サイアミディン

ニュースの裏を読むスキル

糖質制限の視点で世の中を眺めると、

いろいろなものが今までと異なる様相を呈して見える事を多々経験します。

今回は毎度おなじみ医療情報サイト「ケアネットニュース」から、

以下のニュースが私の目にとまりました。

さて読者の皆様はこのニュースを読んで、どのように感じられますでしょうか。

離乳期早期からの加熱卵摂取は卵アレルギーを予防/Lancet
提供元:
ケアネット
公開日:2016/12/26

積極的なアトピー性皮膚炎治療と併用し、離乳期早期から加熱した卵を少量ずつ段階的に摂取することで、ハイリスク乳児の鶏卵アレルギーを安全に予防できることが明らかとなった。

国立成育医療研究センターの夏目統氏らが、アトピー性皮膚炎の乳児を対象に行った無作為化二重盲検プラセボ対照比較試験「卵アレルギーの発症予防研究(Prevention of Egg Allergy with Tiny Amount Intake:PETIT研究)」の結果を報告した。

近年、食物アレルギーの予防戦略として、摂取を遅らせるより早期摂取のほうが有効であるとのエビデンスが増えてきている。

このような固形食物の早期摂取によりアレルギー反応が引き起こされることもあったが、著者は、「今回の研究で、食物アレルギーによって引き起こされるアレルギー発症の第二の波を克服する実用的な方法が開発された」とまとめている。Lancet誌オンライン版、2016年12月8日号掲載の報告。

【生後6ヵ月から、加熱卵粉末 vs.プラセボ(カボチャ粉末)摂取で検討]

PETIT試験は国内の2施設で、アトピー性皮膚炎を有する生後4~5ヵ月の乳児を対象に実施された。

在胎37週未満の出生児、鶏卵・卵製品の摂取歴、鶏卵に対する即時型アレルギーの既往歴、特定の食物に対する非即時型アレルギーの既往歴、重篤な併存疾患のある乳児は除外した。

対象乳児を生後6ヵ月から、加熱全卵粉末を含むカボチャ粉末を摂取する「卵群」と、カボチャ粉末のみの「プラセボ群」に1対1の割合で、二重盲検法により割り付けた(4ブロックのブロックランダム化:施設および性別で層別化)。

卵群は、加熱全卵粉末50mg/日(ゆで卵0.2g相当)から開始し、生後9ヵ月以降は加熱全卵粉末250mg/日(ゆで卵1.1g相当)を摂取した。なお、全例、登録時および介入期間中、積極的にアトピー性皮膚炎の治療を行い、増悪することなくコントロールされた。

主要評価項目は、生後12ヵ月時点における経口負荷試験(加熱全卵粉末7g:ゆで卵32g相当)で確認した卵アレルギー発症率であった。

生後12ヵ月時点、卵群の卵アレルギー発症率は約80%減少

2012年9月18日~2015年2月13日に、乳児147例が割り付けられた(卵群73例、プラセボ群74例)。

本試験は、100例の中間解析において2群間に有意差が確認されたため、早期終了となった。

卵アレルギー発症率は、卵群9%(4/47例)に対し、プラセボ群38%(18/47例)で、リスク比は0.222(95%信頼区間[CI]:0.081~0.607、p=0.0012)であった。

主要評価項目解析対象集団(試験終了による中止例と介入を実施できなかった症例を除く)において、卵アレルギー発症率は、プラセボ群38%(23/61例)に対して卵群8%(5/60例)であった(リスク比:0.221、95%CI:0.090~0.543、p=0.0001)。

