サイアミディン

情報の解釈は自分次第

私は今地方の病院で勤務していますが、

情報化社会となったおかげで、地方にいても自分次第でいくらでも情報を入手する事ができます。

ただ情報が得られたからといって、必ずしも皆が得をするわけではありません。

情報の扱い方を誤ると逆に道に迷うということもあるのです。

先日外来業務をしておりましたら、

立て続けに2名ほど、こちらが尋ねたわけではないのに、糖質制限をされているという中年の男性と出会いました。
あぁ、糖質制限もこんな地方にまでそのくらい広まってきたのだなと感じると同時に、

病院に来られるという事は、糖質制限で克服できない症状に悩んでいるという事になるので興味を持ちました。


一人目の方は視野の異常を自覚され、近医眼科で大きな病院での脳の検査を勧められて来られた方でした。

脳CT写真を撮影し、脳に特に異常はないということを説明したら、

なぜか以前75g経口ブドウ糖液負荷試験で境界型を指摘されて糖質制限をしていたという話を打ち明けられ、その後糖質制限談議となりました。

その方は2型糖尿病で「糖質量(g)×3」=「推定血糖値上昇」になるということや、グルコーススパイクのこと、

グルコーススパイクが短時間だと糖化がHbA1cに反映されにくいことなど、糖質制限について大変よく勉強されている方でした。

でも「糖質制限をしていた」という過去形だったので、「今は糖質制限をなさっていないのですか?」と問うと、

今でも少しは減らしている。けど昔ストイックにやりすぎて痩せすぎて筋肉も落ちてしまった。

それは摂取カロリーを減らし過ぎたためではないかと思いますよ。

それはわかってる。でも全然食べないというわけにはいかないからね。

私は、摂取カロリーが充分なら糖質を全然摂らなかったとしても大丈夫なこと、

摂取カロリーが充分なら痩せ過ぎるわけでもないし、筋肉も落ちるわけではないこと、

何より原因不明の視野障害で悩まされているような状況なら、悠長に緩やかな糖質制限をやっている場合ではないと思うことを指摘しましたが、

わかってる」と言いながら意見は頑として変えず、私はそれ以上この方に糖質制限を勧めるのはやめました。

あれだけ糖質制限を勉強しているはずの人でも、自分の解釈次第で必ずしもよいとは言い切れない場所に着地してしまうのです。


二人目の方はめまいを主訴に外来を受診されました。

高齢の親御さんの介護のため、遠方から帰省して1ヶ月くらい経過したという状況の方でした。

その方は健康維持の為に糖質制限をされているということでしたが、

はたから見て大変そうな状況であったので、「ストレスはないですか?」と尋ねましたが、

意外な事に「ストレスは全くない」と答えられるのです。

私は患者さんのストレス反応を診るために、よく肩を触ります。

首の両脇には自律神経の幹が走っていて、ストレスがかかった交感神経過緊張状態になると、

首から両肩にかけての筋肉の緊張がしばしば見られ、それがめまいや頭痛の温床となるからです。

その患者さんのストレスはないという発言がにわかに信じ難かったので、肩を触らせてもらうとガチガチに硬かったです。

さらにそういう方の首のレントゲンを見ると、頚椎で通常見られる緩やかな並びのカーブが消失し、一直線に立ち並び過ぎている頚椎像を呈する事があります。これを「ストレートネック」といいます。

要するにこの患者さんは自分にかかるストレスを認識できないまま、

ストレスマネジメント不足に陥り、交感神経過緊張に伴う頸性めまいをきたしたのではないかと私は考えました。


2名の糖質制限実践者の患者さんから学ぶことは、

たとえ糖質制限を知ったとしても、自分の解釈次第でその価値は大きく変わってくるということです。

誤った解釈で糖質制限の価値が低く見積もられてしまわないように、

糖質制限推進派医師として適切に情報を提供していく必要性を強く感じました。


たがしゅう
関連記事

コメントの投稿

非公開コメント

リスク分散?

色々な意見があるときは意味もなく中間を取り入れるのがバランスが良いと思ってる人がいるみたいです。

何だかよく分からないものに対してのリスク分散という意味では良いかも知れませんね。

管理人のみ閲覧できます

このコメントは管理人のみ閲覧できます

Re: リスク分散?

ふぁっつおー さん

コメント頂き有難うございます。

> 色々な意見があるときは意味もなく中間を取り入れるのがバランスが良いと思ってる人がいるみたいです。

それは一見バランスのとれたスタンスに見えますが、見方を変えれば自分の意見を持っていないように私には思えます。
どうしてもわからない場合は、中間ではなく一旦保留にしておくのがよいのではないかと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
これまでの訪問者数
FC2アフィリエイト
メールフォーム
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR