サイアミディン

鼻うがいは自然か不自然か

私が糖質制限を開始して今日で5年となりました。

毎年この節目の日には私自身のはじめて物語を書き記そうと決めています。

今回は私の糖質制限仲間から教えてもらったBスポット療法について語ってみようと思います。

正確には「セルフBスポット療法」とも言える「鼻うがい」についての話です。

実は以前漢方の勉強会に参加した時に、書籍販売コーナーで次のような本と出会いました。



鼻うがい健康法 花粉症対策の決め手 単行本(ソフトカバー) – 2001
伊藤 嘉紀 (著)


この本の中に「Bスポット療法」という言葉とともに、それを自宅で実践できる方法が「鼻うがい」であると具体的なやり方の記載とともに記されていました。

Bスポット療法というのは1960年代に東京医科歯科大学耳鼻咽喉科の堀口申作先生が考案された治療法で、

細菌やウイルス、微小異物などの外来物にが最初に遭遇する免疫の場である鼻の奥の「鼻咽喉」と呼ばれる部位(Bスポット)に、1~2%塩化亜鉛水溶液を浸した綿棒を当てて、機械的に炎症を誘導する治療法です。

どうやら最前線の免疫中枢に当たる鼻咽喉の炎症が全身にもたらす影響は大きいらしく、Bスポットを刺激する事で一見喉とは関係のなさそうな病気が治るという治療経験が積み重ねられてきています。

例を挙げると、口内炎、舌痛症、アレルギー性結膜炎、多量の痰、慢性的な咳、頭痛、耳鳴、ニキビ、アトピー性皮膚炎、じんましん、乾癬、喘息、腎炎、関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどなど、非常に幅広いです。

身体のどこかにある限局した慢性炎症が、それが原因となって原病巣から直接関連がないと思われる遠隔の諸臓器に反応性の器質的あるいは機能的障害を起こす病態の事は、一般の医学教育の中でも「病巣感染」と呼ぶ事を教わります。

IgA腎症、掌蹠膿疱症や金属アレルギーが扁桃腺の病巣感染と関係している事はよく知られています。Bスポット療法はその概念の延長戦上にある事象を治療法のレベルまで昇華させた方法と言えるでしょう。

人為的に免疫の中枢を刺激することで、人間の治癒反応を惹起する方法」と一般化する事ができますので、

なにも刺激する方法は必ずしも塩化亜鉛でなくてもよいという発想で考案されたのが「鼻うがい」、というわけです。


しかし読者の皆さんも海やプールなどに入った際に誤って鼻から水を飲んでツーンとしてしまった経験はないでしょうか。

鼻から水を入れるという事はあの不快感を人為的に再現するのかと思うと実践するのに二の足を踏んでしまいそうになるかもしれませんが、この問題は解決できます。

上記の本にも記されていますが、鼻に水が入って刺激になるのは水温と浸透圧が体内のそれとかけ離れている事によるのです。

すなわちただの水で鼻うがいをするのではなく、平熱である37℃に近いぬるま湯でかつ生理食塩水の浸透圧にするために約1%の食塩水にすれば鼻に入った時の不快感がなくなるというのです。

その鼻うがいの用の水と万遍なく鼻咽喉を刺激するための鼻うがいの方法に関しては、上記の本にかなり詳しく書かれており、ここで紹介するには分量が多すぎるので興味がある人はその本を読んでもらうとして、

