サイアミディン

ケトン体利用の効率化と環境適応

先日、ケトン体簡易測定器を持っている糖質制限実践者の方に、

私の血糖値とケトン体の値を測定して頂く機会がありました。

測定するのも無料ではないというのに、快く測定して頂いた事を大変有難く思いました。

最近の私はほぼ1日1食の状態で過ごしていることが多いという事もあって、

20時間くらい絶食している状態で測定に臨む状況でした。

まあまあケトン体は上がっているだろうと踏んでいたのですが、

実際に測定してみると、血糖値は83mg/dL、ケトン体は0.4mM(400μmol/L)という数値でした。
糖質を普通に摂取している場合の総ケトン体の基準値は、130μmol/L以下ですので、

一応ケトーシスにはなりますが、正直言って、「結構絶食しているのにそんな少ししか上がっていないの?」という感想は否めませんでした。

「体調が健康のバロメータ」が基本方針の私は、

体調を原則としてあまり数値に踊らされないということをモットーにやっているので、

体調さえよければ普段の血糖値とかケトン体値をあまり気にせず、逐一チェックしないようにしていたのですが、

こうしてふと現実を突きつけらるとなぜそうなるのかという事が気になってきます。

この事をきっかけに現在の自分の状態について考察してみる事にしました。


そんな事を真剣に考えていると、欲しい情報は入ってくるものです。

銀座東京クリニックの福田一典先生の「漢方がん治療を考える」というブログの中のある日の記事の次のような一節がありました。

第491話:ケトン体治療(その1):生理的ケトーシス、より

(以下、引用)

絶食で上昇するケトン体が体に悪いという考えは完全に間違いです。

絶食で体内に増えるケトン体が有毒であるのであれば、狩猟採取で食糧を得ていた氷河時代の人類が生き延びることはできなかったはずです。

ケトン体が有毒な代謝産物であれば、このような不都合な代謝は進化の過程で淘汰されてきたはずです。

むしろ、飢餓を生き延びるために進化の過程で獲得した代謝系と考えるのが妥当です。

その理由の一つは、動物の中で絶食時にケトン体の生成が最も増えるのが人間だからです。

熊は冬眠している間は絶食状態で体脂肪が燃焼していますが、4~5ヶ月絶食している間もケトン体は0.5mM以上に増えないと報告されています

猿も人間ほどケトン体は上昇しません。イルカはどんな状況でもケトン体は増えません

人間は体が使うエネルギーの20%くらいを脳が使っています。他の動物は5%以下です。

絶食したときに、脳が小さい動物はケトン体を作らなくでも肝臓や腎臓の糖新生だけで脳のエネルギーを十分に賄えるからです。

しかし、脳が大きく進化した人間の場合は、糖新生だけでは脳のエネルギーを満たせない状態になったので、ケトン体を懸命に作るように進化したと考えられています。

(引用、ここまで)



脳の大きさとケトン体の使用割合の関連の話は初めて知りました。

ケトン体代謝系は進化の中で獲得した新しいシステムで、あらゆる生物に共通保存されているので動物毎の比較はシステムを考える上で参考になると思います。

この福田先生のお話で言えば、クマの脳はヒトの脳よりもやや小さいので、

冬眠程の長い絶食期間であってもケトン体をそんなに使わなくてもエネルギーを賄うことができる、だからケトン体値が小さいという事になるでしょうか。

しかしこの理論だと矛盾があります。同記事内にイルカはどんな状況でもケトン体は増えないとあります。

ところがイルカの脳はヒトの脳よりも明らかに大きいのです。先ほどの理論で言えば、ヒトの脳よりも大きいイルカの脳に対しては、
その大きさをカバーするためのエネルギーを調達すべくケトン体を利用するはずなのに現実はそうはなっていません。

ということは、ケトン体を利用するか否かは脳の大きさだけではない別の要素があるという事になります。

ここでもう一つ考えなければいけない事は、「運動はケトン体産生刺激の一つである」ということです。

クマの冬眠では、言ってみればクマは生命を維持できるギリギリのところまで運動をしていない状態です。

そのように運動をしていない条件では、ケトン体の需要自体が下がり、だからクマの冬眠中のケトン体があまり上がっていないという側面もあるのではないかと思うのです。

そしてそれはまあまあ絶食していたにも関わらず、ケトン体値があまり上がっていなかった私に通じる所があるのではないかとも思うのです。

また別の観点で言えば、私の身体が少ないケトン体でも身体が動かせるように効率化したとみることができます。ここにはオートファジーなどの再利用システムも密接に関わっていると思います。

この辺りはケトン体の数値だけを問題にしていては見えてこない観点だと思います。

しかしその一方で私には消費すべきケトン体の元は結構まだまだたくさんあります。

適応してよい側面もありますが、その適応状態を最適と考えないのであればケトン体の強制的な産生刺激である運動も利用して、

人為的にケトン体使用の需要を高めるのは一つの方法であるように思いました。


ごちゃごちゃまわりくどく書いてしまいましたが、

要するに食事を変えずに現状を打破したいと思うなら運動しなさいってことです。

いろいろ考えた割に当たり前の結論に着地してしまいました。(^-^;


たがしゅう
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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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