たがしゅうブログ

糖質制限推進派の神経内科医が日常感じた出来事を書き連ねていきます.

「何も考えていない」人の考え方

何も考えないのは難しい」と以前書きました。

一方で私は「何も考えていないと世の中の流れに容易に流される」といった趣旨の発言もよくしています。

はっきり言って、現代は何も考えていないと間違いなく糖質摂取過剰になる世の中です。

何も考えていないとまず間違いなく高いコレステロール値に不安を覚え、病院に行ってスタチンという薬を処方され、それを一生飲み続けるコースへ進みます。

そして何も考えなければがんに対して不安を覚え、早期発見・早期切除を喜び、早期でなければ抗がん剤や放射線治療を受け、

亡くなれば悔しさや悲しみが渦巻く中でそれでも仕方がなかったと心を納得させるしかない。

そんなことがほぼ間違いなく繰り返される文化的価値観が強固に形成されている世の中です。
ではこうした世の中の強い流れに逆らうことのできない、いわゆる「何も考えていない」人達は、何も考えないことによる恩恵を受けられていないのでしょうか。

ここで、今お示しした「何も考えていない」と、私が重要だと考える「何も考えない」ことは、似て非なるものだということに気が付きます。

「何も考えていない」というのは、「何も主体的に考えていない」ということであって、

裏を返せば「すべてを受動的に考えている」ということです。

家族が良いと言ったから糖質制限をやってみる、テレビでコレステロールを下げた方が良いと言われたから薬を飲む、

医者にがんは早期に手術すべきと言われたから迷うことなくその言葉に従う、

これらは厳密な意味で「何も考えていない」わけではないのです。むしろ常に考えています。

ただそこに絶対的に欠けているのは「主体性」です。要するに自分の意見を持っていないのです。

なぜ自分の意見を持たないかと言えば、持たない方が楽だからです。人は楽な方を好む生き物です。

多くの人達が医療の現状に疑問を持つことなく、素直に従ってほとんどの人がクレームを言わないことがまさにその事実を物語っているように思います。


自分の意見を持つというのはなかなか難しいことです。一朝一夕にはいきません。

意見を持つために様々な事柄について考え続けなければなりませんし、考えるためには様々な情報を集める必要もあります。

しかもそうやって頑張って考え続けたことが必ずしも正しいとは限りません。当然間違っている可能性もあります。単なる自分の勘違いということもあるでしょう。

それでも自分の意見を持っていなければ、まず間違いなく世の中の大きな流れに飲み込まれてしまうことになります。

それでよい人はそのまま流れに乗ればよいでしょう。

それが嫌だと言うならば、たとえ険しい道になろうとも、

自分の頭で考え続ける必要があるのです。だからこそ「主体的医療」なのです。

そしてその険しい道を進む際に決して忘れてはならないものが一つあります。

それは「もしかしたら自分は間違っているかもしれない」という気持ちです。

常に使う必要はありません。進んだ先が袋小路だと感じた時に思い出すかのようにかざせばよいだけです。

そうすれば大きく道を踏み外すことはないはずです。

受動的に考える道は川の流れに乗るだけで一見楽そうな道のりです。

しかし一寸先は闇、急に滝壺に落とされる結末になるとも知れません。

たとえどんな苦しい道のりになろうとも、一歩一歩自分の目で確かめて歩み続けた道のりであれば、

どのような結末が待ち構えていようと人生に後悔はないように思います。

私は「主体的」に考え続ける人生を生きていきたいです。


たがしゅう
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[ 2018/09/22 11:00 ] 主体的医療 | TB(0) | CM(8)
No title
「主体的」に考え続ける人生を生きてゆくためには、広く世間一般に流布している通説に対して懐疑的であることも必要なのではないかと思われます。

というわけで下記の様な論考が有りました。

『日本人は集団主義的』という通説は誤り
https://www.u-tokyo.ac.jp/focus/ja/press/p01_200930.html

もちろん、私はこの論考を鵜呑みにしているわけではありません。

ただ、こうゆう解釈も有るのかという視点において、論者の思考回路の片鱗が参考になったような気がします。
[ 2018/09/22 20:32 ] [ 編集 ]
自己の成長を
医療の「主体的」な行動を妨げる一因として、企業の「終身雇用と福利厚生」も考えられます。

