サイアミディン

2016年を振り返る

2016年最後の日となりました。

今年は昨年からの流れに続いてペースダウンのまま記事を書き続けていましたが後半にようやく勘を取り戻し、

この記事も含めてこの1年で171の記事を公開させて頂きました。恒例ですので1年を振り返ってみたいと思います。


蛭子能収さんの「ひとりぼっちを笑うな」という本の紹介から始めた1年でした。

「友だちは作ろうと思って作る必要はない。気が付けば自然とできているものだ」という思想は、タモリさんビートたけしさんも同様の事をおっしゃっています。

こうしたメッセージは孤軍奮闘で糖質制限を推奨し続ける私のような人間にとっては大変心に響きました。

またその思想は「嫌われる勇気」、自分の考え方次第で世界は如何様にも良くすることができるという「アドラー心理学」へも通じ、御三方はさながらアドラー心理学の実践者であるようにも思えました。
その次は汎動物学(Zoobiquity)を紹介しました。

ヒトも動物の一種ですから、糖質制限について考える上で動物界で現実に起こっている事について学ぶ事は非常に重要です。

実は獣医学の方がヒトの医学よりも数十年も進んでいるという見解もこの時初めて知りました。余計な解釈を挟まず動物のありのままを観察しているからかもしれません。

動物とヒトとは違うと考えてしまえば軽くあしらわれてしまいますが、生命38億年の歴史が脈々と受け継がれた結果の現代のヒトだと思えば、動物との共通原理は確かに存在しているはずです。

何が共通して何が異なるのかという事をわきまえて動物世界での情報を学びとれば、これからも動物から学べる事はきっとたくさんあるだろうと思います。

獣医学会にも是非行ってみたかったですが、残念ながら平日に遠方での開催であったため時間を取って行くのがどうしても無理でした。週末に開催されないのは医学関係の学会に占拠されているからでしょうか、この辺りも社会が獣医学を下に見ている印象を強く受ける所です。

動物に続いて、植物学にも興味を持つようになった一年でした。

動物と植物はさすがに違う生き物だろうと思われるかもしれませんが、これがなんと歴史をぐ~んとさかのぼれば動物と植物の共通祖先にあたる生命体へと突き当たります。

そしてそもそも糖質とは何なのかという事を考える上で、配糖体やでんぷんなど植物が様々な形で作りだす糖というものの本質を学ぶ事は大変勉強になりました。

マウスが高脂肪食で糖尿病になる理由もこれで少し理解に近づけたのも植物学のおかげであり、今年の私の中での進歩の一つでした。


一方、生と死についても考えさせられる出来事もありました。

今年2月にノンフィクション作家の桐山秀樹さんが急逝されたというニュースが飛び込んできたことは大きな衝撃でした。

この出来事を受けて糖質制限は大きく叩かれました。糖質制限を広めたいと願っていた桐山さんはさぞ無念だったであろうとお察しします。

しかし、想いは伝わる人にきちんと伝わっていますし、桐山さんの意志を継ぐ者がいる限り、その人の心の中で桐山さんの意志は生き続ける事になります。

そういう意味では糖質制限を広めたいと願う私の中にも桐山さんの意志が生きているという事です。

糖質制限をより良い治療へと高めていくためには、この出来事から何かしらの教訓を見出し、そして改善させていくプロセスが不可欠です。

そうすることで桐山さんの気持ちもきっと浮かばれると思いますので、私は私のできる事を続けていきたいと思います。


教訓という意味では、今年は糖質制限の限界を強く意識した年でもありました。

かねてより糖質制限でなかなかすっきりと良くならない病態の存在は認識はしていました。しかしそれが糖質制限の実践具合の差のせいなのか、体質的な事なのか、あるいは腸内細菌などのブラックボックスのせいなのかについてはよくわかっていませんでした。

しかし逆に糖質制限関係なしで長生きしたり癌や神経難病を克服したりする人達の事を深く知っていくにつれ、

糖質制限の難治病態には自律神経を酷使させるストレスへの対処、つまり心の在り方が大きく関わっているのではないかという考えに行き着きました。

昨年までは、糖質制限でダメならケトン食、ケトン食でもダメなら絶食、という風に単純に糖質を減らしていく事しか頭にありませんでしたが、それだけではダメなのだという事を悟りました。

