サイアミディン

果物の甘い罠

患者さんの食生活に注目していろいろうかがっていると、

果物を習慣的に食べる人が思いのほか多いということに気がつかされます。

どうやら果物は身体に良いというイメージを持っている人が多いようで、

「私は甘くないお菓子を食べるようにして、果物をとるようにしています。」とか、

「甘みは普段果物でとるようにしている」とか言うセリフをよく聞きます。

私にはまるで、果物の甘さは身体にいいものだ、と言わんばかりに聞こえます。

しかし果物全般、アボカド以外は、糖質量が豊富な食材です。

本日はそんな「果物」について考えてみることにします。
果物に含まれている糖質は「果糖、ショ糖、ブドウ糖」で「ショ糖=果糖+ブドウ糖」なので、『果物は基本的に果糖とブドウ糖で構成されている』と言えると思います。

さらに果糖はブドウ糖と比べていくつかの特殊性があります。まず

①血糖値をほとんど上昇させない

これは果糖がブドウ糖と異なる経路で代謝される結果のようです。こう考えると果物は多少食べても安心か、と思うかもしれませんが、上述のように果物には「果物」という名前であっても果糖だけを含んでいるわけではなく、実はブドウ糖も含んでいるので要注意なのです。

次に、

②中性脂肪が合成されやすく太りやすい

これは言い換えれば、「果物を食べれば手っ取り早く脂肪を身体に蓄積させることができる」ということなので、常に飢餓に直面していた太古の人類にとっては果物は非常に有用な食べ物でありました。しかし飽食時代の現代人にとってはちょっとやっかいな性質です。

さらに

③AGE(終末糖化産物)を作りやすい

これが一番やっかいだと思うのですが、果糖はタンパク質を糖化させやすい性質があるのです。タンパクが糖化されますといわゆる異常タンパクになります。身体のさまざまな細胞機能の邪魔になるものです。

この糖化したタンパクの成れの果てが「AGE」というわけです。老化や動脈硬化の要因として最近注目されていますね。

また神経の領域で言えば、この異常タンパクが過剰に蓄積した状態のことをproteinopathy(タンパク病)と言い、脳内に老人斑やレヴィー小体、Bunina小体などの異常タンパク産物が蓄積し、アルツハイマー病やパーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症などの様々な神経変性疾患の原因となっていると言われています。

しかも糖尿病の不可逆的な変化にもこのAGEが関与しているといわれています。


まとめると果物は「血糖値が上がりにくいけど、太らせやすく、中毒性もしっかり持っていて、なおかつ続けると身体に不可逆的な変化を蓄積させていく食べ物」と言えそうです.


そんな果物、毎日食べている人が多く、しかもそれが健康に良いというイメージを持ってそうしているというのです。

巷でも「おいしいフルーツたんと召し上がれ」いったノリで、結構フルーツに関してはポップなイメージがつきまとっていると思います.

季節の果物を少し添える程度であれば問題ないと思いますが,

実は果物は正しく付き合わないと恐ろしいものだと私は考えています。


たがしゅう
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野菜は食べない方がいい??

Re: 野菜は食べない方がいい??

わんわん さん

 御質問頂き有難うございます.

 「野菜は食べない方がいいか?」という御質問ですが,

 以下に現時点での私の理解を書き連ねます.

 ・ビタミン類の多くはヒトは体内で生合成できない.
 ・特にビタミンCは新鮮な野菜や果物に多く含まれ,肉や酪農産物にはほとんど含まれていない.
 ・ビタミンCの推奨食事摂取量は40mg/日(英国保健省, 1991)~60mg/日(米国国家研究評議会, ※喫煙者は100mg/日, 1989)で,これは少し野菜を食べればすぐに到達できるレベルである.
 ・肉の中でもハム,ベーコン,レバーあたりには20~50mg(100gあたり)のビタミンCが含まれている.
 
 ・一方で食物繊維は全粒穀物や豆,野菜に多く含まれる.
 ・食物繊維を分解する酵素をヒトは持っていない.だからゼロカロリーである.
 ・ヒトが吸収できない物質なので,逆手にとれば血糖値の吸収を遅らせる作用が期待できる.
 ・ヒトが吸収できない物質なので,そんなに一生懸命摂る必要性に乏しい.
 ・便の体積を増大する効果を示す食品成分は食物繊維だけである.
 ・炭水化物(糖質+食物繊維)の摂取量と便臭に関係がありそう.

 果物の有害性に比べると,野菜の有害性は比較的小さいと私は思っています.

