罪はないし、米を作ること自体で罪悪感を感じる必要はありません。
 
 あとは必要な情報を与えて米とどのように付き合っていくかをそれぞれが考えればいいと思うのです。
 大事な事は選択肢があるということ。糖質の害をわかった上で糖質を食べるというのは、タバコやアルコールなどと同様にアリだと思います。

Re: 病気が遺伝するのではなく、糖耐性が遺伝する

ぷろていん さん

 コメント頂き有難うございます。

 糖尿病という非常にメカニズムがわかりやすい病気でさえ糖質制限を受け入れられない人が多いのですから、いわんや他の病気をや、ですね。

 逆に糖質が万病の元であるという本質を知り、実際に糖質制限の効果を実感した人においては、もはや疑いようのない事実だと理解できると思います。そうした人達の輪をいかに広げていくかが今後重要になってくると思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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