また有害なものを除く「Do No Harm」の概念を基本におくことは今も変わりませんが、

急性の病態でゆっくり治すというような悠長な事も言っていられない状況では必要に応じて治療をプラスする、という発想には少し変化が生まれました。

それは治療を追加するにも、できるだけ自然の形が崩れていない治療を利用するという事です。

具体的には西洋薬よりも漢方薬、手術よりも食事療法やリハビリ、サプリメントよりも食材といった流れです。

自然の構造を極端に崩さずにうまく利用するという「自然に人為を加える」という発想が大事であるように思いました。



以上を受けまして、現在の私の考えを次のようにまとめました。

・健康を守るための二本の基本的な柱は「糖質制限」と「ストレスマネジメント」

・糖質制限の推奨にあたっては緩やかな糖質制限から断食レベルまで幅を持たせ、個々人の背景や価値観に合わせて指導内容をオーダーメイドにしていく。

・糖質制限をきちんと行っていても病態が改善しない場合、心の在り方に問題がある事が多い。原因を探り、ストレスマネジメント法を考える事が大事だが、その際教えるのではなく、気づいてもらうというスタンスで取り組む。

・基本的には有害なものを取り除く「マイナスの医学」のスタンスを重視。しかしそれで努力しても病態が改善しない場合は必要最小限の「プラスの医学」を利用する。ただし極力自然の形が崩れていない方法を優先する(例:漢方薬、リハビリ、ヨガ、瞑想など)。


私達は科学の進歩により良い方、良い方へ進化してきたと思いこんできたかもしれませんが、

結局のところ自然の偉大さには適わなかったという事だと思います。動物や植物の原点に立ち戻って考えている事自体もその考えを支持します。

だからと言って原始時代に戻れというつもりは毛頭ありません。

現在の社会構造の中で、どうやって自然を利用するかという発想で考え続ける必要があると私は思っています。

個人的には医療大麻にも興味があります。一方であらゆる植物がある中で大麻だけ難病に優れた効果があり副作用がないとする見解には少し「違和感」を覚えます。

何が正しくて、何が解釈を誤っているのかという事を自分の目で確かめていく過程も引き続き重要です。

今年の最後の方では、女性ホルモンの進化から生命の本質について考えました。

ビタミンははたして本当に必須か否かという点に関しても一つの見解を示しました。

事実をありのままに見つめ、解釈を作っては崩し、また作っては崩しという作業を繰り返すことでまた新たな世界が拓けてくる可能性を感じています。

来年はまたどんな世界が拓けてくるのか、今の時点では私にもわかりませんが楽しみです。

2017年の干支は酉(とり)だそうです。

月並みですが、新しい世界へと羽ばたいていきたいと思います。


たがしゅう
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非公開コメント

No title

たがしゅう先生

今年も1年素敵なブログを読ませていただきました。有難う御座いました。糖質制限だけで解決できない問題、というテーマの記事が強く印象に残っています。「心」の問題は糖質制限を継続する事よりも難しいと感じています。

どうぞ良いお年をお迎え下さい

くんだみえ

今年もお世話になりました

たがしゅうさん、おはようございます。

今年も沢山の貴重な情報をいただき、ありがとうございました。
たがしゅうブログは、今や私にとっては、なくてはならない学びと気づきの場となっております。

気がつけば、糖質制限は当たり前の雰囲気は徐々に広まっているような気もします。
これもひとえに損得抜きで糖質制限の普及に取り組まれている、たがしゅうさん始め糖質セイゲニストの皆さんの崇高な精神と地道な活動の賜物だと思います。
来年はこのパラダイムシフトが一段と加速し、有益な情報がそれを必要としている人に届くような年になればと願っています。

今年も大変お世話になりました。
どうぞ良いお年をお迎えください。

Re: No title

栗田三江(くんだみえ)さん

 コメント頂き有難うございます。
 
> 糖質制限だけで解決できない問題、というテーマの記事が強く印象に残っています。
 
 学びが多いのはむしろうまく行かなかったケースからの方であったというのは私も痛感する所です。
 症状を改善させられなかった患者さんに対しては残念に思いますが、そのおかげでなぜうまく行かないのかという理由の輪郭がぼんやりと見え始めてきたようにも思うのです。

