サイアミディン

腸管の異常は神経の異常へ通ず

当ブログではこれまでに何度かパーキンソン病について取り上げてきました。

一般的にはパーキンソン病はドーパミン神経の変性により運動症状、非運動症状、自律神経症状などの様々な症状が緩徐に進行していく病気だと認識されていますが、

様々なパーキンソン病患者さんと出会い、診療に携わっていくにつれ、

パーキンソンン病の本質はストレスマネジメント不足にあるのではないかという側面が私には見えてきました。

ストレスマネジメントがうまくできないが故にドーパミンを無駄打ちし、自律神経が乱れてきてしまい、

やがてはドーパミン自身の酸化ストレスによって神経変性が起こり、α-シヌクレインと呼ばれる異常タンパク質が脳や心臓、腸管など自律神経の関わる様々な部位へ蓄積していってしまうのだと思います。

そのようなパーキンソン病の病態仮説の中で、最初に障害されるのは腸管を含めた自律神経系だという事がわかっています。

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複雑なネットワークにどう立ち向かうか

時々読んでいる日本医事新報で「脳-心-腎連関」が特集されていました。

「脳腸相関」というのは当ブログでも過去に取り上げましたが、脳と心臓と腎臓も互いに密接に連携しているというのです。

例えば、何らかの原因で心臓に負担がかかると交感神経が活性化し、心拍数が増加します。その指令を下しているのは脳とされています。

また腎機能が低下すれば、血液中にアンギオテンシンⅡという昇圧物質が増加し、脳に直接作用することで交感神経系を刺激して高血圧の悪循環となります。

これ以外にも様々なネットワークが脳と心臓と腎臓との間でつながっているのを総称して「脳-心-腎連関」といいます。



日本医事新報 2017年 2/18 号 [雑誌] 雑誌 – 2017/2/20

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不自然な糖質制限による歪み

尿中に糖を排泄させる作用機序を持つ薬、SGLT2阻害薬が注目を集めています。

また糖質制限実践者の間でも、食事の中でどうしても排除しきれない糖質をも強制的に尿中へ排泄させる事ができ、より質の高い糖質制限状態を維持する事ができるということで高い評価の声をよく聞きます。

確かにSGLT2阻害薬の臨床効果は糖質制限による効果そのものであり、

この薬を普及していく活動の中でケトン体が出ることに難色を示していた業界の専門家達も、その安全性を認めざるを得なくなるほど世の中の風潮が変わってきたという点でこの薬の果たした役割は大きなものがあると思います。

ただ、私はそれでもこの薬の使用については慎重な姿勢を取っています。

なぜならば、SGLT2阻害薬による疑似糖質制限は不自然な糖質制限であるからです。

SGLT2阻害剤における有名な副作用は脱水です。尿糖が増えれば浸透圧差でそれを薄める方向に水分が移動し尿量が増える事に起因します。

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全体理解に役立たせる勉強

少し込み入った医学情報を把握する目的で私が愛読している「実験医学」という雑誌があります。

増刊号の今月の特集テーマはズバリ、「糖尿病」でした。



実験医学増刊 年月 Vol.35 No.2 糖尿病 研究の“いま"と治療の“これから"〜 単行本 – 2017/1/25
綿田 裕孝 (編集)


特集の中で東京大学大学院医学系研究科分子糖尿病科学講座特任教授の植木浩二郎先生によって、

現在わかっている範囲でケトン体に関する分子生物学的な事実の解説がなされている事もあって、

「ケトン体=悪者」とされてきた業界の風潮は近年大分様変わりしたことを少しずつ感じられるようになってきています。

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見返りを求めず与え続ける

今回は以前紹介した「失敗学」の本の内容から記事を書きます。

本当に役に立つ「失敗学」 (中経の文庫) 文庫 – 2016/11/12
畑村 洋太郎 (著)


前回は失敗から回復する時に重要なのは共感してくれる仲間の存在だと述べました。

今回はそうした仲間と出会い、和を拡げていくためのヒントになる事が書かれていましたので、

引用して紹介させて頂きたいと思います。

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マインドフルネスで依存から抜け出す

先日紹介したマインドフルネスですが、

医学界でも近年注目を集めつつある治療法でして、

医学論文検索サイトPubMedで「Mindfulness」をキーワードにして検索すると3919件の医学論文がヒットします。

結構面白いものが多いので私は非常に興味を惹かれます。今回はその中から次の論文を紹介したいと思います。

Tang YY, et al. Mindfulness meditation improves emotion regulation and reduces drug abuse. Drug Alcohol Depend. 2016 Jun 1;163 Suppl 1:S13-8. doi: 10.1016/j.drugalcdep.2015.11.041.
「マインドフルネス瞑想は感情制御を改善し薬物乱用を減らす」

