食べるために「食べない」
2017/05/31 00:00:01 |
ふと思った事 |
コメント:7件
一般的に抗がん剤でよく見られる副作用に「食欲不振」「下痢」があります。
消化管というのは生命維持にとって要となる存在です。進化の歴史でみると原始には腸だけで存在しエネルギー交換をしていた生物もいたほど重要な器官です。
「下痢」は消化管が機能していない状態を反映し、「食欲不振」はそんな弱った消化管に食物が入って来ないようにするための防御反応であるように思えます。
抗がん剤は大事な消化管に真っ先にダメージを与えてしまう極めて不適切な治療方法だと私は考えていますが、
この事は逆に考えれば、「消化管機能を回復するには絶食が有効」という事を身体が教えてくれているように思います。 よく糖質制限実践者との交流で、
肉を山ほど食べているのに鉄不足が解消されないという悩みを聞く事があります。
それって消化吸収機能が低下している状態なのではないかと私は考えたりします。
ちなみに私は1日1食で肉をしっかり食べるのが基本の食生活ですが、
私の最近のフェリチン値は626.4ng/mLです。しかもかなり運動している状況で、です。
1日1食にすると消化管が充分に休まり、次に食べる時の消化吸収能力が相当に高まっており、
なおかつオートファジーの再利用システムが活性化します。もしかしたら鉄も再利用しているのではないかと思ったりしますが、その辺りの真偽は定かではありません。
血液と共に鉄分が失われやすい月経の有無という点で、男性と女性の違いもあるとは思いますが、
それにしても私のフェリチン値は高い方だと思います。
鉄不足だと言われると、鉄を補わないといけないというプラスの発想ばかりが思い浮かぶかもしれませんが、
ここにおいてもプラスの発想から脱却することが大事です。鉄の吸収を邪魔する要因を排除するのです。
その要因は「糖質過剰」だけでなく、「食事行為」自体もそうだということに気付く必要があります。
今までベテラン糖質制限実践者とも多く交流してきましたが、
鉄不足解消の為に断食をしたという人には出会った事はありません。
鉄不足に悩み、サプリでもなかなか増えないという人は、一度試してみる価値があるかもしれません。
これはやせ体質の人に対して体重を増やすために私が断食を勧める理由と共通構造を持っています。
「押してダメなら引いてみな」という言葉もあります。
鉄不足で悩む人の一つの選択肢として考慮してもらえればと思います。
たがしゅう
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プロフィール
Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
オンライン診療医です。
漢方好きでもともとは脳神経内科が専門です。
今は何でも診る医者として活動しています。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。
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コメント
水分
先日はご返信ありがとうございます。
先生は水分を摂られる時はやはり水(水道水?)が基本ですか。
ブラック珈琲や緑茶等はカフェイン等が含まれますね。
胃腸を休ませると言う視点からこの辺りはどうお考えになりますか?
Re: 水分
御質問頂き有難うございます。
> 先生は水分を摂られる時はやはり水(水道水?)が基本ですか。
> ブラック珈琲や緑茶等はカフェイン等が含まれますね。
> 胃腸を休ませると言う視点からこの辺りはどうお考えになりますか?
私は水とお茶を中心にしています。
水はミネラルウォーターが基本で、水道水は飲みません。単純においしくないからです。
コーヒーはもともと飲む習慣がありませんが、何かの機会で勧められて飲むとしたらブラックで飲みます。
お茶に関しては確かにものによってカフェインの含有が多いものもありますが、実害がなければ許容範囲としています。
あとお茶は突き詰めて勉強するとなかなか面白いことがありそうな印象です。また何かわかれば記事にしてみようと思います。
管理人のみ閲覧できます
Re: オートファジーとタンパク質
コメント頂き有難うございます。
非公開希望コメントですが、メールアドレス記載がございませんでしたので、こちらで回答させて頂きます。
2014年11月20日(木)の本ブログ記事
「コメント投稿時の注意点」
http://tagashuu.blog.fc2.com/blog-entry-487.html
も御参照下さい。
一般的にある物質の血液中の濃度が低い事は、必ずしも組織での利用効率を反映しません。
例えば炎症がある状況では、血清鉄は低下し、フェリチンが上昇するというパターンを取りますが、
この状況ではフェリチンがたくさんあるからと言って、貯蔵鉄がたくさんあるという意味にはなりません。
炎症を起こしている組織での鉄利用効率が低下し、代謝がだぶついている事を反映しているのです。
タンパク質についても同じ事が言えます。炎症反応で蛋白質が一時的に低下する現象がそのまま低蛋白状態を意味するわけではありません。代謝に歪みが生じているに過ぎないのです。炎症さえ終息すれば一生懸命タンパク質を補わなくても、速やかに元のタンパク量に戻るだけの話だと思います。
見えることだけにとらわれず、いかに見えない事にも意識を向けられるかということが大事と思います。オートファジーはその見えないことの代表格だと思います。
野菜類
非公開コメントの件お詫び申し上げます。
ご返信頂きたい時公開でかまわない旨を或いはメールアドレスを、今後は明記するよう、気を付けます。
(メールアドレス記入の場合、『メールアドレス』という欄と『コメント』欄、何か違いがありますか?)
ところで先生は野菜類を召し上がると思うのですが、どのような理由からでしょうか。差し支えなければ参考にお伺いしたいのですが…。
どうぞよろしくお願いします。
・食物繊維はヒトにも必須と考えるから。
・ビタミンミネラル摂取のため。
・摂取の必要性はないと考えるが、たまたまそこにあるから。或いは単にすきだから。
・他の理由
Re: 野菜類
御質問頂き有難うございます。
私はどちらかと言えば「そんなに野菜を一生懸命取らない派」です。
主な理由をざっと挙げると以下の通りです。
・「腸管の形態から基本的にヒトは肉食に適応していると考えられるから」
・「糖質制限しケトン代謝になっていれば、ビタミン・ミネラルの必要量は世間で言われるほど高くなくていいと思われるから」
・「食べられるけどそんなにはおいしいわけでもないから」
・「食物繊維はなくても便通はいいし、腸内細菌の栄養はケトン体によってまかなわれるから」
もちろん、積極的に食べないだけで、そこにあれば野菜も普通に食べます。
> ご返信頂きたい時公開でかまわない旨を或いはメールアドレスを、今後は明記するよう、気を付けます。
公開で構わない場合は、メールアドレスを記載する必要はありません。
しかし非公開にしてほしい場合にメールアドレスが記載されていないと、普通に私がコメント返しすると皆に見られてしまうので、非公開を希望するのであればメールアドレスを記載して下さい、ということです。非公開を選択していれば、メールアドレスを記載していても、私以外の人に見られることはございませんので。
> メールアドレス記入の場合、『メールアドレス』という欄と『コメント』欄、何か違いがありますか?
「メールアドレス」欄に記載されればコメント投稿後、「Mail」という形でアドレスが表示されます。「コメント」欄に記載されれば書かれたコメントのまま表示されます。どちらに記載して頂いても構いません。
ありがとうございます
先生のお考えをお伺いし大変気持ちがすっきりしました。
先生のブログへの姿勢、コメントに対するご対応など、拝見する都度その誠実なお人柄に大変感心しております。
これからも先生にはいろいろお尋ねするかと思いますが、どうぞよろしくお願いいたします。
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