母乳は生まれたばかりの子を育てるに当たって最適な栄養源です。
糖質は乳糖、オリゴ糖を中心に構成されて控えめ、タンパク質、脂質も豊富にあり、ミネラル、ビタミンのバランスも優れた完全栄養です。
ところが、完全なはずの母乳に含まれる成分の中で少ないと言われているものが、鉄とビタミンKです。
ビタミンKが母乳に少ない理由については以前私なりに考察を加えてみました。
一方で、
今回読ませて頂いた藤川先生の本で鉄が数あるミネラルの中でも特に重要な役割を持つという事を学ぶことができました。
それなのに完全栄養であるはずの母乳に鉄分が少ないのは合理的ではないような気がします。
本日はなぜ母乳に鉄分が少ないのかについて私なりに考えてみました。
考える上でのヒントはやはり藤川先生の本に書かれていた「
妊娠・出産により貯蔵鉄が大量に消費される」という観察結果です。
うつ・パニックは「鉄」不足が原因だった (光文社新書) 新書 – 2017/7/19
藤川 徳美 (著)(以下、p29より引用)
(前略)
フェリチン値10以下の女性は、20代女性よりも30~40代女性の方に多くなっています。
これは、この年代に、妊娠・出産する女性が多いことと関係しています。
妊娠・出産では、胎児に鉄分が移行し、母親の鉄不足がさらに深刻になるからです。
これは「産後うつ」の発症とも関係してきます。
産後うつは、妊娠・出産の過程で赤ちゃんに鉄分が多量に移行し(1回の妊娠・出産では、フェリチン値で50に相当する鉄が胎児に移行します)、
お母さんの鉄貯蔵が空っぽになってしまっているのが大きな原因とみています。
(引用、ここまで)
日本内科学会雑誌の「鉄代謝の臨床」特集によれば、
明らかな鉄欠乏でなければ、血清フェリチン1ng/mLは貯蔵鉄8~10mgに相当するそうです。
従ってフェリチン50ng/mLは400~500mgの貯蔵鉄に相当し、これは月経血で失われる量の約20~25倍です。かなり大量です。
それだけ胎児にとってそれだけ鉄が重要であることを間接的に証明しているのではないかと思います。
それならばやはり母乳に鉄が少ないのは理に適っていません。しかし母親にはそれを与えるだけの鉄が残っていません。
ここで気が付きます。
母乳に鉄が少ないのは、それが合理的だからではなく、鉄を与えようにも貯蔵鉄が枯渇してしまっているからだということに。
つまりは母乳に鉄が少ないのは、普通に糖質を摂取している母親において当てはまる話であって、
本来であれば母乳中にも必要十分量の鉄が含まれているはずなのではないかと思うのです。
この辺りはどなたかに糖質制限実践中のお母さんの母乳の成分を調べて実証してもらいたい所です。
さらに言えば、妊娠にはつわりがつきものというのが常識として理解されていますが、
あれも糖質を普通に摂取しているから起こっている現象ではないかと思います。
それ以上、代謝を乱す不要な糖質が入ってこないようにするための防御反応と考えると話がつながるように思います。
事実、糖質制限実践者で妊娠された方がつわりが襲って来なかったという話は時々耳にします。
妊娠・出産にまつわる常識も大きく見直す必要がありそうです。
たがしゅう
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私は長女をスーパー糖質制限で妊娠、出産、授乳しましたが、つわりは非常に軽かったです。糖尿病だったので2ヶ月に一回血液検査をしていましたが、鉄分不足と言われた事はありませんでしたよ。ご参考までに。