 でも便通に問題がある方はこのあたりもケアしていく必要があると感じています.

 以上をまとめると,現時点で私は「野菜はそんなに一生懸命食べなくてもいい」という見解です.

ブドウ糖と果糖

No Difference Between High-Fructose and High-Glucose Diets on Liver Triacylglycerol or Biochemistry in Healthy Overweight Men
http://www.gastrojournal.org/article/S0016-5085(13)01040-8/fulltext

 元論文を読んでわかったことは、ブトウ糖群と果糖群とに分けて二重盲検をおこなった。通常カロリー期と高カロリー期とでは、肝機能は高カロリー期の方が両群とも悪かった。ブトウ糖と果糖との間では差はなかった。
 結論としては、ブドウ糖も果糖も摂取量(カロリー換算)が多いと、同じように脂肪肝を悪化させる。従来はブドウ糖より果糖の方がよいと考えられていたが、それは誤りである。
 気をつけなければならないのは、「ブドウ糖も果糖もどちらも摂取制限が必要」なことであって、「果糖はブドウ糖より安心」ではないことだ。

Re: ブドウ糖と果糖

精神科医師A 先生

 いつも貴重な情報を頂き有難うございます.

>  気をつけなければならないのは、「ブドウ糖も果糖もどちらも摂取制限が必要」なことであって、「果糖はブドウ糖より安心」ではないことだ

 血糖値の上昇だけに気をとられていると,果糖はOKということになってしまいますが,決してそうではないということですね.

 いずれにしても「糖質制限」が必要と考えます.

ありがとうございます

今年は、江部先生や夏井先生の本のほかにも

「人はなぜ太るのか そして、どうすればいいか」ゲーリー・トーベス
   (太田喜義 訳・メディカルトリビューン)

「小麦を食べるな」ウイリアム・デイビス(白澤卓二 訳・日本文芸社)

 など、良書が発売され、糖質の危険性について国際的に認識が広まりつつあることを感じました。
 パラダイムが起きるのはそう遠くない未来だと思います。
 たがしゅうさんのこのブログが、大いに役立つことと期待しています。ともに頑張りましょう!!

AGE関連

AEG 関連の記事として、こちらがとても参考になりました(私の場合)。

   「アークレイからだサポート研究所」

http://ebn.arkray.co.jp/disciplines/glycation/ages-01/

Dr荒木への疑問

”糖質ゼロのパン”と称して販売しています
http://low-carb.co.jp/

 しかるにこのパンに対して疑問の声が上がっています

 江部DrのBlogの2012年2月12日・19日のコメント、それに2012年4月18日の本文をご覧ください

Re: AGE関連

Yamamoto_ma さん

 情報を頂き有難うございます.

 AGEについて専門的かつよくまとまった記事ですね.参考になります.

 未解明の部分も多いようですね.

Re: Dr荒木への疑問

精神科医師A 先生

 いつも情報を頂き有難うございます.

> ”糖質ゼロのパン”と称して販売しています
> http://low-carb.co.jp/
>  しかるにこのパンに対して疑問の声が上がっています


 荒木先生の断糖理論について私も勉強しましたが,理論的には糖質制限と共通しており納得のいくものです.

 しかし,こういう商売が関わってきた場合には,いろいろな事情や思惑が関わってくることがあると思います.製薬会社の問題にしても同様です.

 与えられた情報を鵜呑みにすることなく,それが本当かどうかはそれぞれが自分の頭で考えて判断していく必要がありますね.

No title

人のコメントを利用して、しらーっと書いてますな。果物の罠?AGE? それをいうなら肉こそAGE生成してるでしょうに。肉をいくら食べてもいいなんてことを主張している人が、果物のAGEは問題だ!ってご都合主義にも程がある。

Re: No title

やれやれ さん

> 人のコメントを利用して、しらーっと書いてますな。果物の罠?AGE? それをいうなら肉こそAGE生成してるでしょうに。肉をいくら食べてもいいなんてことを主張している人が、果物のAGEは問題だ!ってご都合主義にも程がある。

 内因性のAGEと、外因性のAGEでは身体に加わる影響が異なると思います。

 人体には基本的にホメオスターシス(恒常性)を保つ仕組みがいろいろと備わっています。

 例えば、糖質制限下では食事由来のコレステロール量が多くても、内因性のコレステロール量が調整されて一定のバランスを保つ、というのもその一例です。

 でも糖質摂取により酸化ストレスが高まった状況下では、食事由来のコレステロール量もバランスを乱すのに一役買ってしまいます。

 AGEについてはまだ未解明の部分も多いですが、糖質制限で酸化-抗酸化バランスがうまく働いている環境下では食事由来の外因性AGEの影響はそれほど気にしなくてもよいというのが私の考えです。