実際にその方法で私も鼻うがいをやってみました。

すると確かに鼻に水が思いっきり入っているにも関わらず、全然つーんとなりません。水が鼻の奥を流れて、喉を通過して、ただ口から出ていくというそれだけの感覚です。

「ゴロゴロゴロゴロ・・・ペッ」という通常のうがいのイメージとは程遠く、これで本当にうがいになっているのか不安になるほどの刺激のなさでした。

何が起こるのか期待しつつ、その後を普通に過ごしていると変化はその翌日に起こりました。

なんだか鼻風邪を引いたような感じになったのです。鼻を刺激したから当然と言えば当然の話なのですが、

その後は若干身体がだるくなりました。仕事を休んだりするレベルのだるさではありませんでしたが、本当にちょっと鼻風邪という感じです。

しかし私が期待しているような何らかの体調の改善効果は、残念ながらその後いくら経っても体感されませんでした。

この経験から私が思ったのは、「体調が悪い人が行えば、治癒反応を誘導するための有用な手段の一つとなるが、体調が悪くない人間が行えば、単純に炎症を惹起するだけ」ということです。


この「鼻うがい」法を自然か不自然かという観点からもう少し考察してみましょう。

鼻は身体のエネルギー産生に重要な役割を果たす酸素を取り込むための主要な通り道ですが、

酸素という収穫を得る際には外来物という異物を取り込むリスクもセットでついてきます。そのリスクを軽減するために鼻咽喉に免疫の要となる組織を備えておく事は自然の理に適っています。

またその免疫の要が刺激されることで、「今身体にヤバイ事が起こっているぞ」と全身へ身体の炎症や治癒反応が惹起されるというシステムが出来上がった事も自然だと思います。

ただ鼻に水が入るという現象は水生生物ならまだしも、陸上生物であるヒトにとっては比較的不自然な現象です。ましてや自ら鼻に水を入れるなどという行動を取るのはヒトが知恵を持たない限りは自然には起こりえない現象だと思います。

という事は鼻うがいにしても、Bスポット療法にしても、自然のメカニズムに人為を加えて編み出した方法という事ができるのではないでしょうか。

基本的に自然のメカニズムを利用する事に重きを置いている私にとって、

今回の鼻うがいの自己経験自体は残念な結果となりましたが、

その方法論とこの治療法がもたらす効果に関しては学ぶ価値が大いにあるものと感じた次第です。


たがしゅう
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No title

おはようございます。

私も鼻うがいには興味があったのですが、まさに、小学生の頃に、

>プールなどに入った際に誤って鼻から水を飲んでツーンとしてしまった

まではいいのですが、その夜急に耳が痛くなり出して、医者にいったら中耳炎と言われて注射器で水を吸い出されて痛かった思い出があり、なかなか実践できません。
健康的な効果はともかく気持ちよさそうなのですっきりしたいと言う興味本位だけなんですけどね。

ちなみに私は年が明けると糖質制限4年目に入ります。

Re: No title

たにぐち さん

 コメント頂き有難うございます。

> >プールなどに入った際に誤って鼻から水を飲んでツーンとしてしまった
> 医者にいったら中耳炎と言われて注射器で水を吸い出されて痛かった思い出があり、なかなか実践できません。


 そうなのですよね。そういう事が起こりうるので自然な方法ではないという事は認識しておいた方がいいように思います。

 「よく噛む」とかもそうですが、それが人為的な方法だと理解する事で自分の身体への理解がより深まると私は考えます。

すいのみでやってました

なるほど、鼻うがいには、Bスポット療法のお手軽版、という意味合いもあったのですね。

私は、鼻がつまると、すいのみに、ぬるま湯に塩を溶かした液体を作って、鼻うがいをよくやっていました。
顔を下横に向ける準備ができるまで、すいのみのフタの空気穴を指で押さえておいて、準備ができたら、指をのけて、塩湯を静かに流し込む、という方法です。
顔(あご)を前下・真横にきちんと深く傾けてやると、塩湯がへんなところに流れ込むこんでツンとすることもなく、そのままもう一方の鼻孔から出てくるんですよね。

鼻づまりがとれてサッパリする、という理由だけでやっていましたが、それなりに効力があったのですね。

Re: すいのみでやってました

みか さん

 コメント頂き有難うございます。

 自力でそこまでの方法を導かれるとは素晴らしいですね。自分の頭で考えられている証拠と思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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