サイアミディン

糖質制限は人の命を救う事ができる

江部先生の講演は過去に何度も聴講していますが、

すごいのは聴くたびに内容が更新され、また新しい気づきを与えてもらえるという事です。

今一番の注目点はSGLT2阻害剤が「薬物による糖質制限」として位置付けられているということ、

そして2015年11月にそのSGLT2阻害剤を用いた大規模臨床試験「EMPA-REG outcome trial」において、

SGLT2阻害剤がそれまでに糖尿病約にはなかった心血管イベント及び全死亡の発症率を低下させるという画期的な臨床効果が証明され、

そしてそのメカニズムとして今まで一般的には危険視されていたケトン体の上昇が、実は有益な効果をもたらしていたのではないかという事が、

SGLT2阻害剤を通じてようやく世界的にも認められ始めたという点ではないかと思います。
私はSGLT2阻害剤は不自然な糖質制限だと考えているので、使用に慎重な姿勢は崩していませんが、

それでもケトン体の有用性が認められたり、糖質を制限する事で得られるインパクトある効果を説明しやすくなったりしたのは歓迎すべき風潮だと思います。


今回はそれ以外にもう一つ、江部先生の御講演を聞いて「なるほど」と思った事をシェアしたいと思います。

それは糖質制限をすると食後の眠気がなくなるというスライドを説明された時の江部先生の補足説明です。

「タクシーの運転手さんや長距離トラックの運転手さんは、せめて勤務中だけでも糖質制限をされる事をおすすめします。それだけで運転中の眠気が劇的に少なくなります。皆さんも長距離運転をする場合は是非そうして下さい。これは明日からの役に立つと思います。」

例えば普通に「糖質制限をすると食後の眠気がよくなりますよ」と相手に伝えたとしても、

「食事の後に眠るのはそれはそれで気持ちがいいんだ」という価値観の人にとってはメリットとして感じられず心に響きませんが、

食後の眠気が人の命に関わるという長距離運転の場面を引き合いに出せば、そのメリットが大きく感じられるのではないかと思います。

この場合、糖質制限が命を守る、家族を守る、ひいてはまだ見ぬ誰かの命を守る価値ある手段になりえるという事です。

死亡事故の原因となる法令違反は居眠り運転が最も多い、という統計データもあるようですので、これは大げさな話でもないと思います。

流石江部先生、同じ内容を伝えるでも、その伝え方を心得ていらっしゃいます。

この話を聞いて、本当に糖質制限をして食後の眠気がなくなるのかどうか、試してみたくなった聴講者の方もおられたのではないかと思います。


ところで私も糖質制限によって命を救われたクチです。

それは居眠り運転しなくて済んだという事ではなくて、うつ病がよくなったという点においてです。

うつ病は死ぬ病気だという事は医療者は知識としては知っています。しかしそれを実感を持って理解できているのは経験者しかいないと私は思います。

私も糖質制限を始める前、重度のうつ状態でした。仕事での人間関係に悩み、世界の全てが閉ざされて未来も希望も当時の私には見えなくなっていました。

抗うつ薬を飲んでもビクともしなかったそんなうつ的な思考を、糖質制限は確かに改善させてくれたのです。

私以外にも、糖質制限でうつ病を克服された方の漫画が公開されています。これを読めばうつ病で死にたくなる気持ちがよりわかってもらえるのではないかと思います。

こんな事は他の方法では決してなし得ない糖質制限ならではの大きなメリットです。

勿論、個人差はあります。ストレスマネジメントがうまくできない人は糖質制限で心が軽くなっても思考の悪循環から抜け出せなければ真の改善は得られません。

しかし、少なくとも私や上記の漫画の作者の方のように、糖質制限によって死にたい気持ちを消し去る事ができた人間も確かに存在します。

糖質制限とは人の命を救えるポテンシャルを秘めた方法だという事を、

私達は改めて認識する必要があると思います。


たがしゅう
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糖質制限は人の命を救う事ができる

たがしゅう先生、初めて書き込みさせて頂きます。

高速のSAのメニューから低糖質の食事を選ぶ困難さ。

今回のブログを読んで安全の為にも啓蒙が必要だと思いましたが、これはハードルが高い。

うつに関しては、私も糖質制限で改善しましたが、完全には。

最近調子が良くなってきましたが、メガサプリの追加も効いた気がします。

保護作用は大いなる繁栄と強さをもたらす

マンガですが・・・
ページに色がついたところは感動しました。
そういえば私も糖質制限を始めてから嫌なことが少なくなったような気がします。

ところで・・・
最近、会社の同僚がちょくちょくミネラルウォーターを飲むようになったので、聞いてみるとSGLT2阻害剤を飲んでいるとのことでした。

朝1錠飲んでるだけで HbA1c もかなり改善しているようです。
ただ「尿から糖を出しているので甘いものがほしくなり食べてしまう」と言っていましたよ。
「薬を増やせばもっとお菓子を食べられますよ」と言っておきました。

もちろん何年も前に糖質制限を奨めましたが馬の耳に念仏でした。

Re: 糖質制限は人の命を救う事ができる

斎藤 正志 さん

 コメント頂き有難うございます。

> 高速のSAのメニューから低糖質の食事を選ぶ困難さ。

 確かにそうかもしれません。
 しかし命にかかわる事なので、サービスエリアの食環境が整うのを待っている余裕はありません。

 現時点では別の店で食事をするなどの方法で、自分で自分の身を守るより他にないように私は思います。

> 最近調子が良くなってきましたが、メガサプリの追加も効いた気がします。

 サプリも漢方も効果があるには違いありませんが、
 そこはあくまでデフォルト(初期状態)ではないという事は踏まえておく必要があると思います。
 最終的にはサプリも漢方も不要の状態を目指すのが本来進むべき方向性だと私は考えています。

Re: 保護作用は大いなる繁栄と強さをもたらす

ふぁっつおー さん

 コメント頂き有難うございます。

 御指摘のように、SGLT2阻害剤による疑似糖質制限では糖質の中毒性は取り去る事はできませんね。

 疑似はあくまで疑似、糖質制限とは似て非なるものであるという事は重々承知しておくべきと私は思います。

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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