たがしゅうブログ

糖質制限推進派の神経内科医が日常感じた出来事を書き連ねていきます.

体調はいかなる情報にも優先する

便秘解消に食物繊維がよいという情報を時々耳にします。

食物繊維については以前当ブログでも取り上げましたが、

便秘に対して効くとされる理由は大きく二つあります。

一つは食物繊維の中の不溶性食物繊維が腸内細菌との相性次第でその腸内細菌のエサとなり、

腸内細菌が様々な生理活性物質を産生することで、腸蠕動運動が亢進されるということ、

もう一つは単純に不溶性食物繊維が消化吸収されずに便塊のカサを増し、

腸管を物理的に刺激しやすくなることによって腸蠕動が促進されるということがあります。
「食物繊維が多いこの食品を食べれば便秘に良いってテレビで言っていたから、それをよく食べている」という光景は様々な場面で見聞きしますが、

前述の理由を考えると、場合によっては食物繊維の多い食品が便秘を悪化させるという事が起こり得ます。

具体的には、例えば何らかの理由で腸管の働きが低下している場合です。

そういう状況の時に食物繊維が多く入れば、単純に便塊の大きさが大きくなります。

しかし腸の動きが悪くなっているので、便塊はスムーズにお尻に向かって送り出されないばかりか、便塊が次から次へと連なって、いわゆる便詰まり、便の交通渋滞ともいえる状態となってしまいます。

ただ、もしそんな状態でも腸内細菌がうまく適合していれば、

食物繊維がその腸内細菌のエサとなり、生理活性物質を産生させて、結果的に便秘が解消するということはあり得ます。

そして腸内細菌がこれから摂取する食物繊維と適合しているかどうかを事前に知る術は今のところまだ確立されていません。

要するに「便秘解消に食物繊維がよい」といっても、結局のところ「やってみないとわからない」のです。

でも適合性を事前に知る手段がなくても、「自分の体調をバロメータ」にしていれば適合しているかどうかは十分可能です。

ところがもしここで、体調を重視せずに、「便秘解消には食物繊維がよい」という情報を盲信していたと仮定すればどうでしょうか。

もし食物繊維の多い食品を摂取して便秘に変化がなければ、その原因を食物繊維が足りないせいだと考えてしまうかもしれません。

下手したら体調度外視であれば、仮に便秘が悪化したとしても「食物繊維がまだまだ足りないんだ!」と思ってしまう可能性さえあります。

これが体調を軽んじることの大きな弊害だと私は考えます。

今回はたまたま食物繊維を例に出しましたが、例えばビタミン剤やサプリメント類に関しても、

情報を盲信し、体調を軽視すれば、同じ構造となりえます。

未知の要因も全て含めて複合的な反応を起こした結果が「体調」として現れるわけですから、

何はなくとも「体調」を最優先にして健康管理すべきと私は考えます。

逆に言えば、どんなに信頼できそうな情報であったとしても、

実際に実践して体調が悪くなるのであれば、

未知の要因も含めて、情報の方を疑わなければならないと考える次第です。

こういうと当たり前のことのように思えるかもしれませんが、

検査の数値や画像の所見などを信用し切ってしまい、自分の体調よりもそちらを信じてしまうことはよくあるのではないでしょうか。

情報は大事ですが、たとえどんな情報でも盲信せず、

自分の中で事実かどうかを検証することを怠ってはならないと思います。


たがしゅう
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[ 2019/02/07 19:00 ] ふと思った事 | TB(0) | CM(4)
本当にそう思います
人それぞれですよね。そういう想像力を忘れないようにしたいと思っています。
[ 2019/02/07 20:15 ] [ 編集 ]
Re: 本当にそう思います
H.K. さん

コメント頂き有難うございます。

この情報社会の中で求められるのは、確かな情報から紡ぎ出される豊かな想像力なのかもしれませんね。
[ 2019/02/09 20:59 ] [ 編集 ]
アタマよりカラダの方が賢い
私も同様の体験があります。

断食中は便秘予防に水酸化マグネシウムを取った方がいい
という情報を読み、実行しました。
しかし、飲んで少しすると、水分だけ排出しました。
まるで、水酸化マグネシウムを腸から吐き出した感じです。不要だったということでしょう。
便秘もしませんでした。

自分のカラダで試して調子がよくなれば、おそらく、それは合っています。
カラダの変化に敏感になることが重要です。

なお、私の便秘対策は、らっきょうです。
鳥取の大粒塩らっきょうを酢漬けにしたもの3~5粒ほどが合っているようです。
[ 2019/02/11 11:15 ] [ 編集 ]
Re: アタマよりカラダの方が賢い
スナフキン さん

コメント頂き有難うございます。

> 自分のカラダで試して調子がよくなれば、おそらく、それは合っています。
> カラダの変化に敏感になることが重要です。


おっしゃる通りと思います。
事前の情報と体感が異なる場合は私は体感を信じます。そしてなぜ情報と食い違うのかを考えると思います。
[ 2019/02/11 14:55 ] [ 編集 ]
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プロフィール

たがしゅう

Author:たがしゅう
本名:田頭秀悟(たがしら しゅうご)
漢方好きの神経内科医です。
南鹿児島さくら病院にいます。
糖質制限で10か月で30㎏の減量に成功しました。
糖質制限を通じて世界の見え方が変わりました。
今「自分で考える力」が強く求められています。
私にできることを少しずつでも進めていきたいと思います。
ツイッター:https://mobile.twitter.com/tagashuu600

※当ブログ内で紹介する症例は事実を元にしたフィクションです。

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