サイアミディン

専門医は更新しないという考え方

私は神経内科専門医の資格を持っていますが、

この専門医という資格は取得するのも大変なら、維持するのも大変な所があります。

内科専門医、糖尿病専門医、認知症専門医、リハビリ専門医…などなど、世の中には様々な種類の専門医があります。

まず専門医を取得するには、その専門医を発行する学会に入会した上で規定の年限、規定の研修を受ける必要があります。

学会によってその規定は様々ですが、3年~5年程度の年限が必要になる事が多いです。

その条件を満たして初めて専門医試験の受験資格を取得する事ができます。

試験は筆記試験と面接試験の二段階で行われる事が多いですが、学会によっては筆記試験だけの場合もあります。

普段の診療を真面目にこなすだけでは試験に合格する事はできません。診療の合間をぬって試験のための勉強を積み重ねて試験本番に臨むわけです。
筆記試験と面接試験、二つの関門を乗り越えて無事試験に合格すれば晴れて「専門医」の称号を手に入れる事ができますが、

実際に取ってみて思うのは、これって単なる自己満足?という感じで、専門医を取ったからといって何がどう変わるというわけでもないのです。

専門医試験のために勉強した事が普段の診療に役立つのではないかと思われるかもしれませんが、実際はそうでもありません。

なぜならば試験で勉強する内容のほとんどは普段の診療ではめったに出くわすことのない重箱の隅をつつくような問題が多く、その事が専門医試験を難関化させていたりします。

かといって日常診療で絶対に知っておかなければいけない大事な事は、専門医試験を受けずとも普段の日常診療の中ですでに学び身体にしみついていたりします。

しかも専門医になったからと言って給料が変わるというわけでもありません。

そうなるとはたして何のために専門医になっているのだろうという気持ちになってきたりします。

さらに専門医試験で勉強した試験ならではのマニアックな疾患に運よく遭遇したとしても、

そんな稀な疾患にはたいていの場合、確立された治療法がなかったりします。結局診断したけれど、さてどうする?という状況に追い込まれるのです。

そんな自己満足みたいな事をやるくらいなら、たとえ相手がどんな病気であっても対応ができる糖質制限漢方薬といった汎用性の高い治療法を高めていく方がよほど役に立つような気がするのです。


逆に患者さんにとっては、受診する医師が専門医であるかどうかはどのように受け止められるでしょうか。

おそらくは専門医の方がありがたいと思う患者さんの方が多数派なんだろうなと想像できます。

しかし私は糖質制限を通じて、いかに専門医という存在が当てにならないものかという事を痛感しましたし、

患者さんの方も専門医だからといって盲信するような他力本願な患者さんは、そもそもストレスマネジメントの観点が不足しています。

仮に治療がうまくいったとしても、他者に依存したままの患者さんだと自己解決能力が低いので、新たな問題に対しても再び依存を続けていく事になります。

風邪とか一過性の疾患ならまだしも、難病を相手にする以上は自力のストレスマネジメントを学ぶことはこれは必須の工程です。

自らが専門医を名乗るという事は、そうした自分で考える力のある患者さんを遠ざけ、逆に難病とは到底立ち向かえない他力本願な患者さんを集めるだけの効果しかもたらさないのではないという気さえしてきます。

ここでもやっぱり専門医って要らないんじゃないかという話になってきます。


しかも専門医を更新するのにはまた学会への参加だったり発表だったり、毎年の決して安くない年会費だったりととにかく大変です。

また支払ったお金も何に使われているかは透明性があるようでないような所もあります。複数学会に所属していれば本当に馬鹿にならない額です。

しかも取得から年月が経過すればするほど、当時勉強した重箱の隅をつつくような知識はスルスルと抜けていきます。人間使わない知識を忘れていくのは自然の摂理です。

ということは専門医を保持するというのもますます無意味な作業に思えてきます。


さりとて専門医をまったく取らないというのも、正統的な道筋から逃げているような気がしますし、

試験という目標がなければ、人間は楽を求める生き物ですから、決してその分野の勉強を熱心にする事はないかもしれません。

だから私は専門医は1回取得すればそれで充分ではないかという風に考えるようになりました。

専門医を取得し更新時期が来ても更新しないのです。更新時期が来れば専門医の資格は消滅しますが、元専門医という事にはなると思います。

肩書を気にしなければ専門医などなくたって平気ですし、専門医でなくとも良い診療はできます。

そして節度ある患者さんなら、私が元専門医という肩書であっても、私が一定の基準を乗り越えた医師だという事をわかってくれるでしょうし、

「元専門医だなんてアウトローで信用ならない奴だ」などと思うような患者さんがもしいたとしても、おそらくその人と私は元々合わないだろうと思います。

そんな方は私がその患者さんが診なくても、全国に私よりも他に立派な専門医は多数いるわけですから、そういう人はそちらで診てもらえばいいわけです。

私は私の肩書が元専門医であったとしても、私の診療スタイルに共感してくれる患者さんに様々な選択肢を提案し続けたいです。

そのためには私がどういう医者なのかという事を示し続ける必要があります。

かっこいい言葉で言えば、「セルフブランディング」というやつです。

その意味で日々のブログ更新は私のセルフブランディングに一役買っていると思います。


たがしゅう
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No title

僕の主治医は消化器内科の専門医です。
が、僕が下痢をして診てもらっても、僕の食べた物や食生活について聞かれたことは一度もありません?
薬を処方するだけです。
採血をしても血液検査の結果は次回(3ヵ月後のこともある)まで知らされず、無意味な検査。
動物病院でさえ、その場で検査結果がわかりますよ。結果を見ずに治療するとは動物以下です。
先日、漢方を処方する医者に診てもらいましたが、舌診もなく、漢方薬の本を見ながらの処方でした。待合室には15年以上前の日付の漢方専門医の認定書がありましたが・・・。
薬のことは薬剤師のほうが6倍も勉強していますし、医療技術では看護師や検査技師のほうが上手です。
患者を診ないで大量の薬の処方箋をコバンザメ薬局に持って行くと、お姉さんがニコニコ。
糖質制限が一般的になると、医者の半分、歯科医のほとんどが職を失うでしょうね。
医者と薬屋と検査センターがタグを組んで患者を食い物にしているとは言いすぎでしょうか?

資格は資質ではない

世間には国家資格や免許がありますが、「資格保有している=資質も有する」わけではありません。
むしろ、資質の無い方が看板の為に躍起になって取得しようという姿勢も垣間見えます。
院内の待合室にひけらかすように証明書を掲げるクリニックは・・・私からしたら逆に怪しみます。

私もいくつかの資格を保有してますが、それを生かせる状況に身を置いていないため、結局アウトプットが無いので身についていません。
未取得でも実力のある方をたくさん見てきました。

そのスタイルで先生の現場を読み解く力をさらにいっそう磨いていただき、我々にアウトプットしてください。

京都検定

笑えてきて、「京都検定」が頭に浮かんできました。勉強して受験して、京都への関心が高くなるのはいいことです。けれど、例えば、京野菜を見たことも食べたことも料理することもない人が、京野菜の知識だけ増やしてもどうするんでしょ?と思うんです。
一緒にしてすみません。

Re: No title

アラジン さん

 コメント頂き有難うございます。

 世間は専門医になるとワンランク上の医師だという目で見ると思いますが、実際は視野の狭い専門分野の事しか考えられない医者だというのはよく見かけます。

 そこまで意識的ではないにしても、結果的に何も考えられない患者さんが被害者になっているという側面は確かにあるように思います。医師も患者も今、自分で考える力が強く求められています。

Re: 資格は資質ではない

だいきち さん

 コメント頂き有難うございます。

> 世間には国家資格や免許がありますが、「資格保有している=資質も有する」わけではありません。

 同意します。例えば、車の運転免許試験に受かった人が皆安全ドライバーとは限りませんからね。危ない人はどうしたって出てきます。資格は資質を保証するものではないという事は肝に銘じておく必要があると思います。

Re: 京都検定

エリス さん

 コメント頂き有難うございます。

 流石エリスさん、これまた独特の御感想ですね。
 そういえば私も英検準1級持ってますが、英会話は疎かですし、海外は数えるほどしか行ったことありません。この資格って要る?という気持ちが沸々と湧いてきますね。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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