そんなリスクのある「事前予約不要」になぜ私がこだわったのかと言えば、
できるだけ参加者のハードルを下げるため、ということに他なりません。
それは相手の立場に立ってみれば容易に想像できることではないかと思います。
事前予約不要のイベントであれば、連絡先などの個人情報を一切記入する必要なく、
また当日急な予定で参加できなくなったとしても一切気兼ねをする必要もなく、
もしも都合が合えば参加すればよいくらいの気持ちでいられるので、仮に興味の程度が小さい感じの人でも参加しやすくなるのではないでしょうか。
それに哲学カフェのコンセプトは誰にでも開かれた対話の場です。
これまでに何度か、「
糖質制限を語る会 in 鹿児島」というイベントを開催して感じたのは、
決して気軽には場が開かれていないということです。
つまり糖質制限をやっている人しか参加してはいけないのではないか、ですとか、
そういう人がもし参加しても話についていけないかもしれない、ですとか、
一度参加したらそこまで興味もないのに、糖質制限するようにたくさんの人に詰め寄られてしまったらどうしよう、ですとか、
様々な不安を引き起こしてしまうためか、結果的によほど興味のあるコアな糖質制限実践者しか集まらないという現象が起こってしまいます。
そのマニアックさや、こうした会の意義はそれはそれであるとは思うのですが、
もし「糖質制限を多くの人に広めたい」という意図で行っているのであれば、その方法は効率的ではないということになります。
効率性だけがすべてではないのですが、正直言って幹事の立場としましては、
頑張って準備をした分だけの成果が得られるかと言ったら、決してそうとは限らない結果に私は行き詰まり感を感じておりました。
そんな頃に出会ったのが、
小川仁志先生が事前予約不要、参加費無料で開催されていた哲学カフェの存在でした。
この哲学カフェは、事前予約不要、参加費無料のおかげで多くの人が気軽に参加することが可能となっている側面があると思います。
何を隠そう私も事前予約不要、参加費無料であったからこそ、ちょっと立ち寄ってみようかなという気になりました。
そしてそうやって参加者のハードルを下げた結果、集まってくれた多くの方々と自由に語り合い、
語るタイプの人も、語らないタイプの人も、その場にいるみんなが誰も損しない時間を提供することができるという意味で、
フォーマットとして大変興味深いやり方であるように私には思えたのです。
さらに言えば、糖質制限を広めようと言ったらハードルが高まりますが、
自由に語り合おうといえば、ハードルが下がる側面があるようにも思います。
そして哲学カフェでの対話は自分ならどう考えるかという、いわゆる主体的に考えるトレーニングにもなります。
そうなれば直接糖質制限のことを伝えずとも、参加を通じて自分の頭で考えられるようになり、
世の中の不条理な問題に対して常に疑問を感じ、はたしてそれは本当なのかどうかを自分の頭で考えて自分の目で確かめる事ができるように思考が育っていけば、
結果的に現代医療の問題に気付き、そしてどうすればよいかも考えられる素地ができるのではないでしょうか。
こういう形で開催すれば主催者としても、それほど大きな負担はありませんし、続けていけそうです。
唯一の不安は事前予約不要にすることによって、予想以上の人数が参加された場合の対応ですが、
仮に立ち見になったとしても来てよかったと思ってもらえるような価値を創造できるよう、うまくファシリテートしていけばよい話ですし、
それ以上に多くの人に集まってもらえることが大事という気構えでこのたがしゅう哲学カフェを開き続ける姿勢が大事だと思っています。
そんな懐の深さを目指して経験を積み重ねていきたいと思っています。
たがしゅう