病気の原因が自分に在る事を認める
同様の構造が見受けられるのは何もパーキンソン病に限った話ではありません。
私は糖質制限はいわゆるダイエット(痩身法)ではなく、人類に共通する健康を保持するための基本と捉えていますので、やせている人にも積極的に糖質制限を勧めています。
糖質摂取に伴う血糖値の乱高下を介した血流の乱れや腸内環境の悪化を避けならがら、筋肉や骨、皮膚など身体を構成する物質の主要材料であるタンパク質をしっかり確保してもらって体重を適切に増やしてもらう事がその主な目的です。
ところがこのやせ型の人達もまた、糖質制限への拒否度が高く、何かと理由を付けて実践しない人の割合が一般人よりも多い集団という印象を強く持っています。
先日も「昔から太らない体質だから」とか、「肉は苦手なんです」とかいろいろな理由で糖質制限の実践を断られるやせ型の高齢女性患者さんがいらっしゃいました。
そういう方はかなりの確率で野菜中心の食事で、果物は毎日欠かさず食べておられます。
「野菜には身体を作るタンパク質は圧倒的に少ないのです。もしも野菜中心の食事が本当に健康をもたらすのであれば、あなたは今こんなにも体調を崩しておられないはずではないでしょうか?」
しかし患者さんはそれを聞いてもいまいちピンと来ていない表情です。そのリアクションを見て私はふと思いました。
(そうか・・・この患者さんはよもや自分の食生活が原因でやせて体調を崩しているとは夢にも思っていないんだ・・・)
やせは体質、体調が悪いのは病気のせい、いずれも自分のせいではない、そういう境地にいるのではないかと思うのです。
だから私が野菜中心の食生活が健康をもたらしていない事を指摘しても、ピンと来ないのだと思います。
そしてその病気が別に難病でなくても、「高血圧症」「骨粗鬆症」「機能性ディスペプシア」「うつ病」「アトピー性皮膚炎」・・・などなど、
とにかく何かしらの病名がつくことによって患者さんはある意味安心します。「ようやく病気の正体がわかった。自分は悪くない。あとは先生にお任せしておけばいい・・・」、そんな風に思うのではないでしょうか。
でも私に言わせれば、いずれの病気も「食源病」です。
そういう人達はただ単に糖質制限をするのが嫌というのではなく、本質的には病気が自分のせいだと言われる事を恐れているのかもしれません。
だから彼ら彼女らに対してすべきことは、糖質制限をしてもらうよう仕向ける事よりも先に、
まず怪我や生まれつきを除いて、あらゆる病気の原因が自分に在るという事を認めてもらう所から始めるべきなのかもしれません。
難しい事かもしれませんが、それは裏を返せば、自分次第であらゆる病気に対処できるようになるとも言えると思います。
西洋医学が発展し、様々な病名が生み出されましたが、
病名ができたことで医学は発展を遂げましたでしょうか。その病名の研究会が立ち上がり、研究が進み新たな治療法が生まれた・・・でしょうか?
逆に病名を生み出し続けたことによって、ある意味本来の病気の原因から目を逸らせ続けた行為となってはいなかったでしょうか。
別の言い方をすれば、医学は前進したように見えて実は後退していなかったでしょうか。
真の病気の原因は「食事」と「ものの考え方」にこそ在りと私は考えます。
そこから始めれば、医学は再び前に進んでいけるのではないかと思います。
たがしゅう