サイアミディン

プラセボ効果とノセボ効果

先日、とある講演会で疣贅(イボ)の治療について学んでいたところ、

疣贅の治療の30%にはプラセボ効果が関わっている」という話を聞きました。

疣贅というのはヒトパピローマウイルスが皮膚の基底層や真皮内に感染し、細胞が異常増殖する事で形成されると考えられていますが、

たとえどんな治療を受けたとしても患者さんが、「この治療でイボは治る!」と信じていれば、3割の部分はその気持ちで治すことができるというのです。

イボのような物理的に腫瘤を形成する病態に対しても心の在り方は改善をもたらすことができるなんて、

ストレスマネジメントの幅広い効果を再認識させられた次第です。
一方で私が好んで用いる漢方薬も、効くと信じている人に効きやすいという傾向があります。

逆に漢方薬なんか絶対効かないとか、以前何らかの漢方薬を飲んで副作用があり漢方薬すべてにネガティブイメージを持ってしまっている人に対しては、

たとえ証が合っていたとしても効かないばかりか、逆に有害作用をもたらすという事も時々経験します。

先日も当院に入院された非常にストレスフルな高齢女性患者さんが、

胸が苦しいとか動悸を打つなどと訴えられたため、ストレスマネジメントも兼ねて半夏厚朴湯を処方したところ、

吐き気がして飲めないとしきりに訴えられるため、回数や量を減らすなど提案して内服継続を説得してみたのですが、

どんな飲み方をしてもこの薬は絶対吐いてしまうと言い張られるため、やむなく本人の希望に沿って一旦漢方薬を終薬して様子をみることにしました。

すると程なくして当初の胸部症状はいつの間にか消失していたという出来事がありました。

これはいわゆる漢方薬のノセボ効果、すなわちプラセボ効果の逆で、この薬が悪いと思いこむ心によってもたらされる有害事象ではないかと思われます。


このように心の在り方は、良くも悪くも実に様々な効果を身体にもたらしうるという事がわかります。

糖質制限も実に素晴らしい改善効果を持ちますが、それだけでは改善しない人の多くにストレスマネジメント不足がある事を日々実感する私としては、

いかに自分の心が病に影響を与えるかという事を患者さんに伝え、その問題に自ら取り組んでもらえるようコーチングしていくという事も医師の大事な役目であると考えています。

「プラセボ効果をうまく引き出し、ノセボ効果が現れないように誘導する。」

そんなストレスマネジメント指導ができれば、糖質制限と合わさる事でほとんどの病気はカバーできるのではないかとさえ思います。

考えてみれば、糖質制限もストレスマネジメントもその気になれば患者さん自身が行える行為です。

またその理屈さえわかってしまえば、その指導ができるのは必ずしも医師だけではありません。画家、音楽家、落語家、漫才師、スポーツ選手、漫画家・・・

これからの医療は医師中心ではなく、患者中心であるべき事を私は確信しています。


たがしゅう

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いかに自分の心が病に影響を与えるかを知ること

とても大切なことを教えてもらっている気がします。
病気じゃなくても。
今日もきれいだね、今日も元気だねと挨拶のように言ってくれている人の存在は大切。

家族に、友人に、職場で、ご近所で、人を積極的に肯定的に好意的に見ましょう、見えたことはその人を誉めよう、と思います。私のできるコーチング。

Re: いかに自分の心が病に影響を与えるかを知ること

エリス さん

コメント頂き有難うございます。

おすすめのイメージは、自分と他人を隔てる境界線を薄くしていく感じです。
そして自分を大事にするのと同じように他人も大事にすること。そうすれば自分がされて嫌なことは相手にもしないという行動が自然と行えるようになるのではないかと思います。
プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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