有害事象については、入院率について両群に差が認められた(卵群10%[6/60例]vs.プラセボ群0例、p=0.022)。

試験粉末摂取後に急性イベントが、卵群9例(15%)において19件、プラセボ群11例(18%)において14件発生したが、急性のアレルギー反応は認められなかった。



アトピー性皮膚炎を持つ患児はアトピー素因といってアレルギーを起こしやすい体質で、

そうした子達は卵に限らず他のアレルギーにもいろいろ罹りやすいのですが、

卵の場合はそれを加熱して、しかもそれを早期に食べさせる事で将来のアレルギーを予防できるのだという事を主張した研究報告です。

ニュースでは要旨だけなので、なぜそれが良いのかという考察は書かれていませんが、

その解釈は本当に正しいだろうかと私は思ってしまいます。このニュースの裏の部分に注目してみましょう。

即ち「何と比べて卵アレルギーの発症が少なかったのか」という事です。

加熱した卵の群と比較したのはカボチャの粉群です。少し糖質制限を学べばわかりますが、カボチャは高糖質の糖質制限NG食材です。

また加熱した卵群と比較した相手は言わば高糖質頻回摂取群です。比べる相手が悪過ぎたのではないでしょうか。

卵を加熱した事が卵アレルギーの発症を減らしたのではなく、比較対照のカボチャの粉群が卵アレルギーの発症を増やしたのではないか、というのが私の解釈です。

そもそも、卵アレルギーは卵が原因だとする考え自体が間違っています。

アレルギー反応が起こるときのアレルゲンはあくまできっかけに過ぎません。その裏で高糖質食の頻回過剰摂取などが原因で免疫が乱れている事が真の原因だと思います。

このことは糖質制限によって様々なアレルギー性疾患が改善していくという事実から逆算して考えれば容易に推測できると思います。

だからおそらくカボチャの粉群では卵に限らず、様々な食材にアレルギーをきたしやすい状況にあったのではないかと思うのです。これでは相手が悪過ぎます。

もし卵を加熱した事がアレルギーを減らしたのだと言いたいのなら、加熱卵と非加熱卵とで比べるのが筋だと思われるかもしれませんが、

こうした研究では2群間で使う食材の見た目をきっちり揃えなければなりません。さもなくばバイアスがかかると言われてしまうからです。

だから著者らは加熱卵と非加熱卵の比較をやりたくてもできない状況だったのかもしれません。医学論文というものはそうした制約の中で書かれているという事はよく知っておく必要があります。


また早期摂取が良かったとする著者らの主張にも私は賛同できません。

実際「固形物の早期摂取によりアレルギー反応が引き起こされることもあった」という報告も出ています。早期摂取がいいというのならなぜそれらのケースでは逆の結果が出たのかを説明できるでしょうか。

私の考えでは、「早期摂取が良かったとする報告では、比較する相手が悪過ぎた」です。

さらに加熱卵群では卵アレルギー発症率は低かったかもしれませんが、入院するような有害事象は多かったという点も注目です。

カボチャの粉群は様々な物質にアレルギー反応を起こしやすいけれど入院騒ぎにまでは至りません。

一方、加熱した卵群にもカボチャ粉末も混ざっていますが少しなので、アレルギー反応の起こしやすさは軽めかもしれませんが、

そこに加熱卵というアレルゲンが主として存在し続けて、いざ軽めながらも卵に反応してアレルギー反応が起こってしまえば強い有害事象につながりうるという事です。

この有害事象が具体的にどういうものであったかはもう少し詰める必要がありますが、少なくとも「加熱」という手段がそれほど画期的な方法ではないという事は言えると思います。


ニュースを見て額面通りに受け取らず、

その裏に隠れた部分を考える事は情報化社会を生き抜く上で、

とても大切なスキルになってくると私は思います。


たがしゅう
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Re: 関連事項

精神科医師A 先生

 情報を頂き有難うございます。

>ピーナッツを含む食品を幼児の食事に早期に取り入れることによってピーナッツアレルギーを予防できることを示唆する新しいデータを受けて同ガイドラインは発表された。

 おそらく早期摂取がアレルギー反応を予防するというエビデンスが多かったからガイドラインに組み込まれたのでしょう。

 しかし記事の中で述べたようにこの治療戦略は本質的ではありません。本来正すべきは血糖値乱高下などによる免疫のかく乱のはずです。しかも早期摂取で逆にアレルギー反応が引き起こされるというケースはどうするのでしょう。少数派だから無視なのでしょうか。

 これだからエビデンス中心主義は怖いのです。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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