サイアミディン

プラスの発想からの脱却

私は糖質制限に始まり、ケトン食断食へと理解を深めていく過程で、

マイナスの発想を強く意識するようになって行きました。

病気を治すのに何かを加えるのではなく、何かを減らすという考え方です。

減らすといっても減らし過ぎはよくないという意見もあると思いますが、

オートファジーという蛋白質再利用の為の、酵母からヒトまで広範囲に保存された安定システムがあることや、

糖質制限をして最初の頃はスムーズに痩せていくけれど、その後は同じ食事をしていても体重が横ばいになっていくという観測事実などを踏まえると、

本来の食性さえ守っていれば結構なところまで減らしても大丈夫なのではないかと思うようになってきました。
マイナスの発想の本質は「不要なものを減らす」というところにあらず、「本来の働きを取り戻す」というところにあると思っています。

しかしどうにも私達は、本来の働きをさび付かせる因子はそのままに、何か外からの素晴らしいものを投与する発想から脱却することができないことが多いようです。


そもそも人はなぜ病気になるのでしょうか。

これがビタミン欠乏が原因なのだとすれば、治療法はビタミンの補充だとわかります。しかし果たして本当にそうでしょうか。

糖質過剰が原因だとすれば、治療法は糖質制限になるでしょう。しかし実際には糖質過剰とビタミン欠乏はセットで起こっています。

糖質過剰とビタミン欠乏の二つの原因があるというよりも、糖質過剰をきっかけに糖代謝が過剰回転し、必要以上にビタミンが消費されてしまうことが原因だと捉える方が真実に近いと思います。

ということは何よりも優先すべきことは糖質制限であり、ビタミン補充は二の次ということになります。

またリフィーディング症候群を思い返してもらいたいと思います。

急激な糖質負荷による急激な高インスリン血症により低カリウム、低マグネシウム、低リン血症などのミネラル異常をきたすリフィーディング症候群ですが、

糖質負荷を解決せずにミネラル補充を行えば病態を制御することがはたしてできるでしょうか。

高インスリン血症があるままで、ミネラルをいくら補充したところでミネラルバランスの改善には至らないはずです。

リフィーディング症候群の従来的な対処方法が「少しずつ投与カロリーを上げていく」となっているのは、結果的にそれが糖質負荷の軽減につながっているからだと私は考えます。


いずれにしても不自然な糖質を制限することが最優先事項であり、それによって本来の代謝が回転し、ビタミン・ミネラル代謝も適切に戻れば、わざわざビタミン・ミネラルを補充する必要性もないと思います。

それどころか過剰に補充すれば、安全なはずのビタミン・ミネラルで代謝の歪みを生じてしまう可能性さえあります。ナイアシンフラッシュはその一例です。

それゆえ私の中で糖質制限とビタミン・ミネラル補充は同列ではありません。あくまでサポート的位置づけです。

糖質制限を行っても、長年の負の遺産で代謝がだぶついてしまっている場合にのみ、当座の治療戦略としてビタミン・ミネラル補充を行うことはあると思います。

しかしその場合も、同時並行で代謝をだぶつかせている真の原因を探ります。ビタミン・ミネラル欠乏はその原因による随伴現象にすぎません。例えば、ストレス過剰が真の原因の場合はそれを除く必要があります。

糖質制限実践者の中でもビタミン・ミネラル処方に依存している方は結構おられますが、

本当にそれでよいのかということはそれぞれで考えてもらいたいと思います。

糖質制限で解決できない問題をサプリメントで解決したという方、

そもそもなぜあなたのビタミン、ミネラルは枯渇しているのでしょうか。高栄養の糖質制限食ではなぜ補充できないのでしょうか。

自然界に存在しない不自然なほど多い量のビタミン・ミネラルで当座あなたの体調は保たれているのかもしれませんが、

もしかしたらあなたのビタミンが枯渇する原因はまだ解決されていないままかもしれません。

私は糖質過剰に並ぶ代謝阻害因子は「ストレス過剰」だと考えています。ストレスを受けることでコルチゾールを始めとした多種多様なホルモンが駆動され、糖代謝にも確実に影響を与えます。