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玉石混合の情報を取捨選択する

本屋での健康本のコーナーを見ていると、

私が興味を持つ少食・断食について書かれている本を時々見かけます。

先日見かけて読んでみたのはこちらの本です。



無敵の「1日1食」 疲れ知らずで頭が冴える! (SB新書) 新書 – 2016/6/7
三枝 成彰 (著)


書かれているのは東京音楽大学客員教授で、オペラ作曲を中心に音楽に関わる総合的なプロデュース業を手掛けておられる音楽家の三枝成彰(さえぐさ しげあき)さんです。

三枝さんはニンジン・リンゴジュース断食の石原結實(いしはら ゆうみ)先生の指導の元、定期的断食や1日1食生活を取り入れて、365日ほとんど休みなく働いておられるというパワフルな方です。

少食・断食の良さを存分に活かしているようにお見受けするのですが、一方で指導者の石原先生は糖質制限反対派の医師です。

はたしてどのような事が書かれているのか、興味を持って読んでみました。

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情報の非対称性に気付く

何か大きな買い物をしてしまいやすい年末年始のこの時期に、

NHKEテレの「オイコノミア」という番組で先日、「ウマい話にだまされない経済学」と題した内容が放送されていました。

詐欺の構造がわかりやすいドラマで表現され、経済学の観点から詐欺にだまされないようにするためのポイントが提示されていました。

まず詐欺の根本的な原因には「情報の非対称性」があるというのです。

つまり一方は知っているけど、他方は知らないという状況が詐欺を生み出す温床になるという事です。

番組の例では付き合っている恋人が父親の会社が倒産して借金を抱えてしまったという理由で700万円貸してほしいというのを涙ながらに訴えられるミニドラマが紹介されていました。

しかし実は恋人が言っている事は嘘で父親の会社は存在せず、700万円の借金も存在していません。けれど言われた本人はその事を知りませんので、ここに情報の非対称性があるというのです。

まずだまされないようになるための基本として、この情報の非対称性を意識する事から始める事が勧められていました。

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エストロゲンは生命維持ホルモン

言葉というのは便利ですが、一方で偏ったイメージをもたらします。

例えば「悪玉」とか「善玉」という言葉です。コレステロールにまつわってはこれらの言葉が長年医療界を席巻し、

スタチンを中心に受けなくても良い治療を患者に受けさせ続けた影の原動力であったように私は思います。

しかも発した本人の意図しないことまで及んでしまう事さえ時にはあります。「言葉は魔物」とか「言霊(ことだま)」という表現が生まれるのもわかる気がします。

そんな中、もう一つ強固なイメージづけをされている言葉がありました。「女性ホルモン」という言葉です。

先日夏井先生のサイトで「エストロゲンは本来、女性ホルモンではなかった」という投稿とともにダウンロードできる資料があったので読んでみました。

第68回日本産婦人科学会のランチョンセミナーの一つで行われた「エストロゲンと進化―38憶年の旅―」と題された講演だったようですが、

昼ごはんを食べながら聞くような話としては大変もったいない非常に興味深い内容でした。

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類似物では自然物に勝てない

アルコールなどの天才促進的に作用する刺激が強すぎる事で起こるオーバーヒート状態が起こらないように、

ケトン体がうまくハンドリングしている可能性について論じた記事
に対して、ブログ読者のルバーブさんからコメントを頂きました。

>私は、そのブレーキが他ならぬケトン体になのではないかと思います。
に関して、福田先生のこの記事についての先生のご意見を賜りたく存じます。
http://blog.goo.ne.jp/kfukuda_ginzaclinic/e/83fb1ea98e06d29aeea84c38ebeb09a1


銀座東京クリニックの福田一典先生ですね。

糖質制限実践者であり、がんに対する中鎖脂肪ケトン食も推奨しておられる先生で、私もいつもブログを拝見しています。

福田先生のブログを見た事がある方はわかると思いますが、とにかく記事の内容が丁寧でその都度医学文献を完全和訳で紹介されています。

私もよほど読みたい英語論文の時は完全和訳に挑戦する事が稀にありますが、福田先生はそれを毎週しかも1本や2本でなく複数の論文で行い公開しておられるので相当な英文読解力です。

それにノーベル賞受賞前のオートファジーを通じて断食にも注目されていたり、私が好きな漢方にも造詣が深い先生なので、書かれているブログ記事も大変勉強になるものばかりで、おおいに参考にさせて頂いております。

さて、今回ルバーブさんに御紹介頂いた福田先生のブログ記事は「ケトン体治療(その4):ケトン症と多幸感とシナプス可塑性」という記事ですね。

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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院に勤務しています(下段にリンクあり)。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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