サイアミディン

思春期の危険行動が男に多い理由

以前読んだ本をもう一度読み直すと新たな発見をすることが時にあります。

知識が未熟な時に出会ってもその情報の重要性に気付かないけれど、

ある程度知識や経験を蓄積してから見れば、その情報の別の側面に気づきやすくなるからだと思います。

先日、久しぶりに汎動物学の本を読み直していた時にひとつ面白い事に気が付きました。

それは子育てでしばしば親の手を煩わせる「思春期」という時期は、すべての動物にも共通して見られる現象だ、というお話を読んでいた時のことです。



人間と動物の病気を一緒にみる : 医療を変える汎動物学の発想 単行本 – 2014/1/16
バーバラ・N・ホロウィッツ (著), キャスリン・バウアーズ (著), 土屋晶子 (翻訳)

(以下、p337-341より抜粋して引用)

(前略)

性的に未成熟で、か弱い子ども時代から、

繁殖可能なおとなに成長するまでの中間期を通り過ぎるあいだに学ぶことは、それぞれの動物によって異なる。

ヒトの場合、言語スキルを磨いたり、批判的思考法を学んでいく。

しかし、コンドル、オマキザル(カプチン・モンキー)からカレッジの一年生まで、あらゆる動物の青年期の特性と言えるものがひとつあるのだ。

思春期とは、危険を冒し、ときには誤りを繰り返しながら学んでいく時代なのである。

人生の驚くべきかつ悲しい事実は、十代-特に男の子-でいるだけで、大変危険で、命を失う場合もよくあることだ。

合衆国では、いったん乳児から幼児の初期を生き延びたあとは、ほとんどの子どもが比較的安全な時期を過ごせる。

しかし、その期間は短い。13歳になると、死亡率が突如高くなる。そのほとんどは外傷によるものだ。

米国疾病予防管理センターは、「12~19歳までのティーンエイジャーの死亡率は、年齢が上がるほどに高くなる。この傾向は男子の方が強い。」と報告する。

ところが、十代のあいだはあれだけよく見られた外傷による死亡が、25歳ごろになると、尻すぼみになる。

成人では、がん、心臓疾患、そのほかの長期の病気が、主要な健康リスクとして浮上する。

(中略)

若い動物は自分が大変危険な目に遭っても、新しい物を探索するのに喜びのようなものを感じているように見える

おとなのキンカチョウは、ヒトの気配を感じてとっくの昔に逃げているというのに、若いキンカチョウは、ヒトに近づき、差し出した指の上に止まりさえする。

思春期のラッコは、前述の死の三角地帯のような新しい領域に、あえて冒険に出かけるようになる。

動物行動学者や(ヒトの)神経学者は、ヒトや動物の恐怖の閾値が突如上がるのは、特定の脳変化によるということで意見が一致している。

別な言葉で言い換えよう。そう、その時期、危険を冒すのは正常な現象なのだ。

そして、それは正常なだけではない。ある特別な目的に役立つのだ。

たとえば、動物は自分で生き抜いていくのに、捕食者の見分け方を会得する必要がある。

危険を察知する能力はある程度生まれつきのものだが、青年期のあいだに学ばなければならない部分もある。

兵法の古典である孫子の「敵を知る」という極めて重要な教えを、動物が実践する場合は、敵はどんなにおいがして、どのように隠れ、走り、攻撃を仕かけてくるかを学ぶことが入ってくる。

そうした情報を手に入れるには、近くに寄って敵の行動を観察するのが大切な方法のひとつになる

(後略)

(引用、ここまで)



まとめると、「思春期とは、あえて危険を冒すことで生存に有利な情報を収集するための必要性のある時期である」という事になるかもしれませんが、

私の注目点は、これが男性、オスの方に多いというところです。

以前、エストロゲンは女性ホルモンというよりも生命維持ホルモンではないかという見解を述べました。

女性が生命の本質で、女性を守るために生み出されたのが男性という存在であるならば、

危険を顧みず未開拓領域を探索しようとする性質がオスに多いという動物界において見られる現象は、

非常に理に適っていることであるように私には思えます。

そう言われてみれば、いわゆる不良と呼ばれるグループに入る人達は男が圧倒的多数でした。

学校という安全安心のレールから離れて、未知の領域を開拓してやろうという気持ちを持った集団が「不良」という存在だったのかもしれません。

そんな男の無鉄砲さは、平たく言えば女性にモテたいがためにあるようにも思いますが、

その気持ちの根源が、女性という生命の本質的存在を守るため、自らを犠牲になっても種を保存させるためなら構わないという気持ちに由来するのだとすれば、

なんだか「愛すべき哀れな男たちよ」という気持ちが生まれてきたりします。

しかし、そうした危険な旅から男が持ち帰った貴重な情報を活かせば、

将来訪れるかもしれない未知の危険を事前に予測し、対策を打つ事ができるようになるかもしれません。

様々な立場の情報を集合させ、「集合知」にしていく事の重要性を感じます。


たがしゅう
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Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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