サプリメントを飲むこと自体が「ストレスマネジメント」になっているという人、それでも飲み続けることを私は無理には止めません。それは個人の自由です。

けれどあなたのストレスをマネジメントする他の方法はないのでしょうか。

サプリメントを永続的に飲み続けることが、本来のヒトの在り方なのかという事について、

読者の方々におかれましては一度真剣に考えてもらいたいと私は思います。

是非ともプラスの発想から脱却して、

一人でも多くの方に本来の健康というものを取り戻してもらいたいと願うばかりです。


たがしゅう
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Re: No title

愛読者 さん

御指摘有難うございます。
修正させて頂きました。

No title

いつもブログを拝見してます。
たがしゅう先生の影響を受けて1日1食実践中です。
まだまだお腹が減ると辛い感じになるのは否めませんが・・・
先日夜中に嘔吐した後39度以上の熱が出ました。
何も食べないことで治してみようと思い、
水以外何も食べずにじっとしていましたが、1日半経っても熱が下がる気配がなく、
体が辛くて仕方なかったので、受診し、解熱剤にて熱を下げてしまいました。
今考えると嘔吐から発熱して数日後に少しだけ下痢っぽい症状があったので、腸炎だったのかなと思います。
嘔吐後丸2日近く水以外口にしなかったので、回復が早かったのかな~と結論付けてます。
小食で健康な人生を送ることを目指して頑張ります。

Re: No title

grants さん

 コメント頂き有難うございます。
 大変でしたね。

> 水以外何も食べずにじっとしていましたが、1日半経っても熱が下がる気配がなく、
> 体が辛くて仕方なかったので、受診し、解熱剤にて熱を下げてしまいました。


 私は「体調は最良のバロメータ」と考えています。
 同じ絶食でもケトン体をはじめエネルギーを効率よく使えるかどうかは個人差の大きい所と思います。
 ですので理論の虫にならず、辛い時は適度に薬の力を借りることはあってよいと思います。

 ただ、もし私が同じ状況ならば漢方薬を使っていたかもしれません。今後受診の際の参考にして頂ければ幸いです。

思うこと

個人的な見解としては、ストレスというのは原始の時代には殆んど無かったように思います。
それこそ飢餓と狩猟時において以外は。
原始人は好きなときに好きなことを気ままに過ごし、
狩猟に成功した勝ち組の人間だけが穀物文化に至るまでは進化してきたと。

現代は食をしっかり摂取しても、古代のそれ、原種のものと違って栄養も落ち、甘くないものも甘くさせることを至上命題にしたかのように異常に糖質が含まれ、肉をも含めた脂肪酸の質も酷くなる一方、
人体には不自然である諸々のストレスの数々に晒される状況下では体に不調を引き起こして当然であるかと。

ホルモンや神経からのストレス対処にも限界があると思うので、個人的には現代という不自然に発展してきた文化の自然さという思い込みの中に生きる現代人は
サプリメントによるメガビタミン等の対策は必須と感じています。

その現状で肉体や精神に古来からの自然さを内的要因から求めるには
あまりにも障壁が高く分厚すぎるのではないでしょうか。

Re: 思うこと

セイゲニスト さん

コメント頂き有難うございます。

原始時代には現代社会とは異質のストレスがそれはそれで結構あったと思います。
最たるものが気候によるものです。例えば原始時代には雨風にさらされますが、現代人なら家屋で雨風をしのげます。
熱射、寒冷に対しても現代なら対策が打てます。

要するにストレスの種類が違うだけで原始時代がストレスが少なかったとは言い切れません。

「現代社会には現代社会特有のストレスがあるからメガビタミンが必要」というのはメガビタミンに都合の良い解釈であるように私には聞こえます。セイゲニストさんがそう思われるのは自由ですが、私にはそれがヒト本来の在り方とは到底思えません。非常に操作的だとさえ思います。

それにストレスマネジメントの凄さを甘くみてはいけません。
優れた宗教家は糖質制限もメガビタミンも関係なしに健康長寿を成し遂げています。
時にはがんを克服する力さえ発揮します。
逆に言えばストレスマネジメントを誤れば難病にさえつながりうる潜在能力があるという事であり、決してビタミンの効果に劣るおまけのような存在ではないと私は考えています。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
漢方好きの神経内科医です。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

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