 
 それからマナーの守れない書き込みは今後は拒否させて頂きますので御了承下さい。是非とも建設的なご意見を宜しくお願い申し上げます。

 

やれやれ

名前からして「やれやれ」ですかね。

大体こういうスタンスでコメントをする人の特徴は、根拠をあまり示さずに、決め付けたものの言い方をする。相手を非難して喜ぶというものですが・・
 糖質オフの生活をしている私からみると、糖質の過剰摂取により、切れやすい性格になっている。包容力がない、建設的な発言が出来ない。つまり、簡単に言うと、「自分がどういう問題意識をもっていて、それをきちんと説明することが出来ない人」と言う事になります。
 AGEについては、牧田善二ドクターの本が数冊出ていますが、そのくらいは読んだ上で発言してほしいですね。
 私の場合、肉では、オージーピーフ(オーストラリア産)で、穀物ではなく、放牧されて牧草を食べて育った牛がいいですね。
 豚・羊・鹿、あるいは魚肉なども、自然なものがいいですね。
 新聞などの報道によれば、東京湾は、福島原発のせいで、セシウムが高濃度になっている地点があるようです。
 「食材の偽装」も大きな問題です。
あらためて、安全で健康な食生活について考えます。  長谷川

Re: やれやれ

わんわん さん

 コメント頂いて有難うございます.

>  糖質の過剰摂取により、切れやすい性格になっている。包容力がない、建設的な発言が出来ない。つまり、簡単に言うと、「自分がどういう問題意識をもっていて、それをきちんと説明することが出来ない人」と言う事になります。

 この点については私も思うところがあります.後日記事にしたいと思います.

糖質制限食と野菜について

糖質制限食と野菜については「糖質制限推進派」の方の中でも意見が分かれているようですね

先日 出版された夏井先生の本「炭水化物が人類を滅ぼす」の第VI章など大変面白く拝見しました
皆さんもぜひ読んでみてください

さて、浅薄な知識できちんとコメント出来るかどうか自信がありませんが、病気の予防・健康維持に極めて重要なものが「腸内環境や腸内細菌バランス」です。

よい腸の状態を達成するために必要な食物繊維・野菜の量にはかなり個人差があるようです。

Re: 糖質制限食と野菜について

TrueLife 先生

 コメントを頂き誠に有難うございます。

> 先日 出版された夏井先生の本「炭水化物が人類を滅ぼす」の第VI章など大変面白く拝見しました
> 皆さんもぜひ読んでみてください


 夏井先生の本、私も購入(文庫版と電子書籍)していますが、いかんせん読むのが遅くて。

 それでも大分読み進めましたが、夏井先生ならではの豊富な知識に裏打ちされた理論の展開がすごく面白いです。

 また読み終わったら書評を書こうと思っております。

> 病気の予防・健康維持に極めて重要なものが「腸内環境や腸内細菌バランス」です。
> よい腸の状態を達成するために必要な食物繊維・野菜の量にはかなり個人差があるようです。


 そうですね。

 糖質制限実践者の中でも便通への影響は多種多様のようです。

 糖質制限理論においての野菜の可否は各論の話になりますので、そこまでこだわって追求し過ぎなくてもよいかもしれないと個人的には思っております。

 枝葉末節にこだわりすぎて本質を見失うことのないようにしたいです。

久山研究最新論文

http://www.cardiab.com/content/12/1/164

糖化反応とAGEsが、CVD発生につながると、DDISCUSSIONでは述べています

Re: 久山研究最新論文

精神科医師A 先生

 いつも情報を頂き有難うございます.流石情報がお早いですね.

 2013年11月17日(日)の本ブログ記事
 「糖質制限での認知症予防の可能性」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-91.html

 にてご紹介した論文に引き続き,心血管疾患についても正常人のHbA1cレベルであっても高ければ高いほどリスクが高いといった内容ですね.

 「HbA1c=早期糖化産物」が慢性的に存在することで最終的に「AGE=終末糖化産物」になる,

 そのAGEが血管壁での炎症や血栓傾向に関与し,最終的に血管合併症を引き起こすという説明のようです.

 それならば正常範囲内で安全にHbA1cを低く保つことのできる糖質制限の有用性は,もはや揺るぎないですね.
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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