一度企業という「集団」に属してしまえば、つまり一度の就職チャンスをものにしてしまえば、定年までの雇用を約束され、サービスのようなお得な福利厚生という受け身の医療をいただけるわけです。

群集心理で「人は思考が単純になる」「暗示にかかりやすくなる」と言いますから、企業の準備した「群集心理」と「お得感」が相まって、「安定」から逃れにくくなるのではないでしょうか。

そして最終的に、「安定」を手に入れると同時に「主体的に行動する」場も失ってしまうのではないかの考えます。

群集心理に惑わされない

年をとってもそう生きていきたいと思います。
[ 2018/09/23 00:31 ] [ 編集 ]
Re: No title
名無し さん

コメント及び情報を頂き有難うございます。
冷静な情報の受け止め方と思います。

情報の取捨選択を効果的に行うためには自分の思考の樹が育っていることが必要不可欠です。
その思考の樹に合致する論者の視点はおおいに取り入れるべきだと私は思います。
[ 2018/09/23 07:59 ] [ 編集 ]
Re: 自己の成長を
だいきち さん

コメント頂き有難うございます。

> 医療の「主体的」な行動を妨げる一因として、企業の「終身雇用と福利厚生」も考えられます。

なるほど、興味深い視点ですね。
「安定」が「主体性」を奪う、とも単純化できるかもしれません。

一方で動物行動学的には多くの人は集団に属することの安定を求めますし、それで秩序が保たれている部分もあるから難しいところです。
しかし少なくとも自分の意思は時代の流れに合わせて常に変わり続けるということ、それに合わせて行動を考え続ける姿勢を忘れないことは大事だと私は思います。
[ 2018/09/23 08:11 ] [ 編集 ]
オープンダイアローグ
先生がめざすところはオープンダイアローグ精神療法にちかいのかな、と思いました。如何ですか?https://www.youtube.com/watch?v=_i5GmtdHKTM
[ 2018/12/12 22:45 ] [ 編集 ]
Re: オープンダイアローグ
りんご さん

 情報を頂き有難うございます。
 半分くらい視聴させて頂きましたが、私の理念に通じる治療法だと思います。

 治療者が被治療者を導くという上下関係ではなく、患者の考えをオープンに引き出し、その中で出てくる問題点を同じ視点で一緒に考えていくスタンス。まさに哲学カフェのようでもあり、主体的な姿勢を大事にした治療法だと感じました。
[ 2018/12/13 10:05 ] [ 編集 ]
オープンダイアローグ
対話のことば オープンダイアローグに学ぶ問題解決のための対話の心得 https://www.amazon.co.jp/%E5%AF%BE%E8%A9%B1%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%B0-%E3%82%AA%E3%83%BC%E3%83%97%E3%83%B3%E3%83%80%E3%82%A4%E3%82%A2%E3%83%AD%E3%83%BC%E3%82%B0%E3%81%AB%E5%AD%A6%E3%81%B6%E5%95%8F%E9%A1%8C%E8%A7%A3%E6%B6%88%E3%81%AE%E3%81%9F%E3%82%81%E3%81%AE%E5%AF%BE%E8%A9%B1%E3%81%AE%E5%BF%83%E5%BE%97-%E4%BA%95%E5%BA%AD-%E5%B4%87/dp/4621303147/ref=sr_1_1?ie=UTF8&qid=1544715001&sr=8-1&keywords=%E5%AF%BE%E8%A9%B1%E3%81%AE%E3%81%93%E3%81%A8%E3%81%B0 には、多職種が対話を重ねて問題解決にむけて協力していくためのコツが書かれています。先生が目指している主体的医療=ダイアローグは今、ひそかにブームになっているようですよ。
[ 2018/12/14 00:33 ] [ 編集 ]
Re: オープンダイアローグ
りんご さん

 情報を頂き有難うございます。
 
 オープンダイアローグ、興味が湧いてきました。是非読ませて頂きたいと思います。
[ 2018/12/14 06:31 ] [ 編集 ]
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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
ツイッター:https://mobile.twitter.com/tagashuu600

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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