サイアミディン

謝らない体質

私見ですが、医師はプライドが高い人が多いです

良く言えば、「自分の仕事に誇りを持っている」ですが、

悪く言えば、「自分の間違いをそう簡単に認めようとしない」です。

食事指導に際してその傾向が顕著なのですが、

例えば、ある患者さんの食事指導がうまくいかず、体重が増えて血糖値のコントロールが悪くなってしまった、とします。

そうすると世の中の医師のおそらく9割以上が患者さんの食生活の問題点を探して指摘しようとします。

自分の食事指導がそもそも間違っていたかもしれないと考える医師は、残念ながらほとんどいないのです。
ただこれは、「カロリー制限」絶対主義がはびこっていることも大きく関係しています。

「糖質制限」という選択肢を正しく知れば、自分の食事指導の在り方を見直すことができるという医師はもう少しはいると思います。

でも単に知るだけでは不十分で、糖質制限がまだ異端の食事療法だと思われている現状では、まだ自己回顧できる医師は極めて少数派でしょうから、私は地道に普及活動を続けていくしかありませんが、

この「素直に過ちを認められない」風潮には、医師のプライド以外にも、もっと根深い問題も存在しています。

それは「医療訴訟問題」です。

ひと昔前まではパターナリズム全盛期で、医師が何をやっても許されていたとんでもない時代があったそうですが、

私が医師になった頃には、すでにこの医療訴訟の話が盛んに注意喚起されていました。

医療界は訴訟問題に発展しないように、盛んにリスクマネジメント(危機管理)の問題に取り組むようになりました。

例えば

「カルテをきちんと記載しましょう」
「情報をスタッフ全体で共有しましょう」
「一人だけでなく複数のスタッフで二重確認をしましょう」

といった具合です。

医療の在り方が適正化され、良い流れが生まれたように思われると思います。

しかし、何事も過ぎたるは及ばざるがごとし、であり、

人間は弱い生き物ですから、

この流れが過剰な自己防衛を促す事にもつながってしまっているのです。

例えば、

「病状説明時は必ず最悪の事態についても話しておきましょう」
「専門外の事には手をださず、必ず対応する専門家へ紹介しましょう」
「万が一訴えられた時に備えて必ず保険に入っておきましょう」

という具合です。

そして無意識に自分で考える事をやめ、新しい分野に手を出す事を恐れ、多くの医師は旧態依然たる態度をとってしまうのではないかと思います。

この背景が医師の「謝らない体質」を生み出す隠れた温床になっているのではないかと、私は考えています。

つまり、謝るという事は自分のミスを認める事であり、それはひいては訴えられても仕方がなくなってしまう、という思考です。

だから、医師はよほどの事がない限り、自分のミスを認めないのです。

医師にも家族があり、生活がかかっているからです。

でもそうした事情を全て取っ払って、普通に考えれば「間違った事をしたら謝る」というのは、小学生でもわかるごく当たり前の事だと思いますが、

容易に謝れない社会構造になってしまっているのだと思います。

医療過誤を過剰報道をするマスコミもその流れを助長しています。

従って、適正化されているようで必ずしも適正化されているとは言えないというのが実情だと思います。

いろいろな意味で根深い問題です。


たがしゅう
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大変な仕事

私も、ミス、失敗でもないんですが、お客様のイメージと違った結果になる場合がたまにあります。

私の場合は、写真をなんカットも見せて納得してから仕事を始めます。30分以上かけ、メリットとデメリット説明します。

それでもトラブルは発生します。それでも、もう一度お詫びし、仕上げます。
それでも、ダメな時はダメです。

訴えられる事はそう無いので、謝ればほとんが解決します。

医師の場合、患者さんの命を預かる仕事がら、患者さんの要求もシビアになって当然、患者にすれば1つだけの命ですから、本当に大変な職業だと思います、

以前にも投稿しましたが、医師と患者の信頼関係が一番大切かなーと、患者もある程度自分の病状を勉強する事です、自分の身体ですから、

真面目で患者の事を思い頑張る医師がつらく、悩んでおられるように思えてなりません。がんばれ!



Re: 大変な仕事

奈良県吉野郡けんさん さん

 温かい応援のお言葉を頂き有難うございます。

> 医師の場合、患者さんの命を預かる仕事がら、患者さんの要求もシビアになって当然、患者にすれば1つだけの命ですから、本当に大変な職業だと思います、

 「大変さ以上に、やりがいもある仕事だ」というのが私が医師を志した時の初心でした。

 これからも初心を忘れずにいきたいと思っています。

> 真面目で患者の事を思い頑張る医師がつらく、悩んでおられるように思えてなりません。

 世の中では「真面目が一番」という価値観が多いですが、

 真面目な人間ほど生きるのが難しい世の中だと私は思います。

謝ること

アメリカでも、以前は訴訟に不利になるから謝らないようにと言っていたのが、今はミスした時はまず謝罪した方がもめない、というように変わってきたそうです。
食事指導とか服薬指導とかいうことは、直に命にかかわらないことなので(傷の治療もそうかもしれません)、そこは医者のプライドが出てくるのかもしれません。

子育てや親の介護をした人たち、自分が重い病気になった人たちは、その現場で、自分や配偶者の社会的地位なんて、なんの役にも立たないことを思いしらされているはずです。

昔は患者さんの前で本を開くな、といわれたものですが、今はPCでの調べものなど、目の前で平気でやります。ネット社会になり、確実に世の中はすごい勢いで変わっていくはずです。

医療者は患者さんや家族の言うことには、耳を貸すべきです。教科書に載っていないことを教えてくれます。
医者は本当は病気を知りません。自分が病気じゃないから、自分の家族が病気じゃないから。

患者さんの側も、医療者の限界にある程度寛容になるべきだし(医者はスーパーマンじゃあありません)、
医療者も自分の限界に気づくべきだと思います。

つまり謙虚になれない医者なんてくずだと思うのです。

Re: 謝ること

にこ さん

 示唆に富むコメントを頂き誠に有難うございます.

 おっしゃるように,医師はくだらないプライドを捨ててもっと謙虚になるべきですね.

 医師は本当の意味で病気を知らない,というのもおっしゃる通りだと思います.

 病気を知らないからこそ,病気を持った患者さんに教えられることが多いのだと思います.
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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