サイアミディン

相手をコントロールしようと思わない

3分診療、5分診療などと揶揄される現代医療の中で、

それではダメで患者さんの話をもっとしっかりと聞くべきだという考えの医師もいます。

「時間をかけて患者さんの話を聞かなければ、患者さんの問題点は浮かび上がって来ない、だから患者さんの話をもっとしっかりと聞くべきだ」


良い心がけだとは思いますが、一方で時間をかければかけるほど一日の中で診る事ができる患者さんの数は少なくなります。

良い医療を展開しようとすればするほど、多くの患者さんを診る事ができなくなっていくというジレンマがあるのです。

はたしてどうすれば最善の医療を行うことができるのでしょうか。
患者数と診療時間のバランスをちょうど良い所に収めることが、最善の治療へとつながる道筋になるのでしょうか。


私がここ数年糖質制限医療を推進していて感じた事は、

いくら時間をかけようと、いくら掘り下げて患者さんの背景を探ろうと、

「わからない人には何をどう言ってもわかってもらえない」ということです。

「患者さんの深い所を知る」と言えば聞こえが良いですが、

その実は相手をコントロールしようとする発想に他なりません。

アドラー心理学では、他人の世界は変えられないけど、自分の世界は自分次第でいつでも何度でも変えられる事を教わります。

そもそも相手をコントロールする事が無理だという事さえわかれば、相手をコントロールしようとしなければいいのです。

すなわち、「自分は自分の気が済むまで糖質制限の事を伝え、あとは何をどう選択するかを相手に委ねるというスタンス」です。

そう考える事で今まではてしなく解決が困難と思えてきた問題に少し光が射したように私には感じられました。

今伝える事ができなくとも、巡り巡っていつか伝わるかもしれませんし、

最後まで伝わらなかったとしても、それはそれで運命だと思えばいいのです。

いずれにしても私がどうこうできる問題ではなく、すべては自然の流れに身を任せるしかないのだと思います。


これから先の見えない未知の世界への道を進もうという際には、

その世界を相手に歩ませるのではなく、相手が歩みたくなるように自分自身が精いっぱいの事をすればいいのです。

他人に決められた事だともし間違った時に恨みや後悔の念が生じえますが、

自分の考えで決めた事であれば、たとえどんな結果になろうとも正面から向き合えるはずです。

「相手をコントロールしようとしない」

糖質制限指導においてはかなり重要な観点なのではないかと私は考えます。


たがしゅう
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基本的には伝わらない

たがしゅうさん、おはようございます。

糖質セイゲニストの皆さんの話をお聞きしていても、周囲の人になかなか伝わらないというのをよく耳にします。
中には「伝え方の問題」、つまりコミュニケーションの技術で解決できるという人もいますが、私はそうは思いません。

そもそも、何かを伝えるためには「同じテーブル」につく必要があるのだと思います。そこで初めてコミュニケーションの技術が生かされるのではないでしょうか。

今の世の中で、「同じテーブル」につくことができる人はせいぜい2割位だと思います。そのうちの2割の人にしか通じないと考えれば、思いが伝わる確率は4%程度かもしれませんね。

相手が患者であれ、家族であれ、どんな問題であっても、基本的にコントロールできないと考えた方がよさそうですね。

影響は与えている

「You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.」

馬を水辺に連れて行くことは出来ても、そこで馬が水を飲むかは馬次第

ということですよね。

血を分けた家族でさえ、コントロールは不可能です。
家族は、世の中で最も相互に影響を与え合う関係者で、影響は与えてもその先判断して実行するのは本人次第。
そう考えれば、家族の関係も良好を維持できる気がします。
ひいては社会との関係も。

Re: 基本的には伝わらない

あきにゃん さん

 コメント頂き有難うございます。

> 何かを伝えるためには「同じテーブル」につく必要があるのだと思います。そこで初めてコミュニケーションの技術が生かされるのではないでしょうか。

 本当にその通りですね。

 同じテーブルにつけたら自分の想いを一生懸命語る。つけなかったらそれを受け入れてあれこれ悩まない。
 基本的にはそういうスタンスでこれからもやっていきたいですね。

Re: 影響は与えている

だいきち さん

 コメント頂き有難うございます。

> 「You can take a horse to the water, but you can’t make him drink.」
> 馬を水辺に連れて行くことは出来ても、そこで馬が水を飲むかは馬次第


 そうですね。他者をコントロールできない事を昔のことわざはすでに語っていますね。

 コントロールできないという事を知ると同時に、コントロールしようと思わないことを心がける事も同じくらい大事だと思います。そう言いながらついついコントロールしようとしてしまう自分もいますので、精進したいと思っています。

ツイッターでもこんなことが

たがしゅう先生、こんにちは。
矢野顕子さんのツイッターを見ていたら、糸井重里さんのこんなリツイートを見つけました。
まさに、今回のテーマに関係あることだと思ったので、ここにリンクしてみますね。
https://twitter.com/itoi_shigesato/status/799117416672264192
つまり、生活習慣というものが、その人のアイデンティティと不可分になっている場合、変えにくい、ということみたいです。
よさそうなことに興味を持ち、よいとわかったことは、どんどん取り入れる、という姿勢が、その人のアイデンティティになっていたら、いいんでしょうが。

Re: ツイッターでもこんなことが

みか さん

 コメント頂き有難うございます。

> 生活習慣というものが、その人のアイデンティティと不可分になっている場合、変えにくい


 なるほどですね。
 つまり「糖質を摂っていてこその自分」という考え方になっている人に糖質制限の考えは理解できない、という事でしょうかね。 
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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