 これからも私の気づきをこの場で共有していきたいと思います。 
 今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

Re: 今年もお世話になりました

あきにゃん さん

 コメント頂き有難うございます。
 また過分な御評価を頂き恐縮でございます。

 パラダイムシフトというものは、ある瞬間にドガっと起こるというよりは、「気が付けばもう起こっていた」という類のものなのかもしれませんね。「友達」の話と通じる部分があります。

 2016年1月2日(土)の本ブログ記事
 「自分が本当にすべきこと」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-655.html
 も御参照下さい。

 こちらこそ大変お世話になりました。
 来年もまた宜しくお願い申し上げます。

一年間お疲れ様でした。
糖質以外の事も凄く良い記事があり勉強になりました。
来年もよろしくお願いします。
感謝。

Re: タイトルなし

奈良吉野けんさん さん

コメント頂き有難うございます。

糖質制限を足掛かりに始めたこのブログですが、思考を続けるにつれ様々な分野に考えが及ぶようになりました。
今後も私に見えた世界を表現し続けたいと思います。

今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

本年はお世話になりました

たがしゅう先生
本年の夏あたりから拝見してきました。
専門レベルの文献を一般的に噛み砕く知識の高さ、また驕らない姿勢に敬服します。
先生のブログに出会い、巷の健康情報であやふやに解釈していたことが明確になり、もう感謝しかありません。
医者というものに対して疑念を抱いていたこれまでの私からすれば、たがしゅう先生は夢のような医師です。お世辞ではありませんよ。
来年もお体に気を付け頑張ってください。
ちなみに、医療大麻は私も気になっていまして、「大麻」という響きが悪影響を与えすぎて、誰も本来の効能を知ろうとしていないと思います。同様に私もです。
是非、先生の知見を活かして読み解いていただけると
ありがたいです。

良いお年をお過ごしください。

Re: 本年はお世話になりました

だいきち さん

 コメント頂き有難うございます。
 また過分な御評価を頂き恐縮でございます。

 医療大麻に限りませんが、ある事象についての知見、それぞれの立場で様々な見解が混ざっています。
 それぞれの事情を理解しつつ、公平な立場ではたしてどこまでが正しい情報でどこまでが都合の上での情報なのかを丁寧に理解していく事で、本来の姿に近づいていくのではないかと考えています。

 引き続き「自分の頭で考える」姿勢を示し続けていきたいと思います。
 今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。

No title

たがしゅう先生
今年も大晦日の記事楽しく読ませていただきました。
発病当初から先生のブログのフアンでしたが、中でも心の在り方ついての記事は
大変参考になります。
ありがとうございます。

Re: No title

ユッキ さん

コメント頂き有難うございます。

少しでもお役に立てて嬉しいです。
私も最初は心の在り方について書く予定なんてこれっぽっちもなかったのに、そこへ自然に行き着いた事に不思議な運命のようなものを感じています。

とても勉強になりました

まだすべての記事を拝見させて頂いていないのですが、ジャンルに拘らないあらゆる側面からの考察大変為になりました。

私自身年頭から本格的な糖質制限を開始し、生まれて初めて心身共に健康であると感じるようになり色々と物の見方も変わることができました。

私事で申し訳ないのですが、年末父が高血圧、糖尿病の合併症で亡くなりました。
奇しくも糖質制限を勧めた数ヶ月後のことでした。

既に一度倒れていたため覚悟はしていましたし、そういう時代だったのだと割り切らないといけないのは分かってはいますが、あと20年ぐらい早く糖質制限が流行り、自分が管理できていたらもう少し健康で長生きできたのではないかと四六時中後悔しております。

今後は一生をかけて自らの肉体を糖質制限の実験体として献げつつ、糖質の害で苦しむ人を1人でも救うため模索し、行動していく所存です。

私事が多くなり申し訳ありません。
来年も楽しみにしております。

どうぞ良いお年をお迎え下さい。

Re: とても勉強になりました

ぷろていん さん

 コメント頂き有難うございます。

 「もう少し糖質制限を早く知る事ができていれば・・・」とは私もかつてそう思いましたが、
 今は「この時期に知ることができたからこそできる事がある」と、自分の人生で与えられたこの条件を受け入れて活かすような心持でおります。

 今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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