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夜はストレス応答しにくい

category - 医療ニュース
2019/ 01/ 11
                 
医療情報サイト「ケアネットニュース」を見ていたら次のような記事が目に入りました。

夜間の心理的ストレスには要注意?
提供元:
HealthDay News
公開日:2019/01/10


私達がストレスを、すなわち困難に直面して思い通りにならない感覚を覚えるとき、

その状況を克服するために働く身体のシステムとして自律神経系と内分泌系の大きく二つのシステムがあります。

自律神経系は当ブログでも何度か触れていますが、心拍数を上げたり血圧を上げたりするアクセル系の交感神経と、

逆にストレスに適応できたとして心拍数を下げたり、血圧を下げたりするブレーキ系の副交感神経の二種類からなり、非常に迅速に働くことができる精緻な身体のシステムです。
            

それに対して内分泌系システムとは、副腎という臓器から分泌されるコルチゾールと呼ばれるホルモン(ステロイドホルモンの一つ)を中心に、

それらが血液中に分泌されることで全身をめぐり、炎症を抑え込んだり、急場のエネルギー需要に応えるために血糖値を上昇させたり、複雑な働き方をしてストレスを克服させるように身体を仕向けます。

今回紹介のニュースでは、その2種類のストレス応答システムが朝よりも夜の方で働きにくいということが指摘されています。

(以下、記事より引用)

夜間の心理的ストレスは、午前中のストレスよりも身体により大きな負担となる可能性があることが、

北海道大学大学院教育学研究院准教授の山仲勇二郎氏らの研究で明らかになった。

(中略)

今回の研究では、若い健康な男女27人を対象に、朝方または夜間に心理的なストレスの原因を与えた上で、

唾液中のコルチゾールの値を測定して比較検討した。参加者にはまず、腕時計型の活動量計を装着してもらい、

2週間規則正しく生活したことを確認した後に、ストレス負荷テストを起床から2時間後の午前中に受ける群と起床から10時間経過した夜間に受ける群に分けて比較した。

ストレス負荷テストでは3人の面接官の前で、インタビューやスピーチ課題、暗算課題に計15分取り組んでもらった

ストレス負荷テストの30分前と終了直後、終了直後から30分後まで10分間隔で唾液を採取し、唾液中のコルチゾール値を測定した。

その結果、午前中にストレス負荷テストを実施した群では、試験前に比べて試験後20分の時点でコルチゾール値が有意に上昇していた。

一方、夜間にストレス負荷テストを実施した群では、試験前に比べて試験後にはコルチゾール値の有意な上昇はみられなかった。

しかし、参加者の心拍数(ストレスに対する交感神経系の反応の指標)の変化には両群間で時刻差はみられず、ストレス負荷試験中には、いずれの時刻ともに有意に高いことも分かった。

これらの結果を踏まえ、山仲氏は「朝方に受けた心理的ストレスに対しては、

身体はHPA axis系と交感神経系の両方を活性化させてコルチゾールを分泌し、正常なストレス反応を示すことができる。

一方、夜間は交感神経系だけが応答することが示唆された」と述べている。

(引用、ここまで)



いろいろな解釈ができる興味深い研究結果だと思います。

まずこの研究において信頼度が高いと思えるのは、コルチゾールの評価の仕方として、

絶対的な数値で判断しているのではなく、その人にとっての普段のコルチゾールと比べてストレス負荷をかけるとどうなるのか、についてを見ているところです。

つまり、実際の診療での血液検査でコルチゾールを測定する場面があるのですが、

そこにはたいてい基準値というものが書かれてあって、基準値よりも高ければ上矢印が、低ければ下矢印が書かれる形で検査結果が返ってきます。

しかしその数値はあくまでも集団の平均的な値を表示しているだけであって、

その数値が上矢印であろうと下矢印であろうと、本人にとってそれが本当に高いのか低いのかというのは普段の本人の数値と比べなければ本当のところはわからないということです。

この辺はコルチゾールに限らず、コレステロールや甲状腺ホルモンなど変動幅の大きい検査項目についても同様に当てはまる論理なので知っておくとよいと思います。

さて今回の研究はその普段のコルチゾールを2週間という十分な期間をかけて検証しているところに信頼性があります。

そうなので、朝はストレス負荷でコルチゾール上昇が有意だったけど夜はそうでなかったという結果は受け止められますし、

このことは夜になかなか頑張ってストレスを克服しようという気にならないという私の中での主観的な事実とも合致します。

逆に言えば、夜になかなか寝付けないとか、眠ったとしてもすぐまた目が覚めて熟眠感が得られないという人は、

夜というストレス応答系がそんなに働くべきではない時間帯に無理して働き続けてしまっている、ということが示唆されます。

ただし、研究者の先生は末尾に「それぞれの人に固有の体内時計を考慮した上で、1日の時間帯別のストレス反応を評価し、ストレス管理法やストレスを原因とした疾患の予防法を考えることが重要だ」とも述べておられます。

結局、具体的にどうするかというのは個々人の性格、生活環境、思考パターン、人間関係、コンプレックスなど様々な要因を加味して個別に考えていくのが妥当だということだと思います。

例えば夜に眠れないという人は、ただ単純に副交感神経を賦活する深呼吸を繰り返すというのでもよいのですが、

根本に仕事での悩みをくよくよと考え続けている状況があるのなら、それを是正しないと深呼吸をしたからといって即眠れるようになるというわけにはいかないかもしれません。

しかも研究でのストレス負荷は、面接試験などを想定した一過性のストレスです。

実生活でのストレスはそんなものよりもはるかに複雑で、持続的に関わってくるものが多いですよね。

何も考えなければ持続的にストレスさらされ、ストレス応答系がオーバーヒートし、次第に消耗疲弊していってしまうのも無理もない、というわけです。


この研究結果から私が学ぶ教訓は以下の通りです。

「夜は徹底的に休む時間として利用するべし。頑張って何かを創造するのは日中だ。」

当たり前のことのようですが、意外と実践できていない人も多いのではないでしょうか。

少しでも何かの参考になれば幸いです。


たがしゅう
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