サイアミディン

見えない高インスリン血症への意識

糖質頻回過剰摂取による問題点は大きく二つあります。

一つは血糖乱高下に伴う酸化ストレスの増加、もう一つは続発する高インスリン血症による害です。

高インスリン血症そのものも酸化ストレスを引き起こす要因となるので、問題点は一つにまとめられないこともないですが、

糖質制限をせずに薬で血糖値をコントロールしようとする旧来の治療方針において、この高インスリン血症は大きな問題となってきますのでやはりこれは一つ注目すべき視点だと思います。

つまり血糖値をインスリンで無理矢理下げれば見かけはよくなっていても、高インスリン血症の害を今まで以上に激しく受けているという事を忘れてはいけません。

言い換えれば、インスリンで血糖値を制御すようとするアプローチそのものが「Do No Harm」とはなり得ないということです。
そんな中、ケアネットニュースを見ていたら、こんな記事が目に飛び込んできました。

非肥満・非糖尿病でも、高インスリン血症でがん死亡増
提供元:ケアネット公開日:2017/04/17


(以下、引用)

肥満や2 型糖尿病はがん関連死亡と関連しているが、肥満でも糖尿病でもない場合に高インスリン血症はがん死亡の危険因子となるのだろうか

国立国際医療研究センター病院の辻本 哲郎氏らの前向きコホート研究で、糖尿病ではない非肥満者において、高インスリン血症だとがん死亡リスクが高いことが示された。

この結果から、肥満であるかどうかにかかわらず、高インスリン血症の改善はがん予防のための重要なアプローチとなりうる、と著者らは結論している。International journal of cancer誌オンライン版2017年4月8日号に掲載。

著者らは、1999~2010年の国民健康栄養調査のデータを用いて、前向きコホート研究を実施し、2011年12月31日まで追跡した。
がん死亡率の主な解析は、Cox比例ハザードモデルを用いて、高インスリン血症の有無別にハザード比(HR)を算出した。
高インスリン血症は空腹時インスリン10μU/mL以上と定義し、死亡原因は国際疾病分類第10版を使用した。

 主な結果は以下のとおり。

・本研究には、糖尿病やがんの既往のない20歳以上の9,778人が参加し、非肥満者が6,718人(高インスリン血症が2,057人[30.6%])、肥満者が3,060人(高インスリン血症が2,303人[75.3%])であった。全体の99.9%がフォローアップを完了した。

・試験参加者全体において、高インスリン血症の患者はそうではない患者に比べ、がん死亡率が有意に高かった(HR:2.04、95%CI:1.24~3.34、p=0.005)。

非肥満者においても同様に、多変量解析により、高インスリン血症の患者はそうではない患者に比べ、がん死亡率が有意に高かった(調整HR:1.89、95%CI:1.07~3.35、p=0.02)

(引用、ここまで)



インスリンは肥満ホルモンであると同時に細胞増殖ホルモンでもあります。

人によっては体質的に高インスリン血症となっても太らない人がいますが、それでもインスリンは等しくすべての細胞に増殖刺激を与えます。

だから高インスリン血症ががんのリスクとなるわけです。記事はある意味当然の結果と思います。

少なくとも現時点でインスリンは血糖値ほど測定が広く行われていないため、

がん予防やがん治療を目指すならば、この見えない部分にも意識を向けて治療に当たっていく必要があります

具体的には糖質制限は勿論のこと、タンパク質は過剰にならないよう適量摂取を心がけることが大事です。

おそらく人によりタンパク質の至適量は異なるので、自分の体調をベースに一番良い量を探っていくのがよいと思います。


たがしゅう
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タンパク質の過剰摂取を防ぐには

糖質制限を厳密に実行しているわけではありませんが、もともとおかずをたくさん食べたい派だったので、喜んで実行しています。
タンパク質がかなり多い食生活かと思いますが、体調は変わらないので、良しとしています。
年1回ですが検診などで採血した時になにか参考になる数値はあるでしょうか?

Re: タンパク質の過剰摂取を防ぐには

じぇみんまま さん

 コメント頂き有難うございます。

 体調が良いのならタンパク質過剰摂取をことさら気にする必要はありません。
 現状でうまく代謝のバランスがとれている可能性が高いです。
 糖質制限だけで克服できない何らかの問題がある場合に考慮すればよいと思います。

> 年1回ですが検診などで採血した時になにか参考になる数値はあるでしょうか?

 検診を行う医療機関でも項目に差がありますが、
 どこの医療機関でもおそらく調べてくれるであろう項目で血糖値、HbA1c以外で参考になるのは、検尿、中性脂肪、尿酸あたりでしょうか。

 検尿では尿ケトンの有無を確認できます。厳格な糖質制限を行っていれば尿ケトン陽性です。
 中性脂肪は糖質制限がうまくできていれば空腹時に測定して正常値であるはずです。そうでなければ見直しが必要になります。
 尿酸高値は摂取エネルギー不足を反映する場合があります。エネルギー確保に勤めましょう。
 ただしあえて断食気味の糖質制限をしている方は基本的に尿酸は高くなるので、その場合は尿酸高値は確認項目になります。

 それ以上の項目を希望する場合は検診ではなく、普通に糖質制限理解派の医師へ相談する方が無難です。

 2014年1月6日(月)の本ブログ記事
 「ケトン食でモニターすべき項目」
 http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-143.html
 も御参